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特集 情シス事情を知る

従業員と組織の生産性を向上させたい!
働き方改革で情報システム部門が果たすべき役割とは

2019年10月

2018年6月に成立した「働き方改革法案」が、2019年4月1日より順次施行され始めている。背景にあるのは、少子高齢化に伴いあらゆる業界で深刻化する人手不足、慢性的な長時間労働や過重労働への規制強化、ワークライフバランスを重視した多様な働き方への対応といった社会的な課題だ。働き方改革が個々の企業においても喫緊の経営課題として浮上する中で、情報システム部門はどのような役割を果たしていくべきだろうか。

「働き方改革」に国を挙げて取り組むべき理由

政府が本腰を入れて働き方改革に乗り出した。端的に言えば、その狙いは一人ひとりの生産性を抜本的に高めることにある。少子高齢化に伴い我が国の生産年齢人口は急速に減少していくといわれている。そういう状況で現在の国力を維持するためには、一人ひとりの生産性を高めるしかないという結論に至るのは、きわめて自然な流れだ。そしてこの生産性向上に軸足を置いた働き方改革こそが、個々の企業にとっても喫緊の経営課題となっている。

従業員一人ひとりの生産性を向上させるためには、既存の業務の見直しと効率化が重要になる。そして、ICTを効果的に活用することで、非効率な仕事の進め方から脱却し、貴重な人材をより創造的な分野の活動にシフトしていく必要がある。そうした中で情報システム部門が重要な役割を担っていくことになるのは言うまでもない。

とはいえ、働き方改革は情報システム部門だけで成し遂げられるものではないのも事実で、「企業文化の変革」「人事制度の改訂」「ツールの導入・活用」が三位一体で進める必要があるだろう。従って経営層と総務人事部門、情報システム部門の連携が不可欠であり、常に全社的な観点から何に取り組むべきかを検討し、個々の施策を展開していかなければならない。

全社的な働き方改革を情シス部門はどう支えるか

働き方改革に向けて、企業は具体的に何から始めたらよいのだろうか。ここではその第一ステップとして「勤怠管理の改善」「リモートワーク」「会議改革」から着手することをおすすめしたい。従業員が働き改革による成果を最も実感できるのが、この3つのテーマだからだ。

多様な働き方に必須の「勤怠管理の改善」

まず「勤怠管理の改善」だが、これが重要となるのは、多様な働き方に対応するための必須条件になるからである。もともと勤怠管理は企業の責務とされてきた業務だが、2019年4月に改正された労働基準法では、「労働時間を正しく把握すること」がより厳しく求められるようになった。この取り組みが不十分で、仮に残業代の未払いや従業員の健康問題、サービス残業の見逃しなどが発生した場合、監督官庁から法令違反による指導・摘発を受けるなど、重大な経営リスクとなる。

従来の紙のタイムカードやMicrosoft Excelを使用し、人事・総務担当者の手作業に頼った勤怠管理ではどうしても限界がある。従って情報システム部門が中心となって、勤怠管理システムを導入する必要がある。勤怠管理システムを活用すれば、従業員一人ひとりの労働時間の集計やチェック、分析など手作業に頼っていた業務を自動化できるため、勤怠管理業務にかかる時間を大幅に削減できる。

勤怠管理システムの選定に際しては、自社の勤務体系に合っているか(クラウド型 or オンプレミス型)、従業員が使いやすいシステムか、コストは適当か、サポートは期待できるかといった点を十分に吟味する必要があり、情報システム部門が積極的に関与すべきである。

例えば、ある企業を例に説明しよう。その企業は、育児・介護などで通勤が困難な従業員に在宅などで勤務をしてもらいたいが、勤怠管理が対応できていないという問題があった。そこで導入したのがクラウドによる勤怠管理ツールだ。在籍時間をオンラインで把握でき、管理者もリアルタイムでの勤怠把握が可能になった。

このケースでは、テレワークに必要なインフラ整備や勤怠管理などのツール導入、ルール制定を行った上で、テレワーク勤務者に一部の実業務を行ってもらったという。その結果、業務から発生するリスクを抽出でき、事前に対応策の展開が可能になった。このように、課題やリスクを洗い出すために、まずはテストケースで導入してみるのも一つの手段として考えられるだろう。

多様な働き方と生産性向上を両立させる「リモートワーク」

「リモートワーク」は多様な働き方のサポートと労働生産性の向上を両立させる象徴的な施策といっても過言ではない。具体的にはモバイル端末を活用することで、場所や時間に拘束されず、自らの意志、タイミングで合理的に働くワークスタイルを実現する。

ただし、リモートワークは社外で働くことが前提となるため、企業内のセキュリティ対策をそのまま適用することができない。従って、多様な労働環境を考慮したセキュリティポリシーの策定および定期的な監査、定期的なセキュリティ教育の実施、端末画面へのプライバシーフィルター装着、通信経路および重要データの暗号化・バックアップ、社内システムへリモートアクセスする際の安全な認証、ウィルス対策、アクセスログなど、「ルール」「技術」「人」のバランスが取れた新たな対策が必須となる。

ここでは、ある企業を紹介する。この企業は営業の顧客対面時間増加のために、リモートワークによる生産性・効率性の向上を目指していた。そこで、経営層が中心となって、リモートワークを導入する目的・目標について議論を実施。そして、ステップを3回に分け、外出先から社内システムにアクセスできるようにするなど、リモートワークできる環境を徐々に整備していった。その結果、営業の就業形態を直行直帰に移行することができ、通勤に使う時間や隙間時間を仕事に充てることが可能になった。顧客との対面時間も増加し、受注件数増加にもつながったという。

このケースでは、最初から万全なリモートワーク環境を構築したのではなく、まずは技術的な対策、運用ガイドライン作成などを行った後でシステムを構築した。このような環境構築のプロセスも一つの方法として参考にしたい。

長い&無駄な会議を一掃する「会議改革」

そして3つめの「会議改革」。企業の会議といえば「時間が長すぎる」「無駄な会議が多い」という印象を抱く人も多いだろう。だが、会議そのものが「悪」というわけではない。重要なのは、会議に伴う無駄を極力排除することであり、会議方法の抜本的な見直しを行うことなのだ。

この見直し策としておすすめしたいのが、クラウドによるWeb会議ツールだ。

Web会議ツールだと場所の制約がなくリアルタイムに話し合うことができる。そのため、わざわざ一カ所に集まって会議を開かなくとも、コミュニケーション活性化が図られ、従業員の一体感を生み出せるのだ。さらに、会議のための移動や出張がなくなるので、交通費や宿泊代、長時間の移動による人件費といった無駄なコストも削減でき、経営改善にも貢献することができる。

例として、育児休暇中の従業員を在宅勤務させたい、いわゆるテレワーク実現を目指した企業のケースを見てみよう。この企業では、テレワークを実現するにあたり遠隔地間だとコミュニケーションが取りづらいという課題があった。そこで解決策として、クラウドサービスを活用したWeb会議ツールを導入。その結果、コミュニケーションに一定の効果があがることが実証され、いつでもつながっているというチームワークの醸成ができただけでなく、働き方に制約がある従業員の業務効率化も図られたという。

このケースでは、まずは全社ではなく一部のテスト利用から始めるようにしたという。制度・ルール面を整備できていなくても、完成するまでスタートを待つのではなく、まずはテストから始めてみるのも一つの手だろう。

働き方改革の実現には情シスの経験と知見が欠かせない

働き方改革は簡単に実現できるものではないが、かといっていつまでも放置しておくことはできない。我が国の生産年齢人口の減少には歯止めがかからず、一方では介護のための休職や離職も増加しており、人手不足は簡単には解消しない。また、長時間労働や過重労働に対する規制が強化され、ワークライフバランスがより重視されるようになる中で、一人あたりの労働時間を増やすにも制限がある。

だからこそ、新たな働き方によって時間を最大限に有効活用し、高付加価値を生み出していく取り組みが重要となる。先に紹介したICTを活用した「勤怠管理の改善」「リモートワーク」「会議改革」の3つの施策は、その出発点となる。全社プロジェクトとして働き方改革を推進する中で、情報システム部門はリーダーシップを発揮し、従業員と組織の生産性向上に貢献していってほしい。

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