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IoT
IoTの見える化とは(1)

「見える化」がIoTで重要な理由とその取り組み方

はじめに

IoT(モノのインターネット)は、新聞や雑誌、テレビやネットで見ない日がないくらい身近な言葉になりました。欧米の大手メーカーや大手IT企業、国内大手自動車会社などがIoTに取り組んでいるニュースを日々目にしますが、正直なところ中小企業にとっては映画やドラマのような作り話にしか感じられないかもしれません。

たくさんの書籍や資料を読み漁り、いろいろなセミナーやイベントにも行ってみましたが、“IoTとはなにをどのように始めてどこを目指せば良いのか”よくわかりません。ERPやSCMが流行ったときには、幾つかのベンダから1つ選んで導入すれば、苦労はしたけれどなんとか導入して利用することができました。

しかし、IoTはそういうシロモノでは無いようです。ベンダから買えるのは、IoTを導入するための部品や要素の一部だそうです。IoTでなにをするかは、企業ごとに違っていて、その目的やゴールは自分で決めなければならないのです。社長や役員から「我が社もIoTに取り組め」と言われていますが「具体的に指示してください」と言っても、「それを考えるのもお前の仕事だから」と言われるばかりです。

困ります、正直意味が理解できません。IoTの事例も数多く見たり調べたりしましたが、製品や機械にセンサーが内蔵されていてそのデータを利用すると新しい機能やメリットがあるというのは理解できます。でも事例に整合性がなく、これをそのまま自社へ導入するのは意味が無いと思われ、なにから取り組めば良いのかますます分からなくなりました。

上記のような思いを抱いている方がたぶん多いのではないでしょうか。

IoTという言葉はバズワードらしいので、よくわからないモノだと言うイメージはみんなが感じていることだと思います。しかし、だからと言って無視できない状況です。

そこで、本コラムでは、できるだけ分かりやすく。たぶん中小企業の誰でもできる。自分以外の人にも分かるようなIoTに絞って説明して行こうと思います。壮大でカッコイイIoTではなく、そこら辺にあるモノで誰にでもできる身近なIoTの取り組みを考えてみたいと思います。

IoTは誰でもひと目みてわかる「見える化」から取り組む

“IoTとはモノにセンサーを載せてネットワークにつなぐこと”ではありません。

つなぐだけでは、意味がありません。装置や製品にセンサーを組み込んで、これをネットワークにつないでデータを収集する必要はあります。しかし、つないでデータを取るだけでは、特になにか効果やメリットがあるわけではないのです。重要なのは、集めたデータのなかから意味のあるデータだけを使いソフトウェアで処理して、具体的な価値(サービス)を見せないとIoTとは呼べないのです。

モノをネットワークにつなぐだけで、メリットなど出せるわけがありません。これがIoT取り組みのポイントなのですが、これを考え始めると簡単に進めなくなります。そこで、「IoTでなにをやるべきか」という難しい課題は脇に置いて、「なにが見えたら、人(社長と上司)は喜ぶのか」というレベルまで下げて考えてみたいと思います。つまりその答を、「これまでは見えなかった情報が、誰にでも分かりやすく見えれば良い」としてみます。

たくさんの事例から見せると喜ぶような情報について考えてみたいと思います。
IoTの事例で一番多いのは、設備保全に関する事例のようです。装置や製品が故障する前にその予兆を見つける予知保全ですが、これは装置や機械に“不安定な振動”、“変な音”、“熱くなる”、“臭い”、“汚れ”など従来のセンサーやそのデータでは測れない情報から故障を予知するという事例です。

次に多いのは、消費電力や燃料や水の使用量などエネルギーの増減を測って、エネルギー使用量の上限と下限を平準化したり、エネルギー使用量全体を減らしたりする事例です。そして分かりにくいのが、IoT先進事例として紹介されるフォークリフトが何メートル走行したとか、エアコンプレッサーが何立方メートルのエアを作ったとか、これまで聞いたことが無いような指標を使った事例です。

こうした事例を参考にして、社長や上司がひと目見てわかるIoTは、「エネルギーの増減」を数値やグラフで見せる事例だと考えました。これが身近で、取り組みが一番簡単なIoTではないかと思います。

IoTをどのように「見える化」すればウケるのか

工場やオフィス、装置や機械ごとに、エネルギーの増減を「見える化」するわけですが、従来のExcelシートやグラフでは見栄えが変わりません。そこで、どのように「見える化」すればウケるのかを考えてみたいと思います。できるだけお金は掛けたくありませんが、必要最低限で最大効果を狙うためにも、見栄えの良い見せ方をしなければなりません。

そこで見つけたのは、クラウド型のBIツールを利用して「見える化」をすることです。これならば、費用も抑えられますし、使わなくなったら契約を打ち切るだけで済みます。選定のポイントは、「見栄えが良い図表やグラフが作れること、費用が安いこと、誰でも簡単に使えること、そしてスマートフォンやタブレットでも使えること」です。探してみると、結構手軽な費用でいくつか選ぶことができます。

次に、どんなデータを見せればウケるのかを考えてみたいと思います。
エネルギーの増減を「見える化」するわけですから、時間毎のデータの変化を見せれば見る側を飽きさせないと考えました。できれば変化が刻々と感じられるように、1分毎、5分毎くらいの頻度で数値やグラフが変化する動きのある内容が良いと思います。デモでは、設備のスイッチを突然オフにして電力量が減ったり増えたりするところをリアルタイムに見せるわけです。緊急事態が発生すると、アラームが鳴り響くような演出も狙いたいところです。

さらに、ある程度のデータを蓄積して過去のデータと比較したり、蓄積したデータを解析したりしてムダを省くような解決策を提案ができれば導入メリットを訴求できます。

あるメーカーでは、工場のエネルギー消費量削減に取り組んでいて、こうしたデータを1年間以上集めて季節変動やピーク値の分析から電力使用量を25%削減することに成功したそうです。このデータを使って、電力会社との基本契約を見直してコスト削減を行ったそうですが、この取り組みは会社も高く評価したそうです。このメーカーでは、このIoTの取り組みを他の製造ラインや工場へも横展開して、今後さらにIoTへの取り組み領域を広げていくことになったそうです。

この取り組みは使えそうです、このIoT事例を真似するところからIoT導入をはじめてみましょう。

「見える化」から「魅せる化」がIoT取り組みのポイント

IoT導入と言っても、その内容や目的は企業によってバラバラです。そして、何から取り組めば良いのかを、手取り足取り教えてくれる人も居ません。外部のコンサルタントやベンダに相談すると、高額なコンサルタント料や高額なシステム投資が必要となりますが、これが必ず成功するという保証はありません。むしろムダな投資になるケースの方が多い、という話を良く聞きます。

こうしたケースから考えて、“誰でもできるありきたりのIoT”でも、できるところから取り組む方が良いと思います。やはりポイントは、「見栄えが良い、誰にでもひと目見て分かる」ことだと思います。複雑で高額で難しいIoTは、もう少しレベルアップしてから考えることにします。

IoTは目に見えないデータを扱う取り組みなので、「見える化」から「魅せる化」への考え方が重要です。データの見せ方にこそ、テクニックやノウハウが必要となります。センサーで収集するデータとその粒度を絞り込む必要があります。なんでもデータを集めれば良いというものではありません。膨大なデータを集めても、使い物になるデータはそのわずか一部です。つまり、誰が見ても分かるデータを絞って集めた方が効率的かつ効果的です。

今回のように、「エネルギーの増減」をテーマに選んだ場合には、エネルギー量と時間(頻度)が基本的な軸になります。後は、このデータを時系列で見せるのか、設備や期間ごとの総量で比較するのか、あるいはお金に換算してコストとして見せるのかを考えていくだけなのです。ある程度まで表やグラフができたところで、関係者から意見を募ればさらに様々なアイディアが出てきます。これを繰り返せば、“誰でもひと目みてわかるIoT”ができ上がります。ここまで来れば、IoT導入のための実証実験は完了です。

さて次回の後編では、「見える化」したIoTをどのように活用すべきなのかについて考えてみたいと思います。

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