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特集

パワハラ防止の法整備が進む。あなたの企業は大丈夫ですか?

2019年2月

パワハラ防止の法整備が進む。あなたの企業は大丈夫ですか?

近年、頻繁に耳にするようになった「パワハラ(パワーハラスメント)」。厚生労働省は2018年11月19日に労働政策審議会の分科会を開き、パワハラ防止策を企業に義務付けるための法整備を実施する方針を示した。働きやすい環境づくりに向けて国の動きが進む中、企業としてパワハラ対策にどう対応すればいいのか、事例とともに説明する。

半数以上の企業がパワハラ対策を実施している

厚生労働省が2016年度に行った職場のパワハラ実態調査によると、「過去3年間にパワーハラスメントを受けた経験がある」と回答した従業員は32.5%。前回調査(2012年度)では25.3%だったので、増加していることがわかる。ただし、これについて同省では、パワハラに関する企業の取り組みが進み、パワハラ自体への関心が高まったことも理由の一つだと考えている。

実際に同報告書では、半数以上の企業がパワハラの予防・解決の取り組みを「実施している」と答えている。また、「パワハラに対する関心が高まった」と回答する企業は42.5%、「パワハラについて相談しやすくなった」は40.9%に達している。こうした事態を受け、厚労省は2018年11月19日、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の分科会で、職場のパワハラ防止措置を法律で企業に義務付ける方針を示している。

パワハラは6種類。あなたはこれらの被害を受けていませんか?

そもそも、パワハラとはどのように定義されるものだろうか。厚労省のホームページには「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」という定義が掲載されている。

要するに、上司や先輩など職場内で「強い立場にある人間」が、部下・後輩など「弱い立場にある人間」に対し、その立場を利用して「苦痛を与える」あるいは「働きにくい状況に追い込む」行為がパワハラだと考えればいいだろう。これは、上司や先輩が意識的に行う言動はもちろん、無意識の言動も含まれることに注意したい。

具体的にパワハラと考えられる言動として、厚労省は以下の6つの類型を挙げている。

  • 身体的な攻撃
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • 個の侵害

「身体的な攻撃」は暴行や傷害、「精神的な攻撃」は脅迫・名誉毀損・侮辱などであり、比較的わかりやすいかもしれない。「人間関係からの切り離し」は、ある日会社に行くと自分のデスクだけ他の部員から離れたところに置かれている、正当な理由なく担当していた仕事から外される、仲間はずれや無視をされる、といったケースが考えられる。

「過大な要求」としては、例えば「明日までに3人分のデータ処理をやっておいて」という言葉を考えてみよう。処理すべきデータ量が通常業務の範囲内であれば問題ないが、それが明らかに過剰負担・不可能だったり、あるいは嫌がらせのために指示するそもそも不要な業務の場合は「過大な要求」に該当する。その仕事を頼まれた従業員が長期休養明けで、上司が「長い間休んでいたんだからそれくらい文句言わないでやってくれるよね」という言葉も付け加えたとすれば、「精神的な攻撃」にも該当するだろう。反対に、合理的な理由なく、能力や経験に照らして明らかに程度の低い仕事を命じる行為は「過小な要求」に該当する。

そして「個の侵害」は、プライベートな内容を執拗に聞き出そうとしたり、部下のスマートフォン画面を勝手に見たり、プライベートな事情を業務に絡めて批判したり、といった行為が該当する。例えば、休日出勤を断った部下に対し「かわいい奥さんがいるから家にいたいんだろう」などと発言することは「個の侵害」のパワハラと考えられる。

  • パワハラ対策は企業がしっかり防止措置を取るべき

    企業のパワハラ対策として考えられる防止措置としては、以下のものが考えられる。

    • トップメッセージ
      企業のトップがパワハラをなくす決意を固く持ち、その思いをトップメッセージとして表明する。
    • ルールを決める
      就業規則などにパワハラを禁止する旨の条項を加え、パワハラに関するルールを明確に定める。就業規則に盛り込むことで、パワハラの加害者に対して解雇までを含めた処罰を行う用意があるという経営側の厳しい姿勢を見せられる。
    • 社内周知
      パワハラ禁止ルールを策定したことを社内に周知徹底する。策定時に一度だけ周知するのではなく、継続的・計画的に発信することがポイントになる。
    • 社内アンケート
      パワハラの有無について匿名の従業員アンケートを実施する。パワハラ被害の実態が浮上するのに加えて、回答から課題や対処法が見えてくることもある。また、アンケートを行うことで抑止効果も働く。
    • 研修・教育
      パワハラに関する理解を深めるため研修を行う。社内周知と同様、一度でなく定期的に繰り返し、かつ管理者と一般従業員を分けて実施すると効果的。マニュアルやガイドラインを作成し、朝礼などの機会に読み上げて教育を促進する方法もある。

    一方、実際にパワハラが発生してしまった場合にはどのように対処し、解決につなげていけばいいだろうか。

    まず重要なのは、被害者への対応だ。前出の厚労省実態調査では、パワハラを受けながら「何もしなかった」(上司・同僚、家族・友人、カウンセラー、外部機関などへの相談を一切しなかった)従業員が4割を超えている。そこで有効なのが、相談窓口の設置。これにより泣き寝入りせず声を上げる従業員が増える可能性がある。また社内アンケートと同様、相談窓口があることで抑止効果も期待できる。社内の窓口では相談しにくいケースも考えられるので、外部機関に委託することも検討していいだろう。

    加害者に対しては、就業規則に基づき処罰を行わなければならないケースも当然ある。ただ、それだけではなく、再発防止のための取り組みも重要だ。加害者の社内での立場に配慮しながら再発防止研修を行うことなどが考えられる。

    パワハラは従業員の被害だけでなく、企業のイメージ低下にもつながる

    パワハラ対策を積極的に実施している企業の事例を紹介しよう。

    ある金融機関では、パワハラを自ら行うことに加えて他人が行うことも容認しないと明記したハンドブックを作成。このハンドブックを社員全員に毎日携帯させている。人事総務部内・外部機関など相談窓口を複数設置し、社員が相談しやすい環境を作っているほか、パワハラに関するアンケートとその結果を基にした研修も行っている。

    ある化学メーカーでは、社内ホームページにハラスメント対策ページを作り、パワハラに関する知識や事例を掲載。また、相談窓口案内ポスターを作成し、社内の休憩室やトイレなど目に付きやすい場所に掲示している。

    ある運輸業者では、毎年更新するポスターやコンプライアンス研修のDVDで継続的な周知を行うほか、管理本部長と総務人事課長が手分けして全事業所の全従業員(パート・派遣社員含む)と個人面談を行い、現状把握に努めているという。

    パワハラは従業員の心の病を引き起こし、退職や長期休職に追い込む可能性がある。それに伴いコストや新たな求人業務が発生し、さらには被害者がSNSで発信することで企業イメージが低下する事態も想定し得る。総務人事が率先して効果の高い対応に取り組み、万が一パワハラが発生してしまった場合は親身なフォローを心がけてほしい。

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