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特集 情シス事情を知る

間もなく突入する「5G」時代。世の中はどう変わるのか

2019年1月

2020年、わが国のモバイル通信はいよいよ「5G」時代に突入する。5Gとは現在のLTEの先に来る次世代の通信技術だが、これはビジネスや人々の生活にどんな恩恵をもたらし、世の中をどのように変えていくのか。そして企業はこの5Gをどう活用していけばいいのだろうか。目の前に広がるビジネスチャンスと課題を展望する。

「5G」とはいかなるものか

昨今、モバイルを巡る様々な話題の中で、「5G」というキーワードを頻繁に見聞きするようになったが、5Gとは第5世代移動通信システムのことだ。現在のスマートフォンのデータ通信で主に用いられているLTEやLTE-Advancedは4G(第4世代移動通信システム)に位置付けられるもので、要するに5Gはその先に来る次世代の通信技術だ。日本国内でサービス開始が予定されているのは2020年。4Gの1000倍の「高速・大容量」、レイテンシー1mm秒以下の「超低遅延」、従来の10倍以上のデバイスとの「同時・多接続」を実現し、社会のスマート化を牽引していくインフラ技術になると期待されている。

ただ、そう言われても、いったい何が良くなるのか、いまひとつピンとこないかもしれない。現在でも動画サイトの閲覧やSNSなどそれなりにネットは快適に使えており、不便を感じることはあまりないからだ。では、5Gによってモバイルの世界にどんな可能性が広がるのだろうか。

まず「高速・大容量」によって可能となるのが、4K/8Kといった高解像度の動画配信だ。これによって閲覧できる動画のクオリティは格段に向上することになる。次の「超低遅延」は、遠隔地の機器のリアルタイムな操作・制御を実現するだろう。そして「同時・多接続」の最大のターゲットとなるのがIoTだ。我々の身の回りで、様々な家電製品や住宅設備をネットに接続した新たなサービスが提供されるなど、ビジネスや人々の生活を大きく変えていくことになる。

地域振興でも高まる期待~沖縄県の場合~

もちろん5Gは、大企業や人口の多い大都市のみが恩恵を享受できるインフラではない。むしろ地域創生や産業創出など、地方でこそ真価が発揮されると考えられており、通信キャリア各社をはじめ官公庁や自治体も5Gを見据えた様々な施策を開始している。 例えば沖縄県は、県内の自治体および地元企業と共同で地域振興に取り組む「沖縄振興推進重点取り組み6分野」を2018年7月10日に発表。「自然・文化保護推進」「観光・インバウンド推進」「暮らしやすさ・働きやすさ推進」「モビリティ向上」「教育改革推進」「産業振興推進」を重点項目と位置付け、5Gを中心としてAIやIoTなどのテクノロジーを活用し、地域の課題を解決していくことを目指している。

沖縄はアジア諸国に近い地理的な利点からもインバウンド需要が旺盛だ。また、少子高齢化が深刻化している他の都道府県とは異なり、出生率の高さやそれに伴う人口増加などが注目されている。この大きなポテンシャルを5Gによって発揮し、経済成長を加速させていくことが沖縄県および共創する企業の狙いである。

例えば5Gを用いた渋滞や事故のリアルタイム監視もその一つだ。渋滞が慢性化している沖縄県では、旅行者からも「予定どおりのスケジュールで観光地を回ることができない」といった不満が寄せられており、各自治体は常に頭を悩ませてきた。そこに5Gを用いたIoTの仕組みで収集した各種カメラ映像をAIが解析する都市空間セキュリティ技術を応用することで、この課題を解決することが考えられているのである。

また、子供たちの育成という普遍的なニーズから進められているのが歴史教育コンテンツづくりだ。沖縄県北部にある歴史史跡として知られる今帰仁城をAR(Augmented Reality)ならびに4Kの高精細なVR(Virtual Reality)映像で再現するとともに、遠隔地の研究者による解説をリアルタイムに配信するというものだ。沖縄の文化や歴史を次の世代に継承していく遠隔授業としても活用することが期待されており、2019年1月までを予定した実証実験も始まっている。

こうした歴史遺産は沖縄だけに限らず全国いたるところに点在しており、その多くは現代に残された石垣や堀などの史跡を眺めて往時の姿を想像するしかなかった。そこに5GをベースとしたARやVRの技術を活用することで、現実の光景と重ねて高精細なグラフィックスで歴史遺産が再現することが可能となる。ひいては学習にも観光にも大きな波及効果をもたらすことが期待できる。

既に知っている読者の方も多いと思うが、VRやARなどの技術について説明しておく。VRは仮想現実のことで、コンピュータ上で現実に似せた仮想現実の世界を実現し、ユーザがまるでそこにいるかのような体験をできる技術のことをいう。また、ARは拡張現実と呼ばれ、デジタル情報を使って仮想現実を現実世界に拡張していく技術のことだ。さらに、最近ではMR(Mixed Reality)というVRやARを発展させた技術も出てきている。これは複合現実と呼ばれ、CGなどで現実世界に仮想世界を融合させることができる。ARではできなかったCG映像を操作することもできるという。

5Gの恩恵を受ける医療・自動車・製造・メディア

企業においても、5Gによって様々な業種が恩恵を受けるだろう。 例えば医療では、ARを使った技術の訓練援助を遅延なく利用することができたり、VRによって、患者が落ち着くような空間を提供し、メンタルヘルスに貢献することができる。さらに、遠方にいる医師の診断を受けたい場合においては、患者の患部やMRI画像などの大容量情報を5Gで高速で転送することで対応が可能になるだろう。

自動車業界では自動運転で5Gは大きな役割を果たす。自動運転を実現するには、遠隔監視・操作対応、マップ処理、走行映像データ処理など、瞬時の状況判断をするために高速での大容量のデータ処理が求められるが、これらを送受信できるネットワークとして5Gに対する期待が高まっている。

製造業では、なんといってもIoTだ。工場内のあらゆる生産設備や機器、計器をクラウドに接続し、製造プロセス全体をデジタル化して最適化するスマートファクトリーへの取り組みが加速するだろう。

メディアにおいては、VR/AR/MRなどの技術を駆使した、かつてない映像体験が提供されることになると予想される。

このように、身の回りの様々な社会課題を解決する、あるいはこれまでにない体験価値(エクスペリエンス)を顧客に提供するなど、アイデア次第で花開く、5Gをベースとしたビジネスチャンスはいたるところに潜在している。また、その先導役として、デジタルやモバイルに専門的な知見をもつ情報システム部門に大きな期待が寄せられるところだ。

利便性の反面で存在するセキュリティリスクを意識しておくべき

もっとも、5Gによって開かれる次世代のネットワーク社会は、すべてが夢と希望のみに満ちあふれているわけではない。5Gの高速通信によってネットワークに接続される機器や端末が増えれば、そのぶんサイバー攻撃のターゲットも増えることを意味する。トラフィック量が増大するということは、通信を傍受されて盗まれた場合のデータ量も増大することになるのだ。

現時点でも街中の監視カメラや駐車管理システム、ビル制御システム、火災報知システムなど、すでに多くの機器がインターネットに接続されているが、実はこれらのIoT機器のかなりの割合がサイバー攻撃の侵入を受けているのが現実だ。

利便性が増す反面で、セキュリティやプライバシーのリスクも高まることも情報システム部門はしっかり認識しておかなければならない。

5G時代はもう始まる。リスクを恐れずビジネス創出の機会と捉えてほしい

5G時代は2020年にも始まろうとしている。通信トラフィックの増大や大容量データ処理が可能になり、様々な業種が恩恵を受けるのは間違いない。IoTサービスなどを駆使する製造業においてはかなりの恩恵を受けるだろう。

5G時代のビジネスは、業種によって手段や方法は様々だ。セキュリティリスクを恐れず、この新たな時代をビジネス創出のチャンスと捉えてほしい。

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