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中堅企業におけるIoT導入の実践的アプローチ

データを活用したIoTサービスのビジネスモデルとは

2019年10月

はじめに

前回はIoTデータを扱う為のIoTプラットフォーム(システム基盤)についてご紹介しました。今回は、このIoTデータをどのようにサービス化すれば良いのかについてご説明します。

IoTデータを利用したサービスを、従来のITシステムなどで提供されるサービスと区別するために、“IoTサービス”と呼びたいと思います。ITサービスとIoTサービスは、ユーザーが求める価値を提供するという点では同じですが、サービスの価値を生み出す素材(モト)が違います。

例えば、ITサービスの会計システムは伝票の仕訳処理をして勘定科目ごとに集計するシステムですが、お金のデータをルールに従って貸方と借方に仕訳する機能を持っています。IoTサービスの設備保全システムは、設備の故障やトラブルを未然に回避する機能を提供します。これは、設備の稼働時間や異常(振動や異音、発熱など)のIoTデータを収集してその状況から故障予測を行う仕組みです。ポイントは、膨大なデータを利用したサービスである点です。

IoTデータを収集するだけではサービス化できない

この数年IoTに取り取り組む企業も増えて、多くの企業でPoC(Proof of Concept:概念実証)が行われています。しかし他社事例を真似したPoCの成功率は高いのですが、独自にIoTサービスを生み出して本格的なサービス提供に至る企業は少ないようです。多くのPoCプロジェクトが、まだデータを収集する段階で見える化に取り組んでいるところです。

IoTのPoCプロジェクトでは、IoTデータを収集して蓄積する作業と、IoTデータを解析してサービス化するソフトウェア(IoTアプリケーション)を開発する2つの作業に分けることが出来ます。IoTサービスは、主に「モニタリング(監視)」、「メンテナンス(保守)」、「コントロール(制御)」の3つに区分することが出来ます。

始めに取り組むのは、モニタリング(監視)のサービスです。このサービスは、設備やモノ(製品や部品など)の稼働状況を把握することが出来ます。稼働状況のデータが蓄積されて状況把握出来れば、このデータを解析してメンテナンス(保守)作業や省力化、効率化するサービスなどを考えることが出来ます。

人手不足を補うサービスは、人件費の削減につながるためコスト削減にも貢献します。更に、リモートで設備やモノを制御する仕組みを組み込むことが出来れば、自動化や遠隔操作が可能となります。この段階へ至るには、それなりの時間と開発が必要ですが、IoTデータを活用したサービスとして他社との差別化ポイントとなります。

※PoC:概念実証とは、新しい概念や理論、原理、アイデアの実証を目的とした検証の意味。IoTプロジェクトでは、一般的なシステム化と違ってデータ収集、解析など複数の工程を経てシステムを試作(プロトタイプ)するため、その要となる新しいアイデアなどの実現可能性のみを示すプロジェクトを指すことが多い。

IoTサービス構築の考え方と差別化のポイント

IoTサービスは、IoTデータを活用したサービスですが、ITを利用したサービスでもあります。そのため、経営者の多くは、ITサービスとIoTサービスの違いを理解していないケースが多いようです。IoTサービスのポイントは、IoTデータの活用にあると繰り返して説明してきましたが、それ故にデータの取扱いが重要となります。セキュリティとデータの管理は、自らが責任を持って行わなければなりません。これを他者に委ねると、情報漏洩やノウハウ流出のリスクが生じます。以下にポイントを整理します。

ITとは

IT(インフォメーション・テクノロジー)とは、これまで人がやっていた作業をシステムに置き換えることで、省力化/自動化/効率化することです。生産性を高めることが出来ますが、導入費用やランニング費用が発生します。システムを維持するために、IT技術者のサポートが必要となりますが、社外ベンダサポートでも対処できます。

IoTとは

IoT(モノのインターネット:インターネット・オブ・シングス)とは、モノ(設備や機器類など)にセンサーやカメラを付けて、モノのデータを収集し、データを解析して、解析結果を使ったサービスによる価値(メリット)を得ることです。

IoTの導入とは、「(1)データ収集→(2)データ解析→(3)データを利用したサービス利用

の3つのステップで行う必要があります。収集したデータは、AI(人工知能)や統計解析処理などを行うことで、さらに高い効果や付加価値を生むことができます。IoTの維持には、社内にIoT担当者技術者(兼務可能)を置く必要があります。社内のノウハウや機密に関わるデータを取り扱うため、社外ベンダサポートでは情報漏洩やノウハウ流出のリスクがあります。但し、システム構築などの導入は社外ベンダの支援が必要となります。

IoTデータは、設備や機器などに組込まれたデバイスやセンサーから収集できるモノ(チップやアクチュエータなどの部品)からのデータと、完成品のモノ(自動車や工作機械など)からのデータがあります。部品メーカーは、データの利用権について顧客である完成品(製品)メーカーとの契約や許諾が必要となります。完成品メーカーは、アフターサービスの提供やメンテナンス(保守)の為にこうしたデータを利用します。提供するサービスは、IoTデータをIoTプラットフォームに収集・蓄積して、これをIoTアプリケーションで処理してサービス化します。

AI人工知能やビッグデータ解析、AR/VR/MR(拡張現実/仮想現実/複合現実)などは、サービス化の手段として利用することが出来ます。例えば、エレベータの監視サービスにIoTを導入すると、エレベータの重量センサーから搭乗者数が推測出来ます。また、温度センサーやカメラからその状態を監視することも可能です。地震など災害発生時には、異常停止したエレベータに閉じ込められた搭乗者を速やかに救出する必要があります。

限られたサポート要員で適切かつ迅速な救出作業を行うためには、こうしたデータが優先順位を決める判断材料となります。大規模災害では、全ての場所へサポート要員を送り込むことは出来ないため、優先順位を決める情報は人命救助に直結します。蓄積されたIoTデータと、その活用方法が決め手となります。

まとめ

今回はIoTサービスの考え方とそのビジネスモデルについてご説明しました。IoTサービスは、従来のITサービスと何が違うのかについてもご説明しました。IoT活用の3つのポイント「モニタリング(監視)」「メンテナンス(保守)」「コントロール(制御)」についてサービス化の考える方を解説しました。次回は完成品メーカーのIoTサービスについてご説明します。

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