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特集 情シス事情を知る

DXプロジェクトが増える中で関心を高める
アジャイル開発の実践例とポイント

2022年4月

DXという潮流の高まりとともに、その手法としてアジャイル開発に注目する企業も増えている。ただ、従来のウォーターフォール型開発とは異なるアプローチが求められるだけに、二の足を踏んでいる企業もあるかもしれない。そこで、当社が伴走したアジャイル開発のプロジェクトについて紹介する。この実践例を通じて、アジャイル開発の特性を確認するとともにその重要性を改めて考えてみたい。

不確実な世界で価値を創造するために

いま、多くの企業がDXの取り組みを本格化している。このままでは激しい競争に埋もれてしまうとの危機感からだろうか、DXに消極的だった企業も少しずつ前向きな動きを見せ始めている。DXに取り組む際の一般的な手法として、アジャイル開発への注目度も増している。

これまで、多くの企業のIT部門は主にウォーターフォール型の開発を行ってきた。この種のプロジェクトのスコープは明確であり、実現すべき成果は初期段階で確定される。他方、アジャイル開発はトライアル&エラーのアプローチだ。不確実な世界で、課題や失敗を乗り越えながら少しずつ確実性を確認しながら、成果の選択をすることで価値を高めていく。ウォーターフォールに慣れたエンジニア、あるいはIT部門にとっては、最初は戸惑うこともあるかもしれない。

しかし、時代の変化は速く激しい。より大きな価値を目指すなら、不確実なことにもチャレンジしなければならないだろう。DXによる新たな価値創造において、アジャイル開発への取り組みは避けて通れないはずだ。

最初の一歩を踏み出すには多少の勇気が必要かもしれないが、アジャイル開発は決して難しいものではない。以下では、アジャイル開発に取り組む企業の実践例を紹介しよう。

改善サイクルを繰り返すというアプローチ

アジャイル開発にチャレンジしたのは製造業A社。当社は、A社のプロジェクトをサポートした。

A社は消費者向けのアプリケーションを提供するための試作開発を進めている。その次のステップとして、A社はこれを利用シーン別に最適化することを検討した。アプリケーションの機能そのものは利用シーンが異なっても基本的に変わらないのだが、利用シーンによって画面デザイン(UIデザイン)を柔軟に変えてシーンごとの最適化を目指したのである。

今回のアジャイルプロジェクトは、2021年度に9カ月かけて実施された(下図参照)。A社側ではプロジェクトリーダーをはじめ、画面デザインの設計や作成などに関わるメンバーが参加。当社側では2人のエンジニアが期間中フルタイムで支援した。両方を合わせて、プロジェクトメンバーは10人弱である。

まず、求められたのはUIデザインと機能の分離である。当初、このアプリケーションでは画面と機能とが密に連携していたため、UIデザインを修正しようすると機能にも手を入れる必要があった。これでは、利用シーンごとに多様な画面デザインをつくるには時間もコストもかかってしまう。

画面と機能のレイヤーを分ければ、利用シーンに最適化したUIデザイン開発を大幅に効率化できる。ユーザー体験を向上させるために、改善サイクルをスピーディーに回すこともできるだろう。

当社は「Angular」という技術を用いて、画面と機能との分離を担ったほか、UIデザインの実装や検証などでA社のプロジェクトをサポートした。利用シーンごとに最適化されたアプリケーションは、すでにサービスとして提供されている。

A社は2021年4~6月ごろ、利用シーンごとに求められる画面デザインの基本方針を定めた「デザインガイド」を制作。さらに、デザインガイドに基づいて、UIデザインのプロトタイプを試作、動作検証などを行った。これを引き継いで、当社は画面デザインをアプリケーションに組み込み、これを用いてA社が社会実証を行うという流れである。

社会実証の段階で行ったのは、特定の利用シーンでエンドユーザーに使ってもらい、「使いやすい」とか、「画面上のボタンの位置をもう少しずらしたほうがいい」といった声を収集すること。その結果を受けて、UIデザインを見直し、再びアプリケーションに組み込む。このような改善サイクルを何度か回した上で、新たな画面デザインを実装したアプリケーションが完成する。

以上のようなプロセスを、9カ月かけて画面デザインの数だけ実施した。

アジャイル開発のハードルは高くない

アジャイル開発はエンドユーザー向けのシステムに適している

A社におけるプロジェクトへの評価は高い。今回のアジャイル開発へのチャレンジは、A社にとって新たな経験であり、今後のシステム開発にも役立つことだろう。また、当社にとっても、新たな気づきを得る機会だった。例えば、顧客体験を高めるためのUIデザインのアプローチに関しても、貴重な知見を獲得することができた。

A社関連だけでなく、当社は近年、幾つかのアジャイルプロジェクトに参画している。特にアジャイル開発に適した領域としては、エンドユーザーが利用するシステムがある。エンドユーザーの体験を膨大なデータとしてフィードバックすることで、開発者が気づかないようなアイデアが生まれることも少なくない。こうしたシステムではAIが多く活用されている。

エンドユーザー向けという点では、A社のプロジェクトも同様だ。ウォーターフォール型のように最初に「このような画面をつくる」という設計が明確に決まっていたわけではなく、エンドユーザーからのフィードバックを反映しながら画面デザインを進化させていった。A社サービスの画面デザインは今後も改善され、機能拡張されていくことだろう。

プロジェクトのゴールが最初から決まっているわけではない

スコープやゴールが定かでないことに不安に感じる向きもあるかもしれないが、そもそも、確定的な成果を想定しないのがアジャイル開発である。A社の事例では毎週定例のオンライン会議(プロジェクトはコロナ禍の時期に行われた)を開催し、「今週のゴール」をメンバー間で共有しながらプロジェクトを推進した。また、適宜必要なタイミングでオンライン会議を実施したほか、チャットツールを用いて密なコミュニケーションを維持した。

こうした形で、少しずつ成果を積み上げていくのがアジャイル開発の手法だ。「プロジェクトのゴール」が最初から決まっているわけではなく、あくまでも「今週のゴール」を積み上げて一歩ずつ高みを目指すというアプローチである。「今週のゴール」はあくまでも暫定的なものであり、達成できないこともあれば、超過達成することもある。場合によっては、途中でプロジェクトの方針が変わることもあるかもしれない。それはアジャイル開発の本来的な特性といえるだろう。

こうしたアジャイル開発の特性を踏まえつつ、当社は一般的なシステムインテグレーションとは異なる形でプロジェクトを支援している。A社の例に見られるように、当社の専門家がユーザー企業と一体となり、プロジェクトに伴走・支援するというスタイルも、そのうちの一つだ。

事業環境の変化が加速する中、日本企業においても、DXにはアジャイル開発が不可欠という認識が広がりつつある。いまのところ未経験、またはビギナーという企業にとっても、アジャイル開発のハードルはそれほど高いものではない。まずは、小さなところで経験してみることが重要だろう。これまで、そうした企業を当社は支援してきた。

アジャイル開発の重要性は、今後ますます高まるだろう。いまのうちに経験やノウハウを蓄積しておくことは、将来への投資にもなるはずだ。

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