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コラム

第2回 情報システム部門の業務改革計画立案手法

-iコンピテンシ ディクショナリの活用-

2021年1月

前回は、改革計画立案の7つのステップのうちの4つ、社内部門定義、現状業務分析、部門役割定義、役割業務定義についてお話ししました。今回は残り3つのステップ、業務改善対策具体化、必要スキル定義、スキル強化対策具体化について、その進め方とポイントについてお話しします。

  1. 社内部門定義:経営戦略・事業計画、部門運営方針等に基づく社内の期待、あるべき姿の定義
  2. 現状業務分析:部門構成メンバーの業務内容と対応負荷配分について分析、業務遂行課題の整理
  3. 部門役割定義:部門に必要な役割の定義
  4. 役割業務定義:役割毎の遂行業務の定義(iCDに基づく役割別業務定義作成)
  5. 業務改善対策具体化:課題分析~新業務定義に基づく業務シフト・対応強化に向けた対策立案
  6. 必要スキル定義:業務遂行に必要なスキルの定義(iCDに基づくスキル定義作成)
  7. スキル強化対策具体化:スキル強化対策の立案

5.業務改善対策具体化

役割毎の業務定義を基にして2つの検討、(1)業務ごとの対応体制に向けた改善策の検討、(2)情シス全体としての課題分析~対策の検討 を行います。

(1)業務ごとの対応体制に向けた改善策の検討

社内体制の強化が優先的に必要な業務を選択するとともに、業務ごとの現状の要員数と本来あるべき要員数を想定し相対評価にてギャップを計ります。必要性が高く且つギャップが大きい業務を特に優先対策業務とし、対策を整理していきます。対策のキーワードは、標準化(プロセス、ドキュメンテーション)、継承 (学習、引継ぎ)、スキルアップ、ローテーション、外部リソース活用、経験(実践)などです。外部リソースの活用に向けては、今後も実行ノウハウを社内に保持し社内にて完結すべき業務を明確にして、それ以外の業務より運用保守対応業務を中心に適用候補となる業務を想定します。

表3:業務移行改善策検討シート

表3:業務移行改善策検討シート

画像をクリックすると拡大表示します。

(2)情シス全体としての課題分析~対策の検討

これまでの検討過程で挙げられた課題の関係を整理し、具体的な対策を検討します。社内部門定義における経営層からの期待事項、現状業務分析で挙げられた業務課題をインプットに、課題のグルーピングを行い、因果関係図などを利用し全課題の関係性を把握します。

図6:情報システム部門 因果関係図

図6:情報システム部門 因果関係図

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因果関係がつかめたら、各課題解決に向けた具体的な対策リストを作成します。ここでは、加えて(1)で挙げられた改善策が包含されているかについても確認します。図6において中核となる6つの要素は、どの中堅企業においても改善ポイントとして挙げられることが多いのですが、特にITコストの見える化は情報システム部門の存在価値を表すための基礎情報となるため、優先的に対処する課題です。そこではメンバーの対応コストが関係するため、役割別業務定義はその分析においても有効となります。

また、IT活動に経営層があまり関心を持たない場合は、少しでも社内のITの現状と課題が理解されるように、経営会議等での定期状況報告の場を作るのも対策の1つです。対策リストは、着手時期や完了想定時期、関連する役割、検討リーダーなどを明確にします。計画遂行~改革実現に向けては、進捗管理・改善に関するマネジメントプロセスの整備も忘れてはなりません。四半期あるいは半期サイクルにて、対策状況の共有、計画軌道修正における議論の場となるマネジメント会議の設定とともに、経営層への共有も想定します。

6.必要スキル定義

iCDのディクショナリ連携を利用して役割毎に必要なスキルを洗い出し、役割別スキル定義を作成します。手順は、作成した役割別業務定義を基に該当するiCDのタスク一覧よりiCDのスキルを洗い出し、縦軸に役割、横軸にスキルを配置して整理します。iCDのスキルディクショナリにおけるスキル定義は末端のスキル要素項目が10000を超えるため、抽出単位はスキル分類のレベルにとどめておきます。

役割毎のスキルの重要度は、役割タスク重要度とタスク別スキル重要度との掛け合わせにて決定します。

7.スキル強化対策具体化

役割毎に設定した必要なスキルを基に、役割に該当する担当者別に現状のスキルレベルと目標のスキルレベルを設定し、担当者別のスキルアップ計画を策定します。スキルレベルの定義はiCDにおけるスキル熟達度判定基準を参考にします。

表5:スキル熟達度判定基準:IPA公開資料より

表5:スキル熟達度判定基準:IPA公開資料より

強化対策は主に、自己学習、研修受講、資格取得、実務参画、社外交流の5つのカテゴリが考えられます。資格取得は複数のスキルの向上にむけた強化手段となりえますが、資格があるからスキルがあるという想定は難しく、実務参画による業務遂行がスキル強化の結果目標となります。

今後数年の社内IT計画を踏まえながら、メンバーのスキル強化を加味して、効果的な実務参画計画を策定します。メンバーが社外の専門団体や業界団体と交流することにより社内では得られない様々な刺激を受けることで、人脈の拡大はもちろんのこと、新たな発想によるレベルの高いIT活用・現場提案を創造できるかもしれません。

スキル獲得の推進には、評価・報酬制度の改善も有効です。重要なスキルのチーム内のレベルアップに際しては、スキルリーダーを設定し推進指揮を行うことが効果的です。スキル強化も業務改善と同様にマネジメントプロセスを設定して、定期的なスキル評価・強化計画立案のサイクルの実施を定着させます。

最後に

本活動は、特に期の切り替わりや組織変更・体制変更などのタイミングを見据えて企画・開始頂くことにより、部門メンバーとの組織再認識や技術継承に向けた相互理解、経営層との関係改善など、組織をリフレッシュするという意味においても有効となります。

DX時代において変革が求められる中、その要となるITサービスの提供において、情報システム部門の貢献価値を高めるための第一歩として、改革計画の策定にトライしてみてはいかがでしょうか。

弊社では本件に関するコンサルティングを行っておりますので、ご相談いただければ幸いです。

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