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コンサルタントのコラム

在庫のはなし

[第2回]在庫に関するジレンマ~適正在庫は実績をもとに算出する~

2011年3月(2020年10月改訂)

在庫にまつわる悩み

在庫がもたらす功罪については、一概に製造業はこうで流通業はこうなのだ、と言うことができないとお話ししました。
しかし、この二つの業種にはそれぞれ代表的な「在庫にまつわる悩み」があります。

流通業においては「店舗在庫」に関わるものであり、製造業においては「原材料や仕掛り在庫」に関わるものです。
これらの悩みは、「在庫をたくさん持ちたい」という思いと「在庫を少なくしたい」という思いのジレンマ(対立)として表現できます。

在庫に関するジレンマ(流通業)

制約理論(TOC)で問題解決のために利用される「クラウド(対立解消図)」を使って流通業における在庫のジレンマを表現すると次のような図になります。

[図]流通業における在庫のジレンマ

この図では、「店舗にできるだけ在庫を抱える」という行為と「店舗在庫をできるだけ少なくする」という行為が対立関係にある状態を表現しています。(DとD')

在庫に関するジレンマ(製造業)

一方、製造業における在庫のジレンマを表現すると次のような図になります。

[図]製造業における在庫のジレンマ

この図では、「原材料や仕掛り在庫を余分に確保する」という行為と「原材料や仕掛り在庫をギリギリまで少なくする」という行為が対立関係にある状態を表現しています。(DとD')

TOCでは、ジレンマは「ある間違った思い込み(wrong assumption)」によって引き起こされており、解決が可能であるとされます。
では、流通業における在庫のジレンマは、どういった間違った思い込みで引き起こされているのでしょうか?

適正在庫数について

在庫というものの本質は需要の不確実性をカバーするバッファだということは前回お話ししました。
トヨタ生産方式として有名なカンバン方式でも、広く使われている発注点方式でも、適正在庫数をいかに上手に決めるかが在庫削減効果を左右するポイントとなっています。

これらの従来から採用されている方式では、適正在庫数の算出に「将来の需要を予測した値(例えば平均出荷量など)」を重要なパラメータとして扱っています。
言い換えると、「いかに精度の高い需要予測ができるか」が、より適正な在庫数を決めるカギとなるということです。
そのために高度な統計手法を使ったり膨大な分析を行う様々な技法が開発され、コンピュータの計算能力が利用されています。

しかしながら、思ったほどの在庫削減が実現していないのが現状です。
なぜなら、将来の需要を予測するということは不確実性が必ず含まれる為に、それをもとに決定した適正在庫数には不確実な数が必然的に含まれてしまうからです。

発想の転換

ここで発想を変えてみましょう。 将来の需要予測が不確実性を含むのならば、需要予測をしないで適正在庫数を決めることはできないでしょうか?

近年、「ダイナミック・バッファ・マネジメント」(以降、DBMと略します)という適正在庫数の管理方法が注目されています。
DBMでは適正在庫数を決めるために将来の需要予測を行いません。 出荷量の実績と在庫数の実績をもとに適正在庫数を決定する方式です。

「そんなやり方で適正在庫数が決まる訳がない」というのが、在庫管理や発注管理のプロフェッショナルの方々の第一印象だと思います。
ですが、DBMを使って劇的な在庫削減に成功したケースが現実にたくさん報告されています。

執筆

NECネクサソリューションズ
シニアコンサルタント 冨澤 雅彦
[日本TOC推進協議会 正会員、日本UML推進協議会 BPMN研究会副主査]

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