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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第29回)

パワハラ相談申告で本人が「調査は望まない」と述べたら?

2020年10月

Q. パワハラ相談申告で本人が「調査は望まない」と述べたら?

社内の相談窓口にパワハラの被害申告があり、上司の罵声により精神的につらい思いをしているという話ですが、本人は「あまり大ごとにしたくない」「上司からの報復がこわいので調査しないでほしい」と述べています。どう対応すべきでしょうか。

A. 本人を説得の上で調査を開始すべきです

本問は、パワハラの被害実態が申告されたものの、相談者本人が「調査しないでほしい」との意向を表明している場合、企業としてどう対処すべきかという問題です。この問題に対しては、次の2つの考え方を挙げることができます。

1つ目は、本人の意向に反して調査開始はできないという考え方です。本人が上司からの報復や人間関係の悪化をおそれて「調査しないでほしい」との意向を表明している中、その意向に反して会社が調査を強行することはできません。調査開始に当たって本人意向を確認することは大前提と言えます。

2つ目は、パワハラの被害申告を放置するのはリスキーという考え方です。パワハラの被害申告を受けていたのに調査を開始しなければ事案は放置されます。そうこうしているうちにパワハラ言動が繰り返され、被害がさらに深刻化してしまった場合、企業は事案を放置したことの責任を問われかねません。そのときに「本人が調査を望んでいなかったから」という点が果たして免罪符として働くでしょうか。

このように、本人意向に反して調査を強行するわけにはいかない、かといって事案放置にはリスクがあるというジレンマに立たされます。

結論として、この種のケースにおいて企業がとるべき対応は「説得」です。調査強行でも事案放置でもない第3の道、本人を説得して了解を得た上で調査を開始するという手段を講じるべきです。

本人には、相談申告によりパワハラの可能性を認識した以上、企業の責務として放置することはできず、調査を行って事実と認められれば然るべき措置を講じる必要があることをきちんと説明します。

これに対しては「被害者である自分が調査しなくてよいと言っているのだから」という反応があるかもしれません。しかし、パワハラは相談者本人だけの問題ではありません。その部署に所属する他の社員に対してもパワハラ言動が向く危険があります。さらに、パワハラ上司が別の部署に異動すれば、今度は異動先の社員たちが被害者になりかねません。

このような第2、第3の被害を生まないためにも調査させてほしい。あなただけの問題ではない。そのことを本人に説得して調査開始の了承をとりつけます。上司の報復(相談申告を理由とする不利益取扱い)がこわいという懸念については「もしそのようなことがあったらすぐに相談してきてほしい。会社は絶対に報復を許さない」という姿勢を強く示します。

もっとも、以上は調査開始しないことで被害の深刻化が懸念されるケースを想定したものです。相談の性質・内容によっては、本人への説得は行った上でそれでも調査してほしくないということであれば「また何かあったら相談してきてほしい」という形で一旦終了扱いとすることもあります。

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筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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