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公認会計士が回答!グループ管理どうする?(第2回)

連結グループ内の勘定科目とシステム統一の重要性

2023年10月

Q.

株式上場を控え、連結会計導入の必要に迫られています。この場合、連結グループ内の決算を効率的に進めるには、どのような点に留意すれば良いでしょうか。

A.

(1)連結会計のおさらい

第1回で新規株式公開(上場)を視野に入れた場合、子会社を含めた企業集団(連結グループ)全体を対象とした連結会計を導入する必要がある点に触れました。連結会計は、親会社及び複数の子会社からなる企業集団を、あたかも一つの企業体として会計処理を行うものです。

第1回でも取り上げた数値例を使って簡単に解説しましょう。製造業である親会社P社と、その製品を企業外部に販売している子会社(いわゆる販売子会社)S社からなる企業集団があったとします。P社が企業集団外部のA社から調達した部品80円を使って製品を作り、子会社であるS社に100円で販売したとします。さらに、S社はこの製品を企業集団外部のB社に120円で販売した場合、P社単独で見ればS社に対する販売価格100円とA社からの仕入価格80円との差額である20円の利益を獲得したことになります。同様に、S社単独ではB社に対する販売価格120円とP社からの仕入価格100円との差額である20円の利益を獲得したことになります。

図版:連結会計の考え方図1.連結会計の考え方

一方で、連結会計として捉えた場合、つまりP社とS社を企業集団という一つの企業体として捉えた場合、P社とS社の取引は企業集団内部における内部取引という扱いになり、この取引をなかったものとして消去することが会計上は求められます(「(借方)売上100(貸方)仕入100」という仕訳を計上)。加えて、P社S社間で資金決済が未了の段階で期末を迎えた場合は、債権債務も相殺する必要があります(「(借方)買掛金100(貸方)売掛金100」という仕訳を計上)。

(2)連結パッケージの導入とシステム統一の重要性

上述したように、連結会計を導入すると、企業集団内部の取引は相殺消去する必要があります。数値例は1つの取引を使いましたが、実際には1会計期間(≒1年)を通じて大量の取引が生じることが通常のため、この相殺消去を手動で行うのは無理があります。また、取り上げた数値例のように親会社1社と子会社1社のみというシンプルな組織構造であるケースも稀で、実際にはもっと多くの子会社を抱えている企業集団のほうが通常考えられるケースです。

図版:連結会計の考え方図2.連結会計の考え方

このため、連結会計の導入においては、連結パッケージと呼ばれるものを使用することが少なくありません。内部取引消去や債権債務の相殺を効率的に行うために、企業集団同士の取引や債権債務残高を各社に入力してもらうフォーマットが連結パッケージと呼ばれるものです。これは、通常、親会社がエクセル等のフォーマットで用意し、各子会社に配布します。

連結会計の導入においては、内部取引の消去等を正確かつ効率的に行うために、通常の「売上」「仕入」といった勘定科目とは別に「関係会社売上」「関係会社仕入」といったものを設定することが通常です(厳密な定義とは異なりますが、関係会社とは、ここでは企業集団内の他の会社を指すと理解してください)。そして、連結パッケージを連結会計システムに読み込ませることで、企業集団内部に対する勘定科目残高を収集して連結会計の処理、つまり「(借方)関係会社売上xx(貸方)関係会社仕入xx」という仕訳計上や、「(借方)関係会社買掛金xx(貸方)関係会社売掛金xx」という仕訳計上を正確かつスピーディーに行うことが可能となるわけです。

この連結パッケージへの入力は、親会社及び各子会社で行われるのですが、このとき留意すべき点があります。使用する勘定科目の体系を統一する、ないし、できる限り同じ粒度のものにしておくことが望ましいということです。企業集団内で勘定科目の体系が揃っていないと、各社で使用している会計システムの数値から連結パッケージを作成するときに組替の手間が掛かってしまいますし、場合によっては連結パッケージへの数値入力すべき勘定科目が適切でないために、連結修正仕訳(「(借方)売上xx(貸方)仕入xx」等)が正しく起票されない可能性が生じます。例えば、P社ではS1社に対する関係会社売上が183,100千円で計上されているのに、S1社ではP社に対する関係会社仕入が164,800千円で計上されていたら、上手く相殺消去を行えないということになります。

このような事態を最小限に防ぐには、各社で使用している会計システムを同じものに統一することが有効となります。会計システムが同一であれば、勘定科目の体系も統一しやすいです(ただし、マスタの設定で多少は異なる可能性はあります)。

また、この勘定科目体系や勘定科目の粒度を揃えることで、会計数値を経営に活用しやすくなりますが、その点は次回に譲ることとします。

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