ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. 少子高齢化による人手不足を補う新たな一手! シニア世代の活用が企業の力となる
ここから本文です。

特集

少子高齢化による人手不足を補う新たな一手! シニア世代の活用が企業の力となる

2017年11月

少子高齢化による人手不足を補う新たな一手! シニア世代の活用が企業の力となる

少子高齢化が急速に進行する日本。労働力人口の減少で人材確保に困難を感じている中堅中小企業も多いだろう。そこで考え方を変えれば、これから増えるシニア世代を活用するという方法も有力な選択肢となりうる。メディアではダイバーシティという言葉をよく見かけるようになったが、シニアの採用で社内の人材が多様になり、そこから社業向上につなげられるという点で、まさにこの考え方にも沿うものだ。ここでは、シニア世代を中堅中小企業が活用するにはどうすべきかを考える。

シニア世代の活用が必須である理由

労働力人口の減少は今後も進んでいくと考えられる。内閣府「平成28年版高齢社会白書」によると、日本の総人口中に占める65歳以上の割合は、2015年には26.7%だったが、2035年には33.4%になり、実に人口の3人に1人に達すると考えられる。

こうした状況を背景に、いま「シニア世代」の活用が注目されている。実は、「シニア」の定義が曖昧で、50歳以上とするケースもあれば、60歳、あるいは65歳以上をシニアと考える場合もある。いずれにせよ、総人口に占める高齢者の割合が増えるにつれ、シニア世代の労働者の割合も拡大の一途をたどっている。

シニア世代の雇用活性化に対しては国も積極的に取り組んでいる。2013年に施行された改正高年齢者雇用安定法では、希望者を65歳まで雇用することが企業に義務付けられた。これを受けて、すでに多くの企業において高齢者雇用対策が実施されている。シニア雇用には定年延長や定年以降の再雇用のほか、それまで会社とは関係のなかったシニアをパートなどで雇うケースも見られる。厚生労働省「平成28年高年齢者の雇用状況」によると、高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.5%、51人以上の規模では99.7%に達しており、内容の差こそあれほとんどの企業が対策を行っている実情が見て取れる。

ところで、シニア世代を活用するといっても、当のシニア世代は定年退職以降も働きたいと考えているのだろうか。内閣府「平成28年高齢社会白書」によると、65歳を超えても働きたいと答えた人は71.9%もおり、3割近い人が「働けるうちはいつまでも働きたい」と答えている。これを見れば、シニア世代の多くは働く意欲を持っていると読み取れるだろう。もちろんシニア世代も人それぞれで、引退してゆっくり暮らしたい人もいれば、働きたくても病気などの事情で思うように働けない人もいるが、健康でまだまだ働きたいと考えるシニアは間違いなく多い。

労働力不足解決のほかにもメリットがある

ここまで見てきたように、労働力人口の減少に対応するにはシニア世代の雇用が有効であり、国も制度面で支援している。また、当のシニア世代も旺盛な勤労意欲を持つ人が多い。企業がシニア世代を活用することは自然な流れであるとともに、もはや不可欠な取り組みであるともいえる。

シニアの雇用は単に労働力不足の解決だけではなく、企業に様々なメリットを与えうる。まず、定年後に再雇用すれば新たに人材を雇う必要がないため採用コストを抑制できる。また、長年働いてきたシニアは経験や知識、スキルを蓄積しており、重要な仕事やトラブルに際して貢献を期待できる。若い社員の教育など人材育成の面でも力を発揮するだろう。

総人口に占めるシニアの割合が増えるということは、必然的にビジネスにおいても高齢者をターゲットと考えるケースが増えることを意味する。そんなとき、シニア社員がマーケティングで高齢者にフィットした製品・サービスを生み出す助言をしてくれたり、店舗などで高齢者の顧客にシニアが接客することで顧客に安心感をもたらせる可能性もある。

シニアを単に労働力不足を補う戦力として考えるのではなく、積極的にシニア活用の戦略を立て、実行していくことが、今後の企業には求められる。

シニア世代活用には就業条件整備と人事制度確立が必須

しかし実際にシニア世代の活用を企業が考えた場合、一筋縄にはいかないことも容易に想像できるだろう。例えば上司として働いてきたシニアが定年を迎え、若手管理職の部下になるケース。頭で割り切り、すんなり一部下として接することができれば理想的だが、やはり最近まで上司だった人がいきなり部下になると困惑するだろうし、元上司に指示を出すのも難しいかもしれない。反対に元上司の側としても、部下だった人の指示を素直に聞けない人がいるだろう。再雇用後もいまだ上司のように振る舞うシニアもいるはずだ。

このように、シニアを活用するうえではどうマネジメントするかという問題が起きる。また、それまで一線で活躍してきたシニアは仕事に対して高い評価を受けてきたはずなので、再雇用後も評価の得られる仕事を求めてくるかもしれない。そうしたケースでの評価体制も、シニアを活用するうえで企業は考えておくべきだ。

一方、ひと口に「シニア」といっても当然ながら個々人でモチベーションが異なる。若いときと同様にフルタイムで働きたいと考えるシニアもいれば、空いた時間に柔軟に働きたいシニアもいる。また、スキルや経験についても個々人で当然異なる。それまで別の会社・業種で仕事をしていたシニアを採用するケースもあるだろう。シニアだからと一律に考えるのではなく、個々の要望を聞き、スキルなどもしっかり評価したうえで雇用できるような就業条件の整備と人事制度の確立が必要だ。

シニア雇用で企業力アップした事例も

こうした様々な課題を乗り越え、シニアの活用に成功した事例を紹介しよう。

ある企業では、すでに1990年に60歳定年後の再雇用制度をスタートした。当初は63歳まで希望者全員、64歳以降は会社による選択制としていたが、2001年に65歳までの希望者全員の再雇用制度を導入。2010年度以降の再雇用率は90%前後となっており、定年後も再雇用で働くことが当たり前になっているという。勤務形態は1)フル勤務、2)短時間勤務、3)隔日勤務、4)希望するときのみ勤務――から選ぶことができ、賃金体系は勤務形態に応じる形とした。また、特別のスキルを持っているシニアについては65歳を超えてからも雇用を継続している。

東海地方のあるメーカーは、工場の稼働率を上げるため、土日・祝日に働く60歳以上のシニアを募集。未経験のシニアも丁寧に育成することで、工場の365日稼働を実現した。その後もシニア活用を積極的に行い、土日だけでなく平日もシニアのパートが活躍している。

シニア世代の活用は、高齢化・労働力不足という時代の要請に沿うものだが、その課題を解決するだけにとどまらず、シニアの経験やスキルを社業の活性化につなげるチャンスにもなる。総務人事が、シニア世代がしっかり働ける環境を整え、力を十分に発揮できる舞台をつくることができれば、企業力アップに貢献することは間違いない。

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る