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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第28回)

有期雇用社員の勤務条件を期間満了時に変更することは可能ですか?

2020年9月

Q. 有期雇用社員の勤務条件を期間満了時に変更することは可能ですか?

新型ウイルス流行に伴う経済変動から、当社の契約社員が担当する業務が縮小してしまいました。現在の契約期間は9月末で満了するのですが、雇止めまでは行わず、勤務条件を「週5日・1日8時間」から「週4日・1日6時間」に変更して提示することは可能でしょうか。賃金単価は変わりませんが、勤務日・勤務時間の短縮に伴い全体の金額は減る形となります。

A. 雇止め法理の枠内で条件変更の正当性が問われる

有期雇用契約は、期間を定めた契約である以上、期間が満了すれば契約も終了となるのが原則です。

しかし、期間満了に伴う契約終了については、雇止め法理(労働契約法19条)による保護が働くため、常に契約終了が有効とは限りません。具体的には、職務内容・勤務実態が正社員に近い、契約更新を何度か重ねて勤続年数が数年に上る、契約更新を期待させる言動があったなどの事情から、契約更新の合理的期待が認められる場合には、雇止めについて「合理的理由・社会的相当性」の要件が必要になってきます。

もっとも、本問において、会社は雇止めをしようとしているわけはありません。契約更新に際して労働条件の変更(勤務日・勤務時間の短縮とそれに伴う賃金減)を申し込もうとしているケースである。この場合、有期雇用社員が条件変更に「同意」して更新がなされれば、特に問題はありません。

これに対し、有期雇用社員が条件変更に同意せず、結果として更新が成立せず雇用終了となった場合はどう考えればよいでしょうか。

この種の事案では、会社側が「一方的な雇止めではないから雇止め法理の適用はない」と主張することが多いものの、裁判例はそれを認めず、会社が従来の条件を提示せずに結果として雇止めになった以上、雇止め法理の適用は否定されないとの見解に立っています(東京地裁平22.3.30労判1010号51頁など)。

しかし、会社が労働条件を変更しての更新を申し入れていたことを「合理的理由・社会的相当性」の枠内で考慮し、実質的には、労働条件変更の正当性を問う判断が行われます。具体的には、(1)条件変更の必要性、(2)労働者の不利益の程度、(3)会社が提案した補償措置、(4)手続きの相当性などを考慮して正当性が判断されます。

まとめると、第1に、本人の「同意」を得て更新する場合は問題ありません。第2に、本人が同意しなかった場合でも、更新回数・通算契約期間が少ないなど、そもそも契約更新の合理的期待が認められなければ、結果として雇用終了となっても問題はありません(一つの目安として、更新回数3回以上、通算契約期間1年超になってくると、契約更新の合理的期待が認められる可能性が出てきます)。

第3に、契約更新の合理的期待が認められる場合でも、上記(1)〜(4)を考慮して条件変更の正当性があるといえれば、やはり会社側の対応は適法といえます。本問でいえば、条件変更の必要性はありますから、きちんと一定の期間をかけて本人に条件変更の必要性などを説明したか((4))が重要です。さらに、常に必須とは限らないものの、他業務を新たな契約業務に加えることで勤務日・勤務時間の短縮を緩和するなど、一定の緩和措置を検討したかもポイントになってきます((3))。

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筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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