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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第24回)

勤怠入力とPCログとの「乖離」は何分間開いたら違法になりますか?

2020年5月

Q. 勤怠入力とPCログとの「乖離」は何分間開いたら違法になりますか?

社員自身が入力した時刻とPCログの時刻は、どれくらいの乖離が生じたら違法になってしまう、といった基準や相場はあるのでしょうか。

A. 乖離が生じたら即違法というわけではない

厚生労働省の労働時間の適正把握ガイドライン(2017年1月20日)は、自己申告制により労働時間を把握する場合、申告された時間数が実態と合致しているかを必要に応じて確認するよう求めています。

勤怠入力など自己申告制を採用する企業は、社員が申告した時間数と、PCログや入退館記録(在社時間数を表すデータ)とを突き合わせて「乖離」が生じていないかをチェックする必要があります。これに対し、タイムカード、ICカード、顔認証、生体認証など客観的記録により勤怠管理している企業は、このチェックは必要ありません。

ここで注意すべきは、この「乖離」が発生したからといって直ちに労働基準法違反になるというわけではない、という点です。

乖離が生じたときには実態調査の実施が必要

厚労省ガイドラインは、乖離が生じたときに「実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること」を求めています。たとえば、勤怠入力上は「19:30」とされているのに、PCログが「20:30」になっていたとします。この場合、本人は19:30まで働いたとの申告であるものの、本当は20:30まで働いていたのではないかという疑いが生じますが、だから即違法というわけではなく、厚労省ガイドラインは「実態調査」を実施しなさいと述べています。

具体的には、実態調査として本人ヒアリング等を行い、なぜ1時間の乖離が生じたのか原因を確かめます。その結果、PCが開いたままになっていた、同僚と雑談していて実際には働いていなかったなどの実態が真に確認されれば、申告と実態が齟齬しているわけではないため、特に問題はないことになります。これに対し、本当は20:30まで働いたのに19:30と入力してしまったとなれば、「所要の労働時間の補正」をしなければなりません。きちんと時間記録を修正し、割増賃金も適正に支払います。

このように、「何分間の乖離が生じたら違法になるのか」という問題ではなく、(1)乖離が生じたらきちんと「調査」しなければならない、(2)その結果、実態との齟齬があれば「補正」をしなければならない(逆に齟齬がなければ問題はない)というのが正しい理解です。

どの程度の乖離が生じたら「調査」をしなければならないのでしょうか

では、どの程度の乖離が生じたら「調査」をしなければならないのでしょうか。厚労省ガイドラインは「著しい乖離」という言い方をしており、1分でも乖離があれば常に調査が必要とは述べていません。

この点は明確な基準は存在しないものの、当職の実務経験上、労基署は30分間の乖離を一つの目安と見ていることが多いといえます。ただし、「著しい乖離」の意義について明確な根拠や基準があるわけではないため、企業の実情に応じた運用(たとえば、1時間前後の乖離が複数見られたときにヒアリング調査へと進む形)も可能です。

弁護士が回答する!総務人事が知っておくべき制度

筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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