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IoT

モノづくりIoTソリューション(リードタイムの短縮) 第14回

モノづくりIoT 良い流れ創りのシナリオ(2)

2018年8月

モノづくりIoT 良い流れ創りのシナリオ(2)

【STEP3】 良い流れ創り(1)

非正味作業時間を削除する時、まず物理的な移動(工場間、外注 等)をチェックします。例えば、外注に出せば、それだけで数日かかることになります。社内リソースがあるにも拘らず、単純に単価が安いからという理由で外注に出しているのであれば、社内対応することをお勧めします。

次に、前後工程の同期が取れていないことにより発生する手待ちをチェックします。これは、前後工程のロットサイズが違ったり、作業時間のバランスが悪かったりすることによって生じます。定期的に、最適なロットサイズ、作業時間のバランスを見直す必要があります。また、早期投入することにより手待ちが発生することも少なくありません。例えば、受注した複数の製品を一括で投入することなどにより発生します。

最後に、バッチ工程、例えば、熱処理、塗装、メッキなどのように、集約してから作業するような場合をチェックします。この時、バッチ工程では稼働率の向上と前後工程の同期化の両方が求められます。このような場合、「投入できるモノ」ではなく、「今、投入しないモノ」を決めることが重要です。すなわち「稼働率」よりも、「キャッシュ × 時間」で評価するようにします。また、バッチ工程の処理能力をオーバーするような需要が発生し、設備の見直しをするような際には、小設備 × 複数台をお勧めします。処理能力よりも柔軟性をとるべきです。

では、バッチ工程を挟んで、Push型生産とPull型生産について考えてみます。

[図]モノづくりIoT 良い流れ創りのシナリオ(2)

モノの流れ創りを進めていくと、需要の変動に応じた「Pull型」の生産にシフトしていきます。出荷指図に連動して、前工程の作業指示を行っていきますが、途中でバッチ処理、例えば、熱処理や、塗装、メッキなどの工程があると、設備の稼働率を上げるために、計画生産、「Push型」の生産と連携する必要があります。

この例では、工程2のバッチ工程に合わせて、前工程は、「Push型」の計画生産で指示が出され、後工程は、「Pull型」の需要連動で指示が出されます。(需要連動型の代表的なアプローチに「かんばん」があります)この時、Push型とPull型のギャップを埋める上で、どの程度のバッファを持つ必要があるのかが重要になります。

バッファには、「量」と「時間」があります。一般に、モノづくりの現場では「量」、プロジェクトの現場では「時間」が使われますが、量と時間の両方からアプローチすることが重要です。そのためには、モノの流れの見える化が有効で、時間別のバッファの推移から、最適な指示数量と、指示タイミングを算出します。

【STEP4】 良い流れ創り(2)

常に遡及し続けなければならないのは、「小ロット化」です。究極は1個流しですが、基本は、「最適ロット × n = 出荷ロット」をベースにして考えます。この時、大きな課題は段取改善になります。小ロット化を進めれば段取り回数は増え、リードタイムは増大します。できるだけ段取時間を縮小して、小ロット化を進める必要があります。

段取時間と小ロット化のバランスを評価する指標が、「個当りリードタイム」になります。これは、段取り時間を含め、最初の1つが投入され、最後の1つが後工程に投入されるまでの平均リードタイムです。大ロットになれば、後工程に投入されるまでの待ち時間は増えます。小ロットになれば、段取り時間は増えます。このバランスを評価します。

段取時間の実績収集及び、段取の標準化、段取り時間の縮小を進める上で、動画撮影は非常に有効です。作業手順の標準化と同様に作業者の動作と実績を収集、分析します。

[図]モノづくりIoT 良い流れ創りのシナリオ(2)

計画生産をしている場合、需要や、安全在庫などを加味して計画ロットサイズを設定しています。しかし、段取り時間が非常に大きい場合、例えば、塗装や、メッキ、熱処理などのバッチ処理工程は、設備効率を上げるために、ロットサイズが大きくなることが少なくありません。この時、設備効率と同期化によるムダの削除の両方を成立させる必要があります。

設備効率と同期化のバランスを評価する指標が、個当りリードタイムです。この図では、3つのリードタイムの平均になります。

この時、段取り時間が 8時間、ロットサイズが 1であれば、1日に生産できる数は1個になります。また、ロットサイズが100の時、その製品の出荷数が1個/1日であれば、100日間在庫を保存することになります。個当たりリードタイムを活用することにより、適正なロットサイズを管理することができます。

ほとんどの企業では、基準情報を一度、設定すると見直しません。(特に、需要が減少している場合)このような場合、現実とのギャップは現場の作業者が埋めています。例えば、計画ロットサイズが大きかった場合、現場の作業者は実際の需要に応じて、作業指示ロットを分割したりして調整しています。(生産計画の立案時よりも、実際に作業する時の方が、実際の需要が明らかになるので)その結果、資材、部品の早期手配、仕掛在庫の増大を招きます。トップ、マネージャー、調達、現場が、モノの流れや、個当りリードタイムを共有することによって、計画ロットサイズを変更することが容易になります。

品質強化

品質強化は、STEP2-4のどのタイミングで取り組んでも構いません。作業時間や、工程間の待ち時間、各種要因と品質のバラつきとの関係性を明確にし、品質のバラつきを収束し、品質強化を進めます。その際、動画の活用も有効です。

モノの流れの見える化により、各ロットが紐付けされていますので、そこに各工程の品質情報を組み込むことにより、品質トレースの管理が可能です。得意先からの指示や、自社製品の付加価値として品質トレース管理に取り組む企業は多いと思いますが、ほとんどの場合、品質問題が発生した時の早期対応、処置を目的にしていると思います。勿論、品質トレース管理は必要ですが、品質問題発生時の対応だけでは十分な投資対効果を得ることは難しいと考えられます。

そこで、品質トレース管理単独ではなく、モノの流れの見える化によるリードタイムの短縮、生産性の向上、在庫の削減と合わせて取り組むことをお勧めします。

[図]モノづくりIoT 良い流れ創りのシナリオ(2)

一般に様々な加工条件が、製品の品質に影響を与えますが、加工条件の影響ではなく、工程間の待ち時間によって影響する場合があります。例えば、鋳物の場合、中子をまとめ生産し、長時間、置いておくことにより、中子が劣化し、鋳造品質が悪く、その後の加工時間に大きなバラつきが生じる場合があります。

賞味期限がある材料や、部品、副資材などは、工程間の加工条件だけではなく、経過時間と品質の関係もチェックする必要があります。単に、製品トレースだけでなく、「モノの流れと品質」 として捉えることも重要です。

良い流れ創りは、1度の改善で終わるものではありません。良い流れ創りは継続して行い続け、今日より明日、明日より明後日、1ヶ月後、1年後と、より良くなっていく必要があります。

モノの流れの見える化は、こういった現場力の進化の過程を時系列に管理し続け、良い流れ創りを支援し続けます。

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