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IoT
IoT/インダストリー4.0の最新市場動向アップデート(第3回)

IoTはどこで買えるのか、IoT対応とはいつまでに何をすれば良いのか

「社長からIoTをヤレと言われたのですが、何を買えばいいですか?」

冗談ではなく、真面目にこの言葉で相談されたことがあります。それも一度のみならず、数回このような質問をされました。また、「IoTはどんなシステムを開発すれば良いのでしょうか。ビックデータですか、保全管理ですか、どんなソフトウェアを作ればIoTで儲かりますか?」この質問はもう数えきれないくらいITベンダさんから頂きました。

その答は簡単です!何かのシステムを買ったり、作ったりしてもIoTが出来る訳ではありません。
IoTとは“モノ+コト”という考え方で、システムはIoT対応の実現化手段です。マスメディアが、「IoTで先行している欧米が勝ち組、出遅れた日本は負け組」とユーザー企業の危機感を煽り、一部のITベンダが自社システムを売り込むキーワードにIoTを使った結果がこの始末です。

最近、IoTがバズワードだと言われている理由のひとつがこれでしょう。しかし、国内外のIoT先行事例などを参考としてサービスを抜本的に見直すチャンスと捉えて取り組むべき良いタイミングだと考えることができます。

【解説】従来の保守サービスと、IoTの提供するモノ+コトの違いとは

[図]従来の保守サービスと、IoTの提供するモノ+コトの違いとは図1:従来の保守サービスと、IoTが提供するモノ+コトの違い

IoT活用の2つの意味

インダストリー4.0には、ドイツ政府の政策としてのキーワードと新しいテクノロジーの2つの意味があると第1回のコラムでも書きましたが、“IoT活用”にも同様に2つの意味があります。

内向きのIoT活用

IoT活用の1つ目の意味は、モノ(設備)をネットワークにつなぐことで従来の仕事のやり方を見直すきっかけを作ることです。

ネットワークにつなぐための設備更新やシステムなどの投資が必要となりますから、仮説を立てて小さく実証実験から取り組みます。AS-IS(現状の課題)からTO-BE(あるべき姿)を予測して、こまかくPDCAサイクルを廻してカイゼンを繰り返して行くやり方を推奨します。

取り組みのポイントは、実証実験で得られるデータの活用にあります。「工場の見える化」や「社内の見える化」を掲げて、生産性向上や効率化、省人化による人手不足対策、コスト削減など具体的な定量的効果を積み重ねていきます。「見える化」するデータは、モノ(設備)から自動的に収集し可視化ツールや統計解析ツールなどを使って“誰にでもひと目で分かる”ように心掛けます。

外向きのIoT活用

IoT活用のもう1つの意味は、モノ(製品)をネットワークにつないだデータを利用した新しいサービスを提供すること。

これは自動車や機械といった製造業で取り組みが始まっていますが、最新のIoT事例を必死に探さなくても電気・ガス・水道や通信(携帯電話など)で提供されている製品/サービスに参考となる事例を見出すことができます。フォーカスすべきポイントは、ユーザーが欲しいと思うサービス(コト)を手に入れるための製品(モノ)の関係やビジネスモデルを考えます。すぐに気づくと思いますが、モノ(製品)がコト(サービス)を提供する手段となっていて、利用料は従量課金型や月額利用料など期間定額型になっているのが特徴です。

“モノ+コト”によるサービス提供は、新しいビジネスモデルとして売上/収益に直接貢献することができます。自社独自の強みを活かして、他社が真似できない“モノ+コト”を事業化できれば(例、コマツやケーザーコンプレッサーなど)、業績を飛躍的に伸ばすことが可能だと言われています。

IoT活用の現状

2016年4月に開催されたハノーバー・メッセ2016において、ドイツと米国がパートナーシップを組んで製造業の国際標準化へ積極的に取り組み、独米両国が製造業をリードしていくことが表明されました。

日本政府もこのタイミングでドイツ政府とインダストリー4.0での提携に合意しました。目指すゴールは、2025年以降とまだ少し先となりますので巻き返す時間は残されています。

IT業界のIoT領域に対する活動は現在活況に見えますが、数年ほどで次第に淘汰されて落ち着いてくると予想されます。一過性のブームが終わり、中長期的なゴールを目指して地に足の着いた着実な取り組みを継続した企業が生き残ることになるでしょう。

ドイツがインダストリー4.0に取り組みはじめて既に5年近く経過していますが、そのゴールは2025年以降で現在はまだインダストリー3.5程度だと言われています。米国のIICの取り組みも始まったばかりで、大企業から中小企業・ベンチャーが一斉に製品/サービスに取り組んでいます。しかし、いずれの企業もこれがIoT活用のゴールだとは言っていません。この取り組みはまだ、スタートしたばかりの状況です。

第2回のコラムで紹介した【解説】「IoTに対する各国の取り組み」をご覧頂ければ分かる通り、国ごとにコンセプトに違いがあるのはIoT活用に明確なゴールが定まっていないからです。独米両国どちらも、現時点で明確なゴールや実現時期を定めていません。目指している方向性やアプローチは同じですが、その最終目的は新しいビジネスモデルを生み出して、産業を成長させていくことにあります。つまり、国や業界、企業それぞれが自ら試行錯誤しながら取り組むべきテーマだと言えます。IoT活用の具体的な内容については、図2(IoT活用ステップ)に示した通り3つのステップがあります。

【解説】IoT活用のステップ:IoT活用の具体的なロードマップ

[図]IoT活用のステップ図2:IoT活用のステップ

以上で「IoT/インダストリー4.0の最新市場動向アップデート」シリーズは終わりとなります。次回はIoT最新事例の2回目「外向きのIoT事例、IoTでコストセンターをプロフィットセンターにする取り組み」についてご紹介致します。

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