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特集

テレワーク下でのOJTを成功させるポイント
~Z世代の早期離職を防ぐために~

2021年9月

テレワークにはデメリットもある。とりわけ大きなものがコミュニケーションロスだ。オフィスなら上司は部下の観察や雑談を気軽に行うことができ、部下もわからない部分をすぐに質問できたが、オンラインになるとやりづらいという声を聞く。さらに深刻なのが、新しく入ってきた従業員、特にZ世代と呼ばれる人たちへのOJTだ。最悪の場合は早期離職という結果も招きかねない。ここではリモート下のOJTの課題と解決法を説明する。

Z世代の特徴とは

1990年代後半以降に生まれた「Z世代」は、いわゆるデジタルネイティブであることに加え、SNSネイティブ・スマホネイティブであるという特徴も持っている。インターネットから多くの情報をキャッチすることが当たり前で、自ら情報発信を行うことにも慣れている。

日本能率協会による「2020年度 新入社員意識調査」では彼らの特徴をさらに詳しくとらえている。調査によると以下の傾向を見ることができる。

  • 上司や先輩に関しては、納得がいくまで丁寧に指導してくれる人を望む傾向が見て取れる
  • 仕事に対してはやりがいが得られることを重視する

また、調査結果以外でも様々な企業のZ世代で以下の傾向がみられる。

  • スマートフォンには慣れていても、PC操作にはさほど習熟していない傾向がある
  • SNSなどで自分の考えをオープンに発信することに慣れており、上司ともオープンなコミュニケーションを求める傾向がある
  • 他人の価値観を尊重するとともに、自らの個性も大事にしており、同時に、プライベートを充実させることを仕事の目的と考える人も多い

こうした特徴を持つZ世代には、OJT自体が従来世代に対する意識のままでは難しいといわれる。特に2020年春以降はコロナ禍の影響でテレワーク化が進んだことで、OJTもオンラインツールを通じてリモートで行わなければならない状況が増え、さらに難しくなったと指摘される。

リアルな職場でのOJTとは勝手が違う

そもそもテレワークで行うオンラインのOJTにはいくつもの課題が存在する。

まず、指導する側がリモートでのOJTに慣れていない。これまでは同じ職場で、新入社員の姿をいつも見られる対面環境でOJTを実施してきた。リアルな職場なら、教えるべき作業は新入社員を隣に座らせ、PC画面なり設備・機械なりを実際に操作する様子を見せながら指導できたわけだ。また、日頃の仕事の中で新人に適宜声をかけ、人となりを知ることができたし、その場に複数の社員がいれば1対1ではないコミュニケーションにつなげられ、上司・先輩と新入社員の人間関係も築きやすかったといえる。

ところがオンラインのビデオ会議やチャットは、時間をはじめとするリソースの節約や要点を的確に伝えることには向いていても、何気ない声かけや、複数の人を自然に巻き込んだ会話を生み出すのは難しい。OJTを行う側が適切なタイミングで観察を行い、新入社員が今どのような仕事をしているのか、仕事の進め方やスピードはどうなのかといった業務状況を把握することも困難だ。顔色や表情、在宅勤務時の環境なども、オンラインのコミュニケーションでは確認が難しいだろう。

教えられる側の新入社員も、まさに上記の裏返し状態。リモートでは先輩社員が今どういった状況なのかわからないため、質問のタイミングを逃しやすく、聞きたいことを即座に聞いて疑問を解消するのは容易ではない。リアルの職場であれば特定の上司や先輩に1対1の質問をすることも簡単にできるが、複数社員が参加するビデオ会議・チャットではそれも不可能だ。そうしたコミュニケーションロスの積み重ねで、職場に対する不満やメンタルの不調が発生し、最悪の場合は早期離職という結果につながるケースもある。

とりわけ2020年以降に入社した人たちは、入社式や研修がすべてオンラインで実施され、リアルな職場の経験が少ない。そのため上司・先輩社員がどういう人であるかをつかめておらず、仕事のけじめやメリハリのつけ方もわからない。オフィスに毎日出社することがないので、学生から社会人への切り替えがまだできていない人もいるはずだ。

加えて実際的なスキルやノウハウ伝達の面でも、Z世代へのリモートOJTには難しい要素が指摘される。Z世代はスマートフォンには慣れていても、PC操作にはさほど習熟していないケースがしばしば見られる。そのためPCを使ったOJTの指導が簡単にはいかない事態も起こり得る。こうした点が満たされないと、Z世代ではモチベーション低下に直結してしまう場合が多いことを知っておこう。

リモートでのOJTを成功させる4つのポイント

では、リモートOJTを成功させるポイントを一つずつ挙げていこう。

Z世代の新入社員が慣れない環境にいることに配慮して接すること

テレワーク・在宅勤務という状況自体が慣れないものであり、仕事とプライベートのオン・オフが付けにくい。そもそも新入社員にとっては仕事をするという状況自体が未知の体験であるから、そうした点も考慮しながらOJTを進めていくべきだろう。

定期的な対話の場をつくる

リモート環境ではオフィスのような声かけや観察が難しいうえ、孤独感につながりやすい。定期的な対話の場を設けることで、業務はもちろん生活にもリズムを生む効果が期待できる。特にオープンなコミュニケーションを求めるZ世代に対しては有効である。

オンライン日報の活用

リモート環境では、お互いよく知らない者同士が漠然とした会話を継続するのが難しい部分もある。対話の場を設けたはいいものの話す話題がなくなり、黙り込んでしまった……といった事態を避けるためにも、オンライン日報は有効だ。日報を活用すれば対話のネタに困ることはなくなるうえ、フィードバックも容易になる。新入社員が業務の悩み事やメンタルの不調を抱えている場合も、日報があれば早期発見につなげられる。

定期的に課題を与える

OJTは実際の業務の中でトレーニングする手法だが、テレワークで新人にいきなり仕事を任せるのも難しいだろう。そこで業務内容や必要なスキルを身につけさせるために課題を与え、定期的に進捗確認を行うことが望ましい。もちろん確認するだけでなく、返信・フィードバックも必須。進捗状況が思わしくない場合のフォローも重要だ。これは特に仕事に対してやりがいが得られることを重視するZ世代に対して有効だ。

「あれ」「これ」などの曖昧な指示は禁物

リモートOJTを進めるにあたっては、いくつか意識したいことがある。まずは「1年後に目指してほしい姿」「会社が期待していること」といった育成ビジョンやOJTの目的、会社の思いなどを共有し、新入社員に安心感を醸成しながら進めること。そして、個人を尊重したうえで合理性のある指導を心がけ、状況によっては不平等にならない程度で個人に合わせた指導を行うこと。さらには技術的な留意点として、リアルな場での指示のように「あれ」「これ」で済ませるのではなく、明示的にしっかり言語化して伝えることも意識したい。

OJTで意識すべきこと

OJT専用オンラインルーム、別チャットルームをつくっている企業も

リモートOJTは今さまざまな企業で実践され、有用なノウハウも生まれている。そこで常にアンテナを張って情報を取得し、事例を参考にしながらアップデートさせていくことが求められる。参考までに、チームごとのOJT専用オンラインルームを設けて相談しやすい環境を作り孤立や悩み解消をサポートしている企業、雑談や新入社員向けといった目的別チャットルームを作ってコミュニケーション活性化に取り組んでいる企業などがあり、参考にしたい。

Z世代はユニークな特徴を数多く有しているうえ、従来とは大きく異なる状況にも直面している。その世代の新入社員に対してリモートOJTを行うにあたっては、新しい環境に不安を抱いている現状をまずはしっかり理解することが大切だ。

リモートOJTには難しい側面が多いことも事実だが、ちょっとした工夫を盛り込むことで成功につなげられる。効果的なリモートOJTを実践し、コミュニケーションロスをなくして、早期離職防止やエンゲージメント向上を目指そう。

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