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中堅企業におけるIoT導入の実践的アプローチ

先行するIoT/DXの取り組みを丸ごと参考にしてゴールを考える

2020年6月

はじめに

「IoTのユーザー企業利用率はわずか6.7%」という調査結果が、市場調査会社からのニュースリリースで報告されています。(IDCジャパンのプレスリリースより)また、その調査報告では、「IoTプラットフォームの利用に関して、4分の3の企業はなんらかのIoTプラットフォームを利用している」と言うことが分かりました。ユーザー企業は、IoTに対する強い期待を抱きながらも、ベンダの力量やその効果に対しては懐疑的であるということが分かります。つまり、IoTに対する日本企業の取り組みはこれからであり、多くの企業が” これがやりたかった、これが期待する効果だ”、と言う実感がまだ得られていないことが分かります。今回は、IoT/DXのゴールについて、先行する企業の取り組みや、どのようなテーマを選んで取り組めば良いのかについて最近の動向を踏まえてご説明いたします。

IoT導入による「見える化」はゴールではなくスタート

読者の皆様もご存知の通り、IoTやDXに対する取り組みを行っている企業は結構多いと思います。しかし、その大半がPoC(概念実証)の実証実験止まりで、具体的な実装や導入に至る企業はほとんど無いようです。PoCとして実施しているテーマの多くは、ユーザー企業にとって導入効果やビジネス価値が得られるよりも、失敗しないことや見栄えがするものが選ばれる傾向にあります。

例えば製造業は、具体的に予知保全や設備管理に関するテーマが好まれる傾向にあるようです。そして、こうしたIoTのPoC成果として報告されるのがIoTで取得したデータの「見える化」です。この取り組みについては正しいアプローチだと言えます。製造業において、製造現場におけるIoT導入の取り組みを行うという意味は、熟練技術者や匠と呼ばれる人達のノウハウ(暗黙知)を誰にでもわかるような仕組み(形式知)へ紐解くことに繋がります。熟練技術者のアナログ情報を、センサやカメラなどを使ってデジタル情報として取り出します。これをシステムで解析すれば誰にでも利用できます。デジタル化の基本は、情報の「見える化」によって数値やグラフなどで分かりやすく理解を促す気づきを与えることにあります。

しかし、これはIoT導入のはじまりであってゴールではありません。なぜならば、「見える化」はお金を払えば誰でも出来るためこれだけでは競争力の強化につながらないからです。IoT導入は、業務をデジタル化して価値あるデータを収集・蓄積するところから始まります。そして、DXはデジタル革新によって自社の競争力を飛躍的に高めることが目的です。” 10~20%のコスト削減や、20~30%程度の生産性向上”であれば、日本の製造業はこれまでも継続して達成し続けています。今回のIoT/DXで狙うのは、” コスト半減、生産性ひと桁アップ”というこれまでのやり方ではミラクルな世界です。

一点突破で、針の穴に象を通すようなエポックメイキングの実現を狙って、時間と手間を掛けて出来ることからコツコツと積み上げて組む、深慮遠謀な企みこそ必要です。目先の形だけのIoT導入では先行するドイツ、アメリカ、中国には勝てないのは明白です。彼らは莫大な資金やリソースを投入して力技でIoT/DXを進めていますが、日本にそんなリソースは期待出来ませんから仲間を募り、テーマを絞って、地道に取り組む以外に生き残る道は無いと思います。彼らの背中を見続けながら、タイミングを見てその前に出なければ日本は勝ち残れないかもしれません。負けない戦いを続けながら、勝ち目を狙うことが大切です。

日本流のオープン・クローズ戦略に取り組むIVIのユースケース104件を利用する

筆者が所属する一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(通称IVI、以下IVI)は、製造業のためのインダストリー4.0に取り組む学術系組織です。その主な活動は、日本流ものづくりを通じて日本から世界で通用するユースケースを作ることです。現場の困りごとから、現状(AS-IS)を見て、あるべき姿(TO-BE)を考えて、それを実際に製造現場(工場や倉庫など)で実証実験を通じて検証してみる。この取り組みについては、既にここでもご紹介した通りです。IVIが設立されて2020年3月末で5年目となり、ここで作られたユースケースは104になりました。もちろん予想通りに成功したものも、予想外に難航して結果が出なかったものもあります。こうした取り組みは、やってみなければわからないものも多く成功に至らなかったテーマも1つ知見が深まったという成果なのです。失敗しないテーマに取り組むだけでは、成長も発展もありません。チャレンジして難しければ難しいほど、成功したときに他者より一段高い景色が見えると思います。

IoT/DX取り組みのポイントは、デジタル化の使い方にあります。IVIが設立された2015年頃は、とにかくセンサやシステムで数値や値のデータを取得するところを主にフォーカスしていました。例えば、予知保全では設備が故障する前に生じる異常データを可能な限り集めようという取り組みがメインでした。しかし、こうしたデータを集めただけでは設備の故障箇所や原因にたどり着くのは困難でした。また、収集したデータをどのようにデータベース化して、そのデータをどう活用すれば良いかが手探りでした。この頃最も上手くデータ活用出来たのは、技術者育成でした。若手技術者の育成は、知識と経験と時間を掛けて伝える必要があります。しかし、若手なので知識も経験も足りないので、熟練技術者の意図を伝えるのが難しいという問題がありました。デジタル化やタブレットの利用は、こうした現場の技術継承に有効な手段として高い効果が期待できます。

さらに、デジタル化が若手技術者に「気づき」を促す手段となります。

5年間の取り組みを時系列で眺めてみると、はじめはデータを収集する取り組みが多いのが、次第にデータを活用する取り組みへ変わってきていることが分かります。また、ここ最近ではAI活用が増えてデータ活用や、IoT実装へ内容が発展していることが分かります。こうした情報を丸ごと手軽に入手して、参考にしてみてください。

IVIでは、過去5年分で104のユースケースの資料を公開していますのでその概要を誰でも入手して知ることが出来ます。こうした情報を、丸ごと手に入れて上手く利用すれば、PoC止まりにならないIoT/DXの取り組みが出来るのではないかと思います。IVIのエバンジェリストとしてボランティア活動している筆者としては、少しでも興味があれば皆様にもIVIで一緒に活動に参加して欲しいと願っています。(製造業なら誰でも入れます。非製造業は製造業メンバー正会員の推薦が必要となります。詳しくはIVIホームページまで)

※残念ながら、新型コロナウイルスの影響で2020年4月現在では、活動が休止していますが状況が変わり次第、情報をアップデートしていきます。

さて今回は、これからIoT/DXに取り組む企業の皆様へ参考となるテーマの選定や、先行する事例情報を入手してもらってPoC止まりにならない取り組みのきっかけ提供をしました。気になるユースケースが見つかったら、その詳細な報告書を入手(購入)することも可能ですのでIVI事務局まで問合せてみてください。

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