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IoT
IoT/インダストリー4.0の最新市場動向アップデート(第2回)

独米日それぞれの動向

IoTに対する日本の取り組み

日本におけるIoTの取り組みは、2015年に始まったばかりです。2015年5月に日本政府と工業会が、その取り組み組織として“ロボット革命協議会(RRI)”を設立し、様々なテーマでIoT推進活動を開始しています。10月には、総務省と経産省が協力して“IoT推進フォーラム(IoT推進ラボ)”を設立し、1,000社以上の企業がこれに参画して新しいビジネス創出を目指しています。

また、学術系団体から日本機会学会の分科会「つながる工場」を母体として、5月にインダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IVI)が設立されました。初年度の活動を終えて、すでに20テーマの活動実績が報告されています。その他、企業がそれぞれ独自の組織や取り組みを開始して製品/サービスの売り込みを目的として独自のグループやコンソーシアムを形成しています。

日本の大企業個々の取り組みは、IoT活用で既に世界トップレベルの結果を出しています。
米GE社がインダストリアル・インターネットへ事業戦略を転換するモデルとなったのは、建設機械大手コマツのKOMTRAX(コムトラックス)という仕組みだと言われています。これは、パワーショベルなどにコンピュータとセンサを搭載して遠隔地からGPSで所在をリアルタイムで把握、遠隔操作が出来るというものです。コマツは、こうした取り組みを15年以上続けデータ活用によるサービス提供で顧客満足度を高め、サービス提供による売上/収益を上げています。

三菱電機は、名古屋製作所など自社工場の取り組みを製品化して、製造設備のネットワーク化やそのソリューションを既に3,000件以上外販しています。これは、インダストリー4.0が目指しているスマート工場のイメージに重なります。

ドイツ工作機械大手ギルデマイスター社と経営統合した大手工作機械メーカーDMG MORIでは、2013年よりネットワーク化対応した工作機械の販売を開始しています。これに対応したDMG MORI Messengerというシステムに接続するだけで、簡単に工作機械の稼働状況をリアルタイムで把握することができます。従来は、設備それぞれをネットワークで繋いでから、これを管理するためのシステムを構築してようやく稼働状況を把握できるという手間とコストが必要でしたが、この手間を一気に省くことができます。(三菱電機、ファナック、シーメンスの機器などはプラグアンドプレイで即時に利用可能。)

「日本企業は、IoTで遅れを取っている」とメディアは危機感を訴えていますが、中堅中小企業は、事実こうした取り組みから取り残されつつあります。ドイツのインダストリー4.0は、ドイツの基幹産業である自動車や機械などの製造業が中心で、その中には中堅中小企業にもフォーカスしています。

米国のIICは、製造、エネルギー、運輸、ヘルスケア、社会インフラなど幅広い産業の大企業を対象としています。ここにはSAPやシーメンス、ボッシュといったドイツ大手企業が、三菱電機や東芝、日本電気といった日系大手企業が参画しています。メディアは勝手な想像で、独インダストリー4.0と米IICを国家間競争や対立のように書いていますが、実際には敵対関係ではなく協調関係にあります。

IEC(国際電気標準会議)の国際委員会TC65(産業プロセス計測制御とオートメーション)で標準化に取り組み、製造業の標準化SG8(Industry. 4.0 - Smart Manufacturing)でドイツと米国が1人ずつ共同議長となって作業を進めています。(メンバーは、ドイツ、米国の他に日本、ブラジル、中国、フランス、韓国、スウェーデン、英国)2016年3月2日の発表によると、独インダストリー4.0と米IICが国際標準化についての提携が報じられています。

2016年4月25日~29日に開催されるハノーバー・メッセ2016のパートナーカントリーは米国で、この席上でメルケル独首相とオバマ米大統領が両国協力ロードマップや法規制など具体的な提携強化を表明することが予想されています。少し整理すると、ドイツは大企業から中堅中小企業までを含む製造業を対象とした取り組み。米国は、大企業中心に国や業種にこだわらない取り組み。日本は、大企業は個々が既に行動して実績を出しつつありますが、中堅中小企業はこうした動きから取り残されつつあると思われます。日本として、ドイツのような産官学が一体となって中堅中小企業もカバーした取り組みが必要ではないかと考えます。

ドイツ政府と日本政府が、インダストリー4.0における提携に合意!

ハノーバー・メッセ2016で世界が注目するなか、ドイツと米国の提携は製造業のルールが独米主導で書き変えられる可能性を示唆しています。日本の孤立化が懸念されるなかで、日本政府はこのタイミングでドイツ政府とインダストリー4.0での提携に合意しました。

独日共同でつながる工場の実証実験を行うなど、各種プロジェクトの活動計画もあり出遅れていると言われていた日本の取組みですが、少しずつ具体的なかたちになってきています。日本政府のファインプレーが、日本企業の追い上げのチャンスとなることが期待されます。

【解説】IoTに対する各国の取り組み

Update! インダストリー4.0 インダストリアル・
インターネット
日本版インダストリー4.0
ドイツ 米国 日本
組織 産官学共同(政府主導)
ドイツ工学アカデミー
(acatech)
企業連合(企業主導)
インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)
業界団体、企業グループ、学術団体など乱立 (RRI、IoT推進コンソーシアム、IVIなど)
企業 中小企業にフォーカス、 大企業が支援する(Bosch社、Siemens社、SAP社など) 大企業が主導(GE社、Intel社、CISCO社など)PTC, AWS, MS, IBMなどIT系が強い。 大手企業や業界団体が主導、ベンチャ立上げ大企業と中堅中小企業、製造業とIT企業の思惑が錯綜。企業ごとに個別判断、独自仕様。
戦略のポイント デジュールスタンダード
標準化の主導権を握る
ISOやIECなど国際規格でイニシアティブをとる戦略
(ISA-95/IEC62264, IEC TC65 IEC/SG8など)
デファクトスタンダード
オープン・イノベーションとデジタル化
(CPS:サーバー・フィジカル・システム)で主導権を握る。デジタル化とコンソーシアムでイニシアティブをとる戦略、勝った企業が総取りする企業間競争で生き残る
戦略なし、ビジョンなし、危機感いっぱい?
独米に追従する、日本型を模索中?
IoT組織乱立、ビジョンとアウトプットがない
・ロボット革命イニシアティブ協議会RRI
・インダストリアルバリューチェーンイニシアチブIVI
・IoT推進コンソーシアム/IoT推進ラボ
コンセプト Factory Centric
工場中心の発想
Smart Factory(つながる工場)の実現
Machine Data Centric
機械(モノのデータ)中心の発想
Software Define Machine(ハードウェアとソフトウェア/サイバーと現実の融合)
Hardware Centric & Data Centric
ハードとデータ中心の発想
・通信・IT:クラウド、ビッグデータ、人工知能:AI
・製造業:技術と品質、センサとロボットとAI
その狙い、現状と課題 ドイツの製造業を世界標準にすること
ICT技術は標準化とスマートファクトリー(つながる工場)の実現化手段、ドイツ以外の国が賛同していない。欧州経済の低迷、中国経済の減速、米国の追い上げ、進捗遅れ、中小の不信感
米国がデジタル化(CPS)とオープン・イノベーション(IIC)で世界をリードすること
ICT系がIoT Platform戦略展開してICT技術を武器(Predixとクラウド技術)として世界標準を狙う。製造業だけにとらわれない幅広い産業対象としている(製造業、ヘルスケア、運輸物流、インフラ、エネルギーなど)
日本の製造業が生き残ること、欧米の新しい取り組みに日本企業が取り残されたくない!
IoTバブル化しつつある?コマツなど一部の先行事例を除いて、世界に通用するビジネスモデルやテクノロジーは見出だせていない。大企業は独自技術に固執(ガラパゴス化のリスク)、ICT系は独自技術に偏ったビッグデータを指向。ノウハウ継承や熟練技術者育成が日本の強みでもありリスクでもある(後継者、人手不足、時間と経験)
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