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IoT
目の付け所が違うIoTデータ活用(第2回)

ゴールを目指すステップは、監視・保守・制御のIoTデータの三段活用!

“競合会社がIoTで先行している場合、後発だともう勝ち目はないのでしょうか?”

前回は、先駆者事例としてコマツの取り組みをコマツレンタルが作成した動画の内容からご紹介しました。建機市場ではコマツのICT建機の存在感が強く、業界トップのキャタピラー社や日立建機などがこれを追撃していますがその差を縮めるのは簡単ではないようです。

IoTの後発企業は、先行企業に勝ち目の無い闘いをしているのでしょうか。その答は、恐らくノーです!必ずチャンスはあります。

但し、先行企業と同じやり方では逆転するのは難しいと思います。先行企業が見過ごしている全く別の発想や取り組みを見つけて、同じIoTデータを使って全く別のサプライズを生み出す必要があります。目の付け所を変えて、逆襲の機会を狙わなければなりません。

キャタピラー社の例 2016年6月にPLM領域に強みを持つ米大手ソフトウェアPTC社と戦略的提携を発表しています(注)。
PTC社が持つ、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)の最新ソリューションを使って建機の新しいソリューションを開発して顧客への提供を行うようです。ここでキャタピラー社が掲げたのは、「次世代の建機は、IoT+AR/VR+Analyticsつまり、ウェアラブル機器やタブレットなどを使って、作業指示や情報をオペレーターへ提供する新しいサービスにある」という内容です。
日立建機の例 Global e-Serviceというシステム基盤を使って、お客様が欲しい仕組みやサービスをあっという間に構築して提供することで先行するコマツに対抗しようと考えています。これは、日立グループが強みとするシステム開発力を最大活用したソリューションです。

コマツのスマート・コンストラクションは、コマツが考えたメニューからサービスが提供されます。しかし、お客様にはそれぞれこだわりがあってメニューに無い要望が必ずあるはずだと日立建機は考えました。それならば、お客様のわがままを叶えるサービスを作って提供すれば良いという発想です。これならば、コマツのサービスメニューでは満足できないユーザーのニーズに応えることで差別化が狙えます。

このように、キャタピラーや日立建機はIoTで先行するコマツを別のアプローチで追撃して後発の不利を覆そうとしています。建機に搭載したセンサーからのデータを利用するところはコマツと同じですが、その狙いやアプローチは全く異なっています。コマツの真似では、勝負には勝てませんから「コマツがやっていないコト、できないコト」を見つけて逆転する戦略です。

“真似のできないデータ活用”への3つのステップ

これからIoTに取り組む企業の心構えは、前編で訴求した通り“真似のできないデータ活用”にこそ成功の秘訣があります。そして、そこに至る道筋には次の3つのステップがあります。

  • STEP1 監視(モニタリング):徹底的に「見える化」する
  • STEP2 保守(アフターサービス):徹底的に効率化する、ムダを省く
  • STEP3 制御(コントロール):データを活用して、モノを制御する、使い易くする

この3つのステップを、コマツのICT建機の取り組みより紐解いてご説明します。

STEP1 「監視(モニタリング)」段階

まず、STEP1「監視(モニタリング)」段階ですが、これは建機1台1台の稼働状況を把握するシステム(コムトラックス)で実現しています。建機がどこにあって、どのような状態で、何が必要なのかを「見える化」します。ここがIoTデータ活用のスタート地点となります。

STEP2 「保守(アフターサービス)」段階

次に、STEP2「保守(アフターサービス)」段階へと進みます。この段階では、STEP1で集めた膨大なデータを利用して、効率的でムダの少ない使い方や、故障やトラブルを予知して不具合を未然に防ぐようなサービスの提供が可能となります。さらに蓄積されたデータから、どのように操作すれば燃料消費を減らし、故障する前に部品交換を促し、常にベストの状態で建機を使うことができます。

STEP3 「制御(コントロール)」段階

STEP3「制御(コントロール)」段階では、蓄積されたデータを活用した新しい建機の開発やソフトウェアのアップデートで機能拡張できるような仕組みを実現することが可能です。自動車では、米電気自動車のテスラモーターズは既にこうしたサービスを実現しています。この仕組みの優れているところは、ソフトウェアをアップグレードすれば、同じ自動車そのままで不具合の解消や自動運転機能などが使えるようになることです。これはまるでスマートフォンのようです。つまり、STEP3「制御」では、モノにスマートフォンの機能が搭載されます。建機だと、追加拡張するソフトウェアをネットワーク経由で送り込んで、遠隔制御による自動運転や熟練度の低いオペレーターへの作業支援(ガイド機能)を即時に提供することが可能になるかもしれません。この3つのステップは、「監視→保守→制御」へと三段階でレベルアップして行きます。これが、IoTデータの三段活用です。

各社が独自に開発するIoTソリューション構築のポイントを整理します

[図]各社が独自に開発するIoTソリューション構築のポイント

IoTへの取り組みのまとめ

IoTへの取り組みをまとめたいと思います。

まず、IoTへの取り組みはIoTが導入の目的ではなく、IoTデータをビジネスに活かすことが目的になります。データ活用を具体的に紐解くと、成功しているケースはお客様のニーズを先取りするサプライズを演出するサービス提供を実現しています。こうしたサービスは、先行事例を真似しても逆転することはできないため同じデータを使って全く別の視点で新しいサービス提供を考える必要があります。IoTデータをビジネスに活かすためには、3つのステップで取り組む必要があります。

第一段階は「監視(モニタリング)」で、モノと情報の「見える化」を行います。第二段階は「保守(アフターサービス)」で、第一段階で収集したIoTデータを使って効率化や省力化に取り組み、お客様の満足度を高める必要があります。第三段階は「制御(コントロール)」で、この段階で同業他社とは異なるサプライズのサービスを提供して、モノをコントロールすることで製品の差別化を実現します。

最も重要なことは、過去からの延長線上でサービスを考えるではなく、未来のお客様のニーズや夢を叶える取り組みが求められます。こうした取り組みは、2,3年といった短期に実現できるものではなく、10年以上の中長期の取り組みとそのデータや経験の蓄積が先行成功事例から読み取れます。

IoTにどう向き合うべきなのか、何を目標とすれば良いのかなど悩みは尽きませんが、今確実に言えることは『いますぐ始める』ということです。小さく始めて、走りながら考えるというのがIoTプロジェクトの特徴だと思います。そんないい加減なやり方で大丈夫なのかという意見もあるでしょうが、様子見をしていると確実に取り残されてしまうでしょう。取り残されると、後から挽回、逆転するのは至難の業です。失敗を恐れず、失敗を糧としてチャレンジし続けることが成功の秘訣です。先行しているドイツや米国の話を聞くと、「2025年には、2030年にはここまで行きたい!」と10年先を見据えた取り組みをしていることが分かります。

『継続こそ力なり』という言葉がありますが、IoTへの取り組みは、自らが思い描く未来を手繰り寄せるような活動かもしれません。迅速かつ柔軟な取り組みを積み重ねながら、ゴールは遠い先に置いて目に見える成果やサービスを次々と実現する進め方こそ成功に至る道筋ではないでしょうか。

注:キャタピラー社が2016年6月にPLM領域に強みを持つ米大手ソフトウェアPTC社と戦略的提携を発表。

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