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ワークスタイル変革実践への指南書(第1回)

古いオフィス環境だからこそできる、ワークスタイル変革

2015年11月

古いオフィス環境だからこそできる、ワークスタイル変革

1. 最近、ワークスタイル変革の情報が増えてきた

ワークスタイル変革に関するニュースが、最近特に増えてきたように感じます。ワークスタイル変革に関するセミナーやイベントも、毎月のように開催されています。
いったい、なぜなのでしょうか。

これは、少子高齢化という社会現象が大きく関与しています。日本の人口は、2010年の1億2800万人をピークに、ゆるやかな減少に転じており、年間約20~30万の人口が減少しています。ところが、「生産年齢人口」と呼ばれる、皆さんの職場で働く可能性のある15~64歳の年齢層は、すでに急激な減少期に入っており、年間200万人近い生産年齢人口が失われているのです。

この急激な働き手の減少のために皆さんの職場では、「最近、課長一人に、若手担当が二人しかいない」とか、「新入社員のOJTをしている社員が、実は新入社員の父親より年上である」といった、笑えない状況が起きているかも知れません。(もちろん、若手中心の活き活きした会社も、多くあるでしょうが)

このような環境で、会社の競争力や、イノベーション力を維持し、さらに強化することは、至難の業です。ダイバーシティ(人材の多様性)の推進・雇用の確保・就労形態の多様化への対応・女性の活用といった課題への対応が、重要な経営課題となってきているのです。

一方、近年IT技術は、大きな進歩を遂げています。スマートフォンやタブレットに代表されるように端末やデバイスの多様化、インターネットやモバイル回線などネットワークの高速化、クラウドサービスの充実など大きな変化が起きてきています。これによって、社会や会社のデータ資源に、いつでも・どこでも・リアルタイムでアクセスできるようになってきました。このIT環境を活用して、労働人口減少に関連して起きている経営上の課題に対応していこうという動きが、ワークスタイル変革というテーマが注目されている背景なのです。

今回より、3回シリーズで、「ワークスタイル変革実践への指南書」として、ワークスタイル変革は、どの企業でも取り組むべきテーマであること。ポイントを押さえて実施すれば、実現は難しくないこと。そして、経営課題の解決にどう役立つのかということについて、書いていきたいと思います。

2. ワークスタイル変革に踏み出せない理由は

さて、これからワークスタイル変革に取り組もうという企業の皆さんは、成功している企業の事例を見学し、実現に向けて参考にされることも多いでしょう。

私も先進企業のオフィス見学に同行させていただくことがあります。

見学した企業のカフェのような食堂や、ホテルのロビーのようなコミニュケーションスペースや、とても座り心地のよさそうな椅子とTV会議の設備が整った会議室などを見て、「ああ、とてもうちでは無理だな。」とか、「外資企業だからできるんですよね。」といった声を聴くことが多くあります。 そして、次のような感想をもたれることが多いのです。

  • 新しいオフィスにしないとワークスタイル変革はできない
  • 大企業でないとできない
  • 大胆な人事制度変革を伴わないとできない
  • 多額のIT投資と高度なITリテラシーがないとできない

しかし本当にそうでしょうか。そのために、ワークスタイル変革への取組みの優先順位が上がらず、なかなか第一歩が踏み出せないという企業を多く見てきています。これはとても残念なことです。

これらの見学を通して是非見て欲しいことは、オフィス環境の美しさではなく、社員の方が働くにあたって抱えている問題・課題に着目いただき、その企業がどう乗り越えたかということです。その課題は、皆さんの企業が抱えている課題と同じであり、解決策の本質的な内容は、安価なIT投資と普段使っているITリテラシーで実現できていることが多いのです。

3. 古いオフィス環境こそ効果絶大、さあ踏み出そう

たとえば、ある外資のIT企業では、現在のワークスタイル変革を進める前に、仕事がハードで社員の定着率が必ずしも高くない、特に女性の定着率が悪かったという課題を抱えていました。世界でも先端的なIT企業である同社が、そのITを駆使しても、2010年ごろまでは、課題を抱えていたというのです。

同社では、スマ―トフォンで皆さんが使っているようなインスタントメッセージ・チャットの技術、それとスマ―トフォン・タブレット・パソコンに装備されているカメラ機能を利用したWeb会議の仕組みを利用することで、外出先や在宅でも簡単に仕事ができる環境を作り、解決を図りました。これにより社員のワークライフバランスが改善され、定着率が格段に向上しているとのことです。

また、ある企業では、製品のライフサイクルが短く、品数が多くなり、営業の勉強の機会作りがとても難しいという課題に直面していました。通常であれば、会議室を確保し、勉強会を案内し、数回の開催を企画するという、大きな手間と時間をかけなければなりませんでした。

しかし、クラウドで提供されているWeb会議の仕組みを導入することより、1回だけ勉強会を開催し、当日会場に参加できない人は、自分のパソコンやタブレットで勉強会へ参加できるようになりました。

また、この模様を主催者は簡単な操作で録画できるので、その情報を閲覧できるようにして、後から勉強することができるようにしました。これを応用すると、社内制度の説明会など、周知徹底すべき事項が、今までより簡単にできるようになったとのことです。

最後に、もう一つだけ事例をお届けしたいと思います。皆さんの企業でも、スケジュール管理や会議室予約をWeb上で行っているところは、多いのではないでしょうか。最近これらのグループウェアやスケジュール管理機能に、プレゼンスという、その人が在籍しているか、離席中なのかをリアルタイムで表示できる機能をもった仕組みが増えてきています。

これにより、早急に相談したい時、在籍していることがわかれば、すぐその人の席に向かう、すぐ電話を掛ける、さきほどのインスタントメッセージ・チャットの機能ですぐ問い合わせをする、という対応ができます。これを実践することにより、格段に判断スピードや決裁スピードが上がったことを実感できるようになったとのことです。決して、大掛かりなワークフローシステムを導入しなくても、業務のスピードアップが図れるのです。

このように、ワークスタイル変革に取り組んできた企業の抱える課題は、皆さんの企業の抱える課題と共通点があると気づいていただけたのではないでしょうか。また、解決のためには、先端のオフィス環境で解決しているわけではなく、ちょっとしたIT技術の利用と取り組みによって実現できていることも分かっていただけたと思います。

古いタイプのオフィスで仕事をして、組織間の壁に悩まされる。忙しくなかなか会議も開けず、仕事のスピードが停滞気味である。残業が多く疲れもたまりがちで、生産性がアップしない、などの悩みを持っている企業こそ、ワークススタイル変革という処方箋は、非常に効果的であるのです。

もちろん、導入しただけで、すぐに成果があがるというわけではなく、実際に社員の方に使ってもらうためには、いくつかの工夫や乗り越えるべき壁があります。次回は、実際にどう導入すれば、ワークスタイル変革に踏み出すことができるのか、成功するのかについてです。

ワークスタイル変革実践への指南書

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