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総務人事向け
弁護士が回答する! 総務人事が知っておくべき制度(第31回)

在宅勤務時に隠れて残業した時間を労働時間としないことは可能ですか。

2020年12月

Q.在宅勤務時に隠れて残業した時間を労働時間としないことは可能ですか。

アフターコロナも見据えて在宅勤務の運用ルールを検討しています。在宅勤務中は管理が十分行き届かない面があるため、働き過ぎにならないよう、残業は事前承認制としたいと思います。そこで質問ですが、メール送信時刻やPCログから、事前承認を経ずに夜遅くまで隠れて残業していたことが判明した場合、労働時間としてカウントしなければならないのでしょうか。

A. 厚労省ガイドラインも労働時間と取り扱わなくてよい場合を認めている

(1)労働時間の意味

在宅勤務の検討を進める際、会社の管理が行き届かないところで長時間労働が生じていないか、という視点は重要です。そうした事態が起こらないよう、時間外労働の事前承認制や休日・深夜労働の原則禁止を運用ルールとして定めることは、厚労省のテレワークガイドラインでも推奨されています(情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン)。

問題は、事前承認制をとっていたにもかかわらず、社員が事前の申請を行わず、会社に隠れて残業していた場合の取扱いです。

労働基準法の労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれた時間を意味します。文字通り仕事をした時間という意味ではありません。具体的には、会社の義務付け(指示)により業務を行った場合、又は、会社から義務付けられたわけではないものの業務を余儀なくされた場合には、労働時間に該当します。

つまり、仕事をしたから常に労働時間というわけではなく、それが「義務付け」「余儀なく」という事情に基づいていて、初めて労働時間と評価されるのです。そうした事情なしに本人が自主的に業務を行っても、労働基準法の労働時間には当たりません。

(2)在宅勤務時の隠れ残業

Qのようなケースは、会社の義務付け(指示)による業務とはいえません。そのため、緊急対応のために事前申請する暇もなく業務せざるを得なかったなど、「余儀なく」と評価される事情がなければ、労働時間として取り扱わないことも可能です。

前述の厚労省ガイドラインでも、事前承認制をとっている場合において、(1)会社が義務付けられた事実がない、(2)業務量過大などにより残業せざるを得ない事情もない、(3)隠れ残業の実態を会社が知り得ない、という点が認められれば労働時間に当たらないとの見解が示されています(ただし、会社が残業を申告しないよう働きかけや圧力をかけた場合は別)。

実務的には、在宅勤務の運用ルールを社内にアナウンスする際、適正な時間申告を行うよう伝えた上で、会社に隠れて残業したときには労働時間と認めないことがある旨を周知します。その上で、実際に隠れ残業が見つかったときには、「余儀なく」といえる事情があればよいですが、そうでなければ労働時間と取り扱わないことも可能です(最初のうちは、今後気をつけるよう注意しつつ、特別に労働時間と認めてあげる措置を講じても構いません)。

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筆者プロフィール

橘 大樹(たちばな ひろき)

橘 大樹(たちばな ひろき)

石嵜・山中総合法律事務所 弁護士
専門分野 労働法(経営側)

慶應義塾大学法学部法律学科、一橋大学法科大学院卒業。司法試験合格後、司法修習を経て弁護士登録、石嵜・山中総合法律事務所に入所。労働法を専門分野とし、訴訟、労働審判、団体交渉などの紛争対応、顧問企業からの法律相談のほか、執筆やセミナーに活躍中。

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