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特集

間違えられない新人教育。正しく教育できていますか?

2019年3月

間違えられない新人教育。正しく教育できていますか?

いい人材の採用が難しくなっている昨今。せっかく採用した新人の教育がうまくいかなかったら元も子もないだろう。とりわけ中堅企業は大企業ほどの教育システムが整っておらず、体系立った教育を十分に行えているとは言い難いのではないだろうか。かつてに比べて若い世代の気質が変わってきた中、新人教育にも工夫が求められている。そこで今回は、新人教育でなすべきことを説明する。

「新人=わからない」という先入観をもたないことが大事

新人は企業の将来を背負う貴重な人材であり、業績向上に寄与してもらわなければならないのはもちろん、人手不足の現在は退職せずに定着してもらうことも重要だ。そこで欠かせないのが新人教育である。

しかしながら、新人教育と聞くだけで苦手意識を持ち、頭を抱えてしまう担当者もいることだろう。当然ながら「新人」を一概にくくることはできない。先輩社員が「新人=わからない」という先入観を持ってしまうことも、新人教育が苦手という意識に結びつきやすい。

会社の価値観を押し付ける、個性を無視した画一的な教育はNG

新人の性格や行動をすべて把握できないのは、当たり前のことだ。さらには「人を教える」こと自体がそもそも難しい以上、新人教育が難しいのも当たり前である。

そこで、新人教育を難しく考えすぎたり、うまくいかないからと悩みすぎたり、ストレスをためたりしないことが大切になる。ましてやほとんどの総務人事は教育のプロではないのだから、「新人教育とはなかなか思うようにいかないもの」とある程度割り切る必要もあるだろう。

会社や自分の価値観を押し付け、個性を一切無視して画一的な教育を行おうとしても、失敗は目に見えている。

その大前提を確認したうえで、教える際には新人一人ひとりに向き合い、どういう性格か、どのような考え方・行動パターンをするか、どういった興味を持っているか、などを可能な限り頭に入れて教育に臨むことが必要だ。

成功談より失敗談の方が自分ごととして理解してもらえる

新人教育では、やはりコミュニケーションが重要になる。新人の行動や考え方を観察し、言葉をよく聴いて、まず共感を示す。そのことによって新人からも共感を得られれば、教育という目標達成の土台となるコミュニケーションが成立する。

具体的なスキルとしては、以下の3つが大事だ。

  • 新人の言葉を聴いて気持ちを受け止め、新人自身の気づきにつなげる力
  • 新人を教育目標とする行動に向かわせるような質問を投げかける力
  • 必要なスキルをしっかり伝え、新人を納得させる力

この3つを、相手によって、あるいは時期によってうまく使い分け、目標とする理解の達成やスキル習得を促したい。

どのスキルにおいても共通するのは、押し付けを排し、新人自らに考えさせたうえで理解や行動につなげることだ。

逆にいえば、押し付け教育は一切NGと考えていい。押し付けには、教育担当者が自分の成功談を例にして「こうすればできる」と一方的に伝えることも含まれる。まだスキルが身についていない新人に成功談を押し付けても「それは先輩だからできたんだ。それに比べて自分は何もできない」とモチベーション低下につながってしまう可能性がある。むしろ成功談より失敗談を伝えるほうが、新人にとっても自分ごととして理解しやすいかもしれない。

新人教育で、入社前から5年目まででなすべきこと

新人は基本的に入社時期が決まっているので、新人教育も事前に綿密な計画を立てることができる。ここでは、「入社前」「入社から3カ月~半年程度」「配属以降」「3年~5年目」に分けてなすべきことを説明する。それぞれの時期ごとに目標を立て、なすべきことをしっかり計画しておこう。

入社前

企業理念や事業方針の理解を促し、不安を取り除くなど仕事に対する心構えを整理することと、入社後の教育にスムーズにつなげるため必要な知識を獲得させることが大きな目標となる。内定者研修の実施に加え、最近ではeラーニングを活用する企業も多い。

入社から3カ月~半年程度

仕事に必要な基本スキルやマナーの習得が主な目標。新入研修でビジネス文書の扱い方やメール・電話、報連相といった基本スキル、及び挨拶や言葉遣い、身だしなみといった基本マナーを教育することが柱となる。

配属以降

各部署の現場に定着できているか、実務に臨むうえでのスキルがしっかり身につき一定の成果が出ているか、実務や人間関係で問題が生じていないかなどを確認することが目標。ここでは研修の実施に加え、個別のフォローアップ面談も効果的だ。実施時期については入社1年後が一つの目安になるが、その後も継続的な確認とフォローアップに努めたい。

3年~5年目

3年程度経つと、仕事に慣れたがゆえの問題が生じ、働き方や将来についての悩みや不安も出てくる。この時期にはキャリアデザイン研修やモチベーション向上研修が有効だ。さらに4~5年後は、業務に主体的に取り組むための研修や、チームを牽引していくためのリーダーシップ研修などが考えられる。

新人教育は企業成長の初期投資と考えよう

それでは、新人教育で成果を上げている事例をいくつか紹介しよう。

ある機械メーカーでは、現場配属後の1年間、新人一人ひとりに専属のOJT指導員を付ける制度を40年以上前から実施している。人材育成の担当部門が各部署に新人育成の考え方と指導員の心構えを伝達。指導員を対象とする研修も行っている。これにより新人の成長に効果的なOJTが実現できるのに加え、困ったときはすぐ指導員に相談できるため、新人が職場になじみやすくなるメリットもある。一方で、指導員自身の成長も見られているという。同様に、新人だけでなく指導する側の成長も促す仕組みを導入している企業は多い。

あるブライダルサービス事業者は、内定者研修でアウトドアでの体験型研修を実施。内定者はチームに分かれてウォークラリーに臨み、協力しながら課題を解いていく。これによりチームワークが育まれるとともに、同社の事業の根幹である「ドキドキ、ワクワク」を体感し、今度は自分がその価値を顧客に提供していく立場になるという意識を醸成する効果もあるという。

また、ある化学メーカーでは、地図を活用したフィールドワーク研修を導入。地図の情報からその街の歴史や特徴などを読み取り、その後、仮説を立てて実際に歩きながら街の人と交流する。この研修を通して、新人にはコミュニケーション力や自分で考えて事態を切り開く力、PDCAの回し方などが身についているという。

新人教育をおろそかにすると、社員が戦力にならないばかりでなく、自社に愛想を尽かして辞めてしまう恐れもある。新人教育は企業が成長を続けるために必須の初期投資だと考えるべきだ。そもそも教育は難しいものという前提からスタートし、新人それぞれの個性を念頭に、教育を受ける側の気持ちもよく考えながら、効果的な新人教育を実施してほしい。

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