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特集 情シス事情を知る

あなたの企業のDXは進んでる?
全35問で読み解くDXの現在地

2020年1月

経済産業省が発表した「DX推進指標」。これは全35問に回答するだけで、自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進レベルを自己診断できるというものだ。多くの企業がDX推進を実施しているが、自社が今どの地点にいるかを理解するのにとても役立つだろう。それに加え、DXをどう推進すればいいのかについても説明する。

「2025年の崖」を乗り越えるためにDX推進の現在地を知る

経営を取り巻く環境が急速に変化していく現在、ビジネスやサービスもまたその変化に即応させていく必要がある。事業そのものの在り方やビジネスモデル、顧客との関係性、従業員の働き方などを、デジタルテクノロジーを駆使して再構築し、これまで以上の価値を創出することで、企業は競争力を高め、継続的な成長を実現することができる。この変革に向けた取り組みがデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。

しかし、既存のITシステムが事業部門ごとの個別最適で構築されていて全社横断的なデータ活用ができない、過剰なカスタマイズで複雑化・ブラックボックス化しているといった弊害で、思うようにDXを推進できない企業は少なくない。

経済産業省は2018年9月に発表した「DXレポート」において、「この課題を克服できない場合、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

この「2025年の崖」を乗り越えるためには、まずはDX推進において自社が今どの地点にいるのかを、客観的に把握することが必要だ。

ここで参考になるのが、経済産業省が発表した「DX推進指標」だ。大きくは「DX推進のための経営のあり方、仕組みに関する指標」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築に関する指標」の2つの指標群で構成されており、経営者が自ら、または経営者が事業部門、IT部門などの責任者が議論をしながら全35問に回答するだけで、自社のDX推進レベルを自己診断できる内容となっている。

※文末に「DX推進指標(施行版)」(全35問)を掲載しているので、参考にしてください。

DX推進指標からDXをどう進めるか読み解く

では、自社の現在地を把握できたとして、実際にDXをどう推進していけばよいのだろうか。経済産業省は2019年7月に「『DX推進指標』とそのガイダンス」を公開し、アクションの具体化に向けた基本的な考え方を示している。その中から、DX推進指標で重要となる7項目の概要を下記にまとめておく。

ビジョンの共有

DXの取り組みがPoCからビジネスにつながらないという悩みを抱える企業が少なくないが、原因の一つは、自社がどのような価値を生み出すのかというWhatが語られていないことにある。ともすれば「AIを使ってやれ」の号令で、Howから入ってしまっている。こうした状況に陥らないため、顧客視点でどのような価値を生み出すのか、まずビジョンを明確にし、社内外で共有することが不可欠となる。例えばマーケットがデジタル中心に変化した10 年後を想定し、そうした中で自社が提供できる価値を明確化していくための取り組みを開始すべきである。

危機感の共有

DXではビジネスモデルや仕事の仕方、組織・人事の仕組み、企業文化そのものの変革が求められるが、現場の抵抗はつきものである。この課題を乗り越えるためには、変革しないことでもたらされる危機を、リアリティを持って経営層や現場が腹落ちさせていることが必要だ。自社がターゲットとするマーケット、所属しているサプライチェーンやバリューチェーンが、デジタル化によりどのように変化していくか、あるいはディスラプターの台頭によってどのように破壊される可能性があるのか、客観的に調査・分析した結果を示すことも有用である。

経営トップのコミットメント

ビジネスモデルや業務プロセスを変革し、企業文化を変革していくためには、経営者自身が新たな経営の仕組みを明確化し、全社で持続的なものとして定着させることが必要だ。組織を再整備すると共に、「権限の委譲」「適切な人材・ 人員をアサイン」「予算を十分に配分」「プロジェクトや人事の評価方法の見直し」などを進めることが、特に重要なポイントとなる。また、自社にとって優先すべき取り組みを選択することも、経営者に求められるコミットメントの一つである。

従業員のマインドセット、企業文化の変革

DXによって創出される価値は、必ずしも事前に想定できるとは限らないため、挑戦すること、失敗から学ぶことが重要である。また、挑戦や失敗からの学習をスピーディーに繰り返し、かつ、継続できることが必要である。したがって、「仮説設定→実行→検証→仮説修正」の繰り返しのプロセスをスピーディーに回しつつ、「優先順位→予算割り振り」のサイクルを環境変化に応じて迅速に変化させるための「プロセス」「プロジェクト管理」「評価」の仕組みを整備し、確立していくことが重要である。ただし、カルルチャーの異なるデジタル人材や、これまでコア事業を支えてきた人材が排除されるのは避けなければならない。多様なカルチャーを受け入れていくためのマネジメントが重要だ。

DXの推進・サポート体制の確立

DXを推進する部門のミッションは、自らが新しい製品やサービスをアジャイルに開発するケース、全社のデジタルビジネスをサポートするケースなど企業によって様々だ。ただし、いずれの場合でも事業部門やIT部門を巻き込んでいくことが欠かせない。これを実現するため、経営トップの判断の下で各部門の役割を明確化し、必要な権限を与えると共に必要な人材・人員をアサインする。

人材育成および確保

DX推進を担う人材の育成・確保は全社的な経営課題であることは言うまでもない。そこでDX推進に必要となる人材のプロファイルを明確にし、数値目標を持たせることで、育成や社外からの獲得を効率化すると共に人材ミスマッチを防止する。これにより短期および中長期の視点に立った、具体的なアクションにつなげていく。なお、これまでの人事評価で対応できない場合、DX推進に資する人材に対する人事評価、報酬体系、キャリアパスを新たな制度として構築する必要がある。加えて人材の最適化に向けて、ユーザー企業やパートナー企業も含めた幅広い人材交流を行う場を設けることも重要な施策となる。

事業への落とし込み

DX推進で求められるのは経営者のリーダーシップだ。経営者自らがDXの必要性を十分に説明し、 改革を実行する際の現場レベルの抵抗を抑えて説得して、変革を事業レベルに浸透させていかなければならない。

先進企業に学びDXに踏み出そう

実際、DXの先進企業は、上記のような考え方に基づいて変革への取り組みを具体化し、実践している。

ある不動産会社は、グループ長期経営方針の一つに「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」というビジョンを掲げ、【ビジョンの共有】【経営トップのコミットメント】【DXの推進・サポート体制の確立】【事業への落とし込み】を幅広く捉えたDXを推進している。具体的には「不動産テック(リアルエステートテック)」と呼ばれるデジタル技術を駆使することで、不動産売買、賃貸、投資の新しい仕組みを生み出し、ビジネスモデルの革新を推進する。同時にそれを支える組織や仕組みの強化にも積極的に取り組んでいる。

ICTを活用した働き方改革により、従業員の生産性向上を目標とした取り組みを推進している建設機械メーカーの例もある。【ビジョンの共有】【経営トップのコミットメント】【事業への落とし込み】を幅広く捉えたDXの取り組みで、開発、調達、生産、販売、サービスのすべての領域において、執行役員クラスのリーダーシップのもと部門横断チームによる業務の徹底的な見直しと標準化を実施。グループウェアをクラウドベースのシステムに移行すると共に、新たにビジネスチャット、SNS、オーディオ/ビデオコミュニケーションなど最新のデジタルツールを導入し、ビジネスのスピードアップを図った。例えば、顧客先で建設機械の修理にあたるサービスメカニックを、支店のフロントや代理店のサービス部、工場のエンジニアがタイムリーにサポートし、迅速な問題解決を実現する仕組みづくりにも、この新しいコミュニケーションツールが活かされている。

繰り返すがDXから目を背ける企業に待っているのは「2025年の崖」であり、残された時間は長くない。DXは大企業だけでなく中堅中小企業でも対応しなければならない経営課題の一つ。自社のDX推進がどの位置なのか理解しつつ、DXを推進していこう。

DX推進指標(施行版)※定性指標

出典:経済産業省『DX推進指標(試⾏版)』の情報を基に作成
(診断結果を経済産業省に提出することで、総合的に分析、ベンチマークを作成してくれる)

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