IoT
モノづくりIoTソリューション(リードタイムの短縮) 第1回
本社力と現場力とIT力
2017年5月
はじめに
今日から、新しいコラムが始まります。
主に中堅製造業を対象に、「本社力」「現場力」「IT力」というテーマで考えてみたいと思いますので、最後までお付き合いください。
「真の危機感」 を乗り越えるには
大きな成長が期待できない中、サステナブル(sustainable)な時代と言えます。
このような中で、「もやもやとした危機感」「漠然とした危機感」を抱いている企業は多いと思います。しかし、これを「真の危機感」 に変え、その危機を乗り越えようとしている企業は多くありません。その為には何が必要なのかを考える必要があります。
日本の成長率は、0%前後です。全世界で3%強、米国で2%強、中国で6%強、EU離脱を決断したイギリスで1%強。
これらに比べて、日本は危機状態にあるはずですが、、、ゆでガエル状態です。
(実質国内総生産(GDP)の前年比成長率、2017年見通し)
危機感を正しく捉えるには、単に売上・利益といった財務諸表だけで良いのでしょうか?
いいえ、そのためには、営業・開発・生産・保守といった将来の収益を創り出す企業の土台となる「現場力」を正確に把握することが必要です。
現場力を強化するために
従来、ERP(Enterprise Resource Planning)に代表されるように、ITはマネジメントシステム領域で使われてきました。マネジメントシステムは、中長期のリソース計画や、短期の販売・生産計画の立案から実行、フィードバックを行い、計画遂行管理を行っていました。まさに「本社力」を支援するためのシステムです。右肩上がりの成長フェーズではマネジメントシステムは有効に機能し、大きな成果を生み出してきました。
しかし、0%成長の時代では、より少ない材料で、より少ない人数・設備で、より少ない時間で計画を遂行しなければなりません。さらに、継続的に収益を生み出すためには現場が常に進化し続ける必要があります。進化する「現場力」を基準情報として、マネジメントシステムが実行されます。
IoT(Internet of Things)や、ビッグデータ、AI(Artificial Intelligence)に代表される最新の技術トレンドは、様々な現場(営業・開発・生産・保守)で起きている事実を正確に把握し、現場力を強化するために活用されています。
最近、注目されているモノづくりの現場でのIoTソリューションは、上位のマネジメントシステム(生産管理システム)の実績収集システムではなく、モノづくりを支える現場力の向上を目的としたシステムです。今後、企業の収益基盤となる現場力の向上を目的とした現場システムはますます重要になり、IT投資の大部分を占めるようになります。
本コラムでは、「本社力」「現場力」、そして、それらを支援する「IT力(マネジメントシステム、現場システム)」の3つの視点から、それぞれの位置づけ・役割・相互の関係を整理し、今後の「あるべき姿」を探ってまいりますのでご期待下さい。