ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ソリューション
  3. 公認会計士が回答!グループ管理どうする?(第1回)
ここから本文です。

公認会計士が回答!グループ管理どうする?(第1回)

連結会計

2023年9月

Q.

新規で立ち上げた会社が軌道に乗って来て、子会社も数社設立しました。今後、M&Aによる他の会社の取得等も駆使しながら、新規株式公開(上場)も視野にさらなる事業拡大を考えていますが、どういう点に留意すれば良いでしょうか?

A.

(1)上場を見据えた各種法令の遵守

上場までを視野に入れた事業拡大ということであれば、各種法令の要請を遵守する必要があります。会計回りでいうと、まず、会社法第444条第3項において「事業年度の末日において大会社であって金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない。」との規定があります。

大会社というのは、「最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上」ないし「最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上」である会社のことをいいます(∵会社法第2条第2項第6号)。また、会社法第444条第3項で参照されている金融商品取引法第24条第1項では、要約すると金融商品取引所に株式を上場している場合等は、有価証券報告書を作成して提出する必要があるとされています。

会社法第444条第3項及び金融商品取引法第24条第1項をあわせて読むと、金融商品取引所に株式を上場している場合等においては、会社法上、連結計算書類を作成する必要があるということになります。なお、計算書類というのは貸借対照表、損益計算書、株主資本当計算書を包含する会社法上の決算書のことを示す用語です。

つまり、上場を検討する場合、連結会計というものを導入する必要が出てくるということになります。

(2)連結会計の導入・連結会計の考え方

上述したように株式上場を検討している場合、連結会計を導入して連結財務諸表を作成する必要があります(決算書のことを金融商品取引法上は財務諸表、会社法上は計算書類といいますが、本稿では以後、財務諸表と呼ぶことにします)。

連結会計については、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第1項において「連結財務諸表は、支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するものである。」と規定されています。要約すると、親会社及び複数の子会社からなる企業集団を、あたかも一つの企業体として会計処理を行うものです。

定義だけだと分かりにくいので、実際に数値例で説明します。親会社であるP社が企業集団外部の仕入先A社から部品を80円で調達して製品を作ったとします。その製品を、販売活動を行っている子会社S社に100円で販売し、S社は企業集団外部のB社に120円で販売したとしましょう。この場合、P社単独で見ればS社に100円で販売した時点でA社からの仕入費用80円との差額である20円の利益を獲得したことになります。

一方で、P社とS社を企業集団という一つの企業体として捉えた場合、P社がS社に販売した時点ではまだ一つの企業体の中で製品が移動したに過ぎないと考えられます。同一の法人格の企業において、ある事業部から他の事業部へ製品を移動させただけと同じ状態なのです。

[図]連結会計の考え方図1.連結会計の考え方

このため、連結会計においては、P社とS社の取引はなかったものとしてP社で計上した売上の仕訳とS社で計上した仕入の仕訳を相殺することになります(「(借方)売上100(貸方)仕入100」という仕訳を計上)。また、企業同士の販売は通常、掛け売り(売掛金、買掛金として処理)であることがほとんどですが、P社S社間で資金決済が未了の段階で期末を迎えた場合は、債権債務も相殺することになります(「(借方)買掛金100(貸方)売掛金100」という仕訳を計上)。

以上のように、株式上場までを見据えて子会社の新設、M&A等を行う場合は、連結会計の導入が必要となってきます。上場会社は、証券取引所の要請により45日以内の決算開示が求められているため、親会社及び子会社の単体決算だけでなく、連結決算までも含めた処理をスムーズに行うことに留意すべきでしょう。

グループ会社間での会計の管理にお困りではありませんか?

  • 複数会社間での管理を可能にしたい
  • 管理運用工数・コストを削減したい
  • 子会社からのデータの収集を効率化したい

ERPシステムでグループ会社間の会計システムの統一をお勧めします。詳細はこちらをご覧ください。

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る