クイズ「情シス部門が知っておきたいテーマ」
アプリケーションを誰でも使いこなせるようにする仕組みとは?
2022年10月
クエスチョン
ソフトウエアやアプリなどを使用する際のユーザー体験を高め、ユーザーに定着させる状態にするものとは?
- デジタルアダプション
- DX
- デジタルツイン
- ローコード
アンサー
1. デジタルアダプション
解説
せっかく新しい業務アプリケーションを導入したにもかかわらず、「従業員が操作に戸惑って慣れるまでに時間がかかり、なかなか生産性が上がらない」、「画面が難しくて誰も使いたがらない」、「入力ミスが頻繁に発生する」、「情シス部門に問い合わせが殺到する」といった状況に陥ってしまうことが珍しくありません。これまで多くの企業が経験してきた、“あるある”の問題ではないでしょうか。
この問題を解消するのが、ユーザーが最初から適切にアプリケーションを使いこなせる環境を提供する「デジタルアダプション」(デジタル定着)と呼ばれるソフトウエアやサービスです。市場でも徐々に関心が高まってきており、調査会社の米ガートナーは「2025年までに70%の組織がデジタルアダプションソリューションを使用する」と予測しています。
デジタルアダプションは具体的にどんな機能を備えているのでしょうか。提供ベンダーによって仕様に違いがありますが、多くのソフトウエアやサービスで共通するデジタルアダプションの“目玉”となっているのがガイダンス機能です。
ユーザーが利用しているWebアプリケーションの画面上にポップアップ(吹き出し)でメッセージを表示し、どんな内容を入力すればよいのかヒントや例を示して適切な操作を対話型でナビゲーションします。インストラクターが常に寄り添ってユーザーをサポートするイメージです。
一部の情報について選択肢を示したり、デフォルト値や推奨値で自動入力できるようにしたり、ユーザーのトレーニングを目的としたチュートリアル(説明)を表示したりする機能を備えたソフトウエアやサービスもあります。
さらに高度なデジタルアダプションになると、アプリケーションの利用状況をデータで収集・解析し、ユーザーの定着度を可視化する分析機能も提供します。
なお、デジタルアダプションを導入するにあたって、対象のアプリケーションそのものを改修する必要はありません。多くの場合、Webブラウザにプラグインをインストールするだけで利用可能となります。こうした導入や運用面のハードルの低さも、デジタルアダプションが多くの企業から注目される理由となっています。
これまで日本企業は諸外国と比べたデジタル化の遅れ、従業員のITリテラシーの低さなどがしばしば指摘されてきました。デジタルアダプションはまさにこの課題を克服し、DXを加速させるきっかけとなる可能性を持っています。