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特集 情シス事情を知る

在宅勤務で困っている人は見てほしい
リモートテックで仕事の生産性を高めよう!(後編)

2021年10月

前編に続いて、代表的なリモートテックを紹介することにしよう。今回特にフォーカスするのは、リモートワークを推進する上で必須となる「社内制度の整備」に役立つリモートテックのサービスだ。まずは社内制度をしっかり固めることで、一人ひとりの社員が快適に働ける環境をつくり、生産性を高めることが可能となる。さらにその先で考慮すべき「社内風土改革」と「セキュリティ」についても考察していく。

リモートワークの大前提は社内制度の整備

リモートワークを推進する上で、前編で紹介したようなリモートテックの活用は欠かせない。ただし、単にITのツールやソリューションを導入するだけではリモートワークを組織に定着させ、人材を活かしていくことはできない。

リモートワークを推進していく上で、大前提となるのが社内制度の整備である。オフィスと異なるさまざまな場所で仕事をする社員に対して、例えば勤務時間をどのようにカウントするのか、超過勤務をどうやって防ぐのか、業務の成績をどう評価するのかなど、リモートワークに対応した勤怠管理や人事の新しい社内制度が必要となる。

社員の立場からすれば、正式な社内制度という裏付けがあってこそ、はじめて安心してリモートワークを行うことができ、持てる能力を存分に発揮することができる。

また、その制度を形骸化させないために、社員や管理職に対する継続的な教育や啓蒙活動を通じて制度の趣旨や重要性を周知することが必要だ。どんな制度を定めたとしても、実際にそれが守られないことには意味をなさないからだ。特にリモートワークでは上長や同僚からも目の届きにくいところで働くことになるため、日常的に制度の運用状況や遵守状況を互いに確認しあうといった努力も重要である。

さらに言えば、整備する社内制度そのものにも最大限にリモートテックを活用していきたい。大いに役立つと考えられるのが、次のようなリモートテックだ。

能力拡張/アシスタントサービス

秘書業務から人事労務、経理といった日常業務から、翻訳やライティングなどの専門分野までの幅広い業務をアウトソースできるサービスがある。間接部門の人手不足を補い、さまざまな制度を着実に回していくことが可能となる。

ノーコード、ローコードサービス

業務で必要なアプリケーションを、IT部門や外部のベンダーに依頼しなくてもエンドユーザー自身である程度作れるようになる。新しい制度を人手で回したり、既存システムとのギャップを運用面でカバーしたりといった無駄や無理をなくすことができる。

HRM、人事労務管理サービス

多様な働き方に対応しようとすれば、人事採用や労務管理も必然的に複雑化していく。これらの業務全般の課題を解決する。

ファイナンス、法務、決済サービス

契約書をクラウド化するほか、関係者がリモートワークを行っている中でも決済業務をスムーズに回せるようになる。

採用ツール

応募者の個人情報のリストを紙で管理することなく、オンライン上のみでやりとりをしたり、進捗を管理したりといったことが可能となる。

リモートワークを組織に定着させる社内風土改革

リモートワークを推進し、組織に定着させていくために、社内制度の整備と並ぶもう1つ重要な取り組みとなるのが社内風土(文化)改革だ。

リモートワークでは社員がそれぞれ離れた場所で働くことになるので、放っておけば皆の意識がばらばらになってしまう恐れがある。そうならないためには、すべての社員がひとつのチームとして同じ目標に向かい、場所や時間を問わず自律的かつ自発的にコミュニケーション/コラボレーションを行う必要がある。要するにすべての社員が共通の価値観を共有していなければならないが、その土壌となるのが社内風土である。

一朝一夕に社内風土は変えられるものではないだけに、次のような地道な取り組みを重ねていくことが大切だ。

リモートワークを特別視しない

特に在宅でのリモートワークは、育児や介護などの事情を抱えた社員のための福利厚生施策の一環として始まり、コロナ禍においては感染防止のための出勤停止という緊急避難的な措置として広がっていった経緯があり、どうしても特別視されがちだ。リモートワークに対するこの認識をまず払拭する必要がある。リモートワークは場所に縛られない働き方を推進するものであり、逆説的に言えば、オフィスにおいても同様の働き方ができなければならない。フレックスタイムで出勤し、フリーアドレスで活動できるなど、フレキシブルに働ける環境をつくる必要がある。

チーム内の信頼関係を築く

他の社員と対面しないリモートワークだからこそ、チーム内での信頼関係の構築、一人ひとりの自律性の確立、そして上長との共通認識の構築がより重要となる。そこで重要となるのがコミュニケーションだ。特にリモートワークを始めて日の浅いうちはWeb会議やグループチャットなどのツールも活用し、チーム内のコミュニケーションを頻繁かつ優先的に行うことを心がけたい。仕事の話だけでなく、気軽に雑談ができる雰囲気を作ることがチーム内の関係性を構築・維持する上で重要だ。また、一人ひとりの社員がさらに成長し、活躍できるようにするために何をすべきか、上司は社員のOne on Oneによる対話の機会を制度として設けることも有益である。

社員エンゲージメントを向上

我が国では少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、高度成長期のような終身雇用はすでに崩壊したといって過言ではない。そうした中で働く人たちも「どの会社で働くか」ではなく、「その会社で何ができるか」「どのような経験を得られるか」により大きな意味を感じるようになっている。こうした社員の価値観の変化をしっかり捉え、応えていくためのリモートワークのあり方を追求し続けていく必要がある。

リモートワークを支えるセキュリティを確保

リモートワークを推進する上で決して怠ることができないのがセキュリティ対策だ。社外のさまざまな場所から社内システムへリモートアクセスする社員が急増することは、そのぶんサイバー攻撃の間口が広がることを意味するからだ。

VPNも油断は禁物

なりすましログインによる情報詐取や、VPN機器の脆弱性を狙った不正アクセスによって 自社サーバがランサムウェアに感染した被害も起きている。ユーザログイン時の多要素認証による強化、機器の脆弱性には素早く対応しておくべきである。

増加するクラウド利用への対応

リモートワークを行う社員は、インターネット回線を通じて社外のWebサイトを閲覧するほか、社内のプロキシサーバーを経由せずにIaaS上のサーバやSaaS型アプリケーションを直接利用するケースも増えている。こうしたインターネット接続やクラウド利用を包括したセキュリティ対策を考慮する必要がある。

ゼロトラストセキュリティ

上記のような課題を解決し、リモートワークのセキュリティを確保すべく注目されているのが「ゼロトラスト」のアプローチだ。社内ネットワークの内側は安全であることを前提としたこれまでの境界防御が通用しなくなった現状を踏まえ、すべてのトラフィックを信頼せず、検査やログ取得を行うものだ。社外のさまざまな場所から社内にリモートアクセスしたり、インターネット経由でSaaSを利用したりするデバイスやユーザーに対して、ゼロトラストセキュリティを提供するソリューションとしてSASE(Secure Access Service Edge)があり、エンドポイントのセキュリティやネットワークトラフィックの検査、デバイス管理、アプリケーション管理などの機能を包括的に提供する。

前編・後編の2回にわたってリモートワークのあり方について論じてきたが、デジタルテクノロジーとネットワークの進化により、今日のグローバル市場は加速的なスピードで変革が進んでいる。だからこそ社員がもつ多様性を尊重し、より働きやすい環境をつくり、一人ひとりが自律的に活動できるようにすることが、ますます重要となっている。

リモートワークはこの変化に企業が対応して競争力を維持し、生き残っていくための条件にほかならないのだ。こうした大局的な視点に立ちながら、中堅中小企業にもリモートワーク推進にチャレンジしていただきたい。

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