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第1回 工場DXに潜むセキュリティリスク
コラム「工場DXにおけるセキュリティ対策」1.1 イントロ
近年、工場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は急速に進展しています。この背景には2つの主要な視点が存在します。まず、人口減少・高齢化に伴う労働力不足や新製品開発競争の激化、高品質製品への要求の拡大に対応するため、製造工程の効率化や自動化が求められている点です。もう一つは、AIやIoT技術の革新、ロボティクスの進展などの技術革新により、グローバル競争力の強化という観点からも、工場DXが多くの企業にとって不可避の変革となっていることです。
しかし、急速なDXの導入は、伝統的な製造業務に混乱をもたらす可能性もはらんでいます。現場の従業員が新技術に適応できない場合や、逆に運用コストが増大する可能性もあります。また、技術を正しく扱えないことから生じる不正操作や情報漏洩といったセキュリティリスクも浮上しています。
このような現状を踏まえ、今回のシリーズでは、工場DXを進める際に注意すべきセキュリティ対策について3回にわたって詳述します。まずは、工場DXに潜むさまざまなセキュリティリスクを明らかにし、次に現場のセキュリティリスクの実態と課題、そして具体的なセキュリティ対策を示します。最後に、ITの活用によるDX推進とセキュリティ対策の両立について考察することで、DXの利点を最大限に引き出す道筋を探ります。
1.2 昨今の工場DXの進展
総務省の調査(注1) によると、日本国内の多くの工場が「生産性向上」や「データ分析の活用」を目的としたDXに取り組んでいます。具体的には・・・・・・
- 注1:
引用:総務省(2022)『国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究』
監修:日本能率協会コンサルティング
