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コンサルタントのコラム

ITマネジメントレベルの向上

[第1回]今、IT部門に求められていること

2010年2月(2020年10月改訂)

今、企業にはIT経営が求められている

2008年の金融危機をきっかけとした景気の低迷から、IT投資を抑制している企業は少なくありません。
しかしながら、現在の企業においては、ITは必要不可欠な存在です。その投資効果を最大限にしていくことは、どの企業においても重要な課題です。

IT投資の効果を上げるとは、ITを経営に積極的に活用していくことです。
経済産業省では、2007年からITを経営に活かして企業の競争力を高めるために「IT経営ポータル」というWebサイトを立ち上げ、企業をバックアップしています。

この中で「IT経営」とは、

ITを高度に活用することによって経営改革を推進し、企業の生産性を高めて競争力を強化していくこと

とされています。

IT経営実現のためには、様々な要素が必要ですが、私が一番重要だと考えるのは「ITマネジメント力」の強化です。
本コラムでは、この「ITマネジメント」について考察します。

ITマネジメント力とは何か?

ITマネジメント力とは、「企業の経営戦略と整合したIT環境を実現し、中長期的に継続する能力・組織力」のことだと考えられます。
では、具体的に強化していくべき機能には、どういったものがあるのでしょうか?

ITマネジメントを考える上で、分り易くて参考になるものとして、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表している「情報システムユーザスキル標準(UISS:User's Information Systems Skill Standards)」があります。
これは、ITに関わる組織・人材に求められるスキル・知識を体系的にまとめたものです。

UISSを元にして、ITベンダーの立場からITマネジメントに必ず求められると思われる機能をキーワードとして抽出したのが図1です。
大きく分けると「IT戦略のPDCA」と「共通機能」に分けられます。

[図]【図1】組織に必要なITマネジメントの機能マップ(UISSを元に筆者作成)

IT戦略のPDCA

IT戦略のPDCAは、事業戦略に整合した、IT戦略を策定(Plan)し、その実行(Do)と評価(Check)、見直し(Act)を行うPDCAサイクルを構成する機能です。
この中を細かく分けると6つの主要機能があります。

  • 事業戦略とIT戦略整合

    事業戦略を反映したIT戦略を策定する機能

  • システム導入

    IT戦略で立案した個別テーマのシステムを構築・導入する機能(プロジェクト管理を含む)

  • システム運用

    個別システムを計画的かつ効率的に維持・運用する機能

  • 戦略実行マネジメント

    IT戦略実現に向けた複数プロジェクトの実行モニタリング機能

  • 活用と保守

    システムと情報を最大限活用し、システムをより使い易くする機能

  • IT戦略実行評価

    IT戦略の実行状況を評価し、IT戦略へフィードバックする機能

共通機能

共通機能は、IT戦略のPDCA各機能に共通して関与する機能です。
IT基盤管理、リスクマネジメントの要素があり、細かく分けると4つの主要機能があります。
これらの機能は、企業の規模や業種によって、担当する部門や仕組みは異なりますが、ITマネジメントの機能としては必須の機能です。

  • ITインフラ管理

    IT基盤に関わる戦略策定、導入、維持管理を実施する機能

  • 情報セキュリティ

    情報資産をリスクから保護する情報セキュリティ管理機能

  • 事業継続

    ITサービス中断により事業への影響を最小化する機能

  • 内部統制

    内部統制の仕組みを構築し、運営する機能

ITマネジメントレベルを上げるには

では、これらの機能を強化し、ITマネジメントレベル(*)を向上するには、IT部門はどのように取り組んだら良いでしょうか?

*本コラムでは、ITマネジメント力のレベルを「ITマネジメントレベル」と称しています。

ITマネジメントの強化は、その時々の時流となる課題解決を中心とした個別テーマの改善に陥りがちです。
例えば、情報漏えい事故発生の対応として情報セキュリティを強化したり、J-SOXを機に内部統制に取り組んだりと、目前の課題対応に全力を挙げることになります。

目前の課題に関係する機能は、自社が持つITマネジメント全体の機能から見て弱い部分の可能性があります。しかし、他社よりも進んでいて“全力”を注ぐ必要は無いレベルかもしれません。

<必要な実施事項>

  • ITマネジメントそれぞれの機能で求められていることを、どの程度実施できているのかを把握する(つまり、現状のレベルを把握する)
  • 目指すべき目標レベルを明確にする
  • 目標に満たない部分を強化する対策を実行する

これらを実行し、強化した結果を把握し、改善につなげていく・・・
まさにPDCAサイクルを確立して、地道に回すこと、つまり図2の「ITマネジメントサイクルの確立」が何よりも重要です。
ITマネジメントレベルの定量的な把握が、ITマネジメントサイクル確立の第一歩と言えます。

[図]【図2】ITマネジメントサイクル

当社の取り組み

当社ではIT部門が中心となり、2006年からITマネジメントレベルの把握と強化に取り組んでいます。
取り組みのポイントは、自社のIT環境を効率良く整備する戦略・施策を立案するために、まず自社のITがどういう状態・レベルにあるかを定量的に把握することです。

これまでIT部門として培ってきたノウハウを元に、ITに求められる機能は何かを洗い出し、そのレベル判断基準を「情報システムの成熟度評価シート」という評価ツールにまとめ上げました。
このツールにより、当社のITマネジメントレベルを可視化し、課題を抽出した上で、戦略・施策への展開とKPIの設定を行います。
この流れを表したのが図3です。

[図]【図3】ITマネジメントレベル診断に基づく情報戦略施策の策定

診断の結果、課題として抽出された「システム運用」「業務アプリケーション」といった領域を強化することで、ITマネジメントレベルの向上を図りました。

まとめ

今、IT部門に求められているのは、ITが事業戦略と整合して、本当の意味で経営を支えている状態(「IT経営」が確立した状態)を実現することです。
そのために、自社のITマネジメントレベルを把握し、明らかになった課題に対して対策を進めることが必要です。
加えて、事業戦略との整合の視点で、進捗状況や対策の結果をきちんと評価し、見直しにつなげる「ITマネジメントサイクルを確立する」ことです。

Look it!

当社では、IT部門のノウハウをお客様のIT強化に役立てて頂くことを推進しており、スタッフ部門とお客様対応部門の連携を強化しています。
今回紹介したITマネジメントにおいても、IT部門スタッフとコンサルタントが連携し、お客様企業のITマネジメントレベル向上に役立てていただくツールの開発を行いました。
このツールは当社IT部門のノウハウを元にして、お客様企業の診断ができるようにしたものです。名称は「ITマネジメントレベル簡易診断」です。
既にサービスを実施しております。詳細はお問い合わせください。

執筆

NECネクサソリューションズ
コンサルタント 松吉 賢幸
[公認情報システム監査人(CISA)]

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