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IoT
IoT最新事例

“製品(モノ)+サービス(コト)”が製造業のモデルを変える

外向きのIoT事例、IoTでコストセンターをプロフィットセンターにする取り組み

独ケーザー・コンプレッサー社のビジネスモデル

コンプレッサー(圧縮機)大手の独ケーザー・コンプレッサー社は、独システム大手SAP社と組んでコンプレッサー機器販売から「空気の量り売り」へビジネスモデルを進化させています。エアーコンプレッサー(空気圧搾機)は、加工や切削といった生産過程で生じるゴミやチリを吹き飛ばして部品や設備を清潔に保ったりするために必要な生産設備です。

しかし、単純な機能なので性能による差別化が難しく価格競争が厳しい市場です。コンプレッサーは大量の電力を消費する生産設備なので、その構成によって工場のランニングコストが大きく変動します。通常コンプレッサーは、生産ラインに合わせて導入されますが、大型機1台で全てを賄うのか、小型機を複数台導入して対処するのかの判断で初期コストとランニングコストが大きく変わります。従来のビジネスモデルでは、コンプレッサーを販売して保守契約を交わすというのが当たり前でしたが、ケーザー・コンプレッサー社はSAP社と組むことで「空気の量り売り」という新しいビジネスモデルを生み出すことに成功しました。

これまでもケーザー・コンプレッサー社は、顧客企業の工場に据え付けたコンプレッサーの稼働データをUSBメモリーで入手して、空気の使用量や機器の稼働データ、電力使用量(電気料金)などを保守サポートに利用していました。しかし、これらデータをオンライン対応に切り替えSAP社の高速処理データベースを利用して「空気の量り売り」をサービスとして提供するビジネスを開発しました。コンプレッサーを販売して売上をあげるのではなく、顧客が利用した圧搾空気の使用量データをリアルタイムに処理して電気や水道のように従量課金型で売るビジネスを始めたのです。

顧客企業は、コンプレッサーを購入しないので初期コストが抑えられ、工場によって生産活動の変動が大きく稼働率が低い場合などコンプレッサーを自社購入するよりも割安となります。詳細なデータが入手できるため工場の稼働状況に合わせて大型機1台のコンプレッサーを小型機複数台に置き換えて、操業状態に合わせてきめ細かく動かしてムダな電力を省き全体の電力使用量を減らすことで、サービス提供するケーザー・コンプレッサー社側の運用コスト削減も可能です。

さらに、「空気の量り売り」モデルでは売れ残った旧型コンプレッサーや中古を自社再生品として整備したコンプレッサーを使っても機器として販売するわけではないため、「空気の量り売り」で契約する顧客は機器の型式は大した問題になりません。故障やトラブルで止まれば、ケーザー・コンプレッサー社に一切お金を支払う必要が無いからです。コンプレッサーの保守管理はケーザー・コンプレッサー社側の責任となり、サポートや故障による修理費も顧客企業が考える必要はありません。もちろん、長期間フル稼働するような使い方ならば、試算した結果自社保有した方が安くなる場合もありますので、その場合はこれまで通りコンプレッサーを買い切りで購入すれば良いのです。このように、ケーザー・コンプレッサー社の顧客は用途や目的に合わせて選択できるようになりました。

ケーザー・コンプレッサー社の新しい取り組みの原点は、設備保全管理にあります。コンプレッサーなどの生産設備は、通常計画的に保全管理されています。しかし、故障やトラブルが生じれば生産業務に影響するので、速やかな修理や代替機器による対応が必要となります。

設備メーカーには、当然自社製品のサポート体制と経験による対応ノウハウがあります。顧客の工場にあるコンプレッサーがオンライン対応で常時監視出来れば、計画外のトラブルによるダウンタイムを最小限に抑えることが出来ます。設備機器という製品(モノ)と保守サポートというサービス(コト)を別々に売るのではなく、両方を一緒に“モノコト”として売ることで新しいビジネスモデルが生まれたのです。これによって、他社との値引き合戦による価格競争を避け、顧客満足度を上げ、成長戦略となる新規市場を開拓しました。

こうしたIoTの活用アイディアこそ、外向きのIoT活用事例のモデルケースだと言えるでしょう。日本企業でも工場の設備保全をIoT取り組みに上げるケースが多く、IoTで得られたデータを活用して計画保全や予知保全、設備ライフサイクル管理に取り組むところが多いようですが、ケーザー・コンプレッサーのようにその発想を新しいビジネスモデルとして取り組んだ事例はまだ少ないようです。

[解説] IoTの考え方:これまでの製造業とIoT企業の違い

[図]IoTの考え方:これまでの製造業とIoT企業の違い図表1:製品(モノ)とサービス(コト) IoTにおける考え方
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フォークリフトメーカーのSTILL社のビジネスモデル

同様の発想で、外向きのIoT活用に取り組んでいる中堅企業をもう1つご紹介します。

ドイツのハンブルグに本社がある従業員約8,000名のフォークリフトメーカーのSTILL社は、物流センターなどの現場で使うハイエンドフォークリフトの最新モデル“cubexx”(キューブXX)を運んだ距離で従量課金するサービスで提供しています。この新型フォークリフトは、無人操作でコントロールセンターからの支持を受けてそれぞれが自律的に稼働するロボットフォークリフトです。物流センター内での混雑情報などから最適ルートを割り出して、その解析データから導き出したムダを省いた物流業務行を実現しています。

人間が操作するフォークリフトは、熟練度の高い人と低い人で作業効率にバラツキが生じるため時間や効率にムダが生じていました。物流業務は労働環境が厳しい職場なので、熟練度の高い作業者を常時維持することが難しく、コストアップが避けられない領域です。STILL社では、顧客ごとに収集した膨大なデータから倉庫管理の効率化やコストダウンにつながる情報を顧客へフィードバックすることで高い評価を得ることに成功しています。フォークリフトを販売するだけではなく、物流業務を最適化するサービスを提供することで他社とは違った強みを持つことに成功しています。

[解説] 製造業におけるIoT活用の事例:2015年版ものづくり白書より

[図]製造業におけるIoT活用の事例図表2:製造業におけるIoT事例、内向きと外向き
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