「働き方改革」を実現するための、4つのポイント(第2回)
社内の情報共有を活性化、意志決定スピードを加速する
2015年9月
コミュニケーションを強化し、ビジネススピードを向上させる
働き方が多様化する現代社会。場所や時間にとらわれずに、関係者が情報共有したり、ディスカッションできる環境作りが求められています。ITの普及やグローバル化により、市場の競争が激化する中で勝ち抜くためにも、コミュニケーション強化による共創の推進やビジネススピード向上は重要なテーマ。そこで、コミュニケーションの円滑化につながる具体的な取り組み方や事例、必要となるソリューションを紹介します。
競争力強化のためにも、コミュニケーションを強化し判断スピードを上げたい
従来の業務上のコミュニケーションは、電話やメール、ファックスなどが主に用いられてきました。これらはそれぞれにメリットがあるものの、ワークスタイル変革の時代、多様化する働き方に対応するには十分とは言えません。例えば、複数人で同時にコミュニケーションを取りたい、手間やストレスを感じずに情報共有したい、在席の有無を知って適切なコミュニケーション手段を選択したい・・・など、コミュニケーションの目的も多様化しているからです。
また多様化する働き方に対応するのみならず、激化する市場競争に対応するためにも、コミュニケーションの円滑化は欠かせません。つまり、迅速な情報共有やタイムリーな意思決定が、ビジネススピードを向上させ、競争力を向上させるためには不可欠というわけです。しかしながら現状では、決裁者が外出や会議などで不在がちで意思決定が遅れる、最新情報が担当者レベルでしか把握できていない、といったこともよくあることです。こうした課題を解決し、コミュニケーション強化するための取り組みには、下記のようなポイントが考えられます。
(1)手段の革新(タイムリーなコミュニケーション)
ITの進化により、1対1から複数メンバーによるコミュニケーションや、文字・音声・映像といった複数のメディアを組合せた、効率的にコミュニケーションが行えるツールが登場。ニーズに応じて選択可能です。
(2)連携効率化(フラット組織への対応)
場所を問わずにコミュニケーションを取ることで、組織の“垣根”を低くしてフラットな組織=意思疎通が迅速に行える組織作りが行えます。
(3)コスト削減
新たなITツール活用には確かにコストがかかります。しかし、例えば全国会議をWeb会議ツールで置き換えることができれば、出張旅費などの大きな削減につながることでしょう。費用対効果を見極め、必要なツールを導入すべきです。
このようなポイントを踏まえることで、ビジネススピード向上にもつながっていくと考えられます。
コミュニケーション強化とビジネススピード向上を実践した企業の取り組み方とその効果
コミュニケーション円滑化やコミュニケーション強化への取り組みを考えた時、企業には次のようなニーズがあると考えられます。
- 本社と拠点のスピード感や意識のギャップを改善したい
- 各組織に埋もれている人材を活用し、多様性を発揮したい
- 社内稟議、意思決定が決裁者の不在で先送りになることを防ぎたい
- 検討事項を関係者に何度も説明する手間を省きたい
- 外出先からも社内メンバーと業務連携をしたいなど
その中でも、NECネクサソリューションズが直面したコミュニケーションに関する課題と、その解決までの取り組みを3つの事例としてご紹介します。
(1)社内の説明会に関する業務効率化
NECネクサソリューションズの情報システム部門では、システムやソフトウェアの利用方法やセキュリティに関する周知事項など、年間約50回にも及ぶ「説明会」を実施していました。その事前準備には、資料作成、参加者への連絡、その参加人数に応じた会議室の予約を完了させるなど、大きな労力と時間が必要でした。また、参加できなかった人がいる場合には、説明会を再度設定するといった手間もかかっていました。
その解決策となったのがオンライン会議(Web会議)サービスである、Skype for Business(旧Lync)の活用です。説明会の参加者は、指定した日時に会議室に来る必要がなくなったので、参加率の向上につながりました。また、これまで資料を印刷して配布していたものを、デジタル配信したことで、Web会議が開始する直前まで時間を使って資料を作成できるようになりました。
また、参加できなかった人に対しては、Skypeのボタン一つで録画できる機能を利用し、説明会をいつでも閲覧できるようにしたことで、再度、説明会を設定する必要もなくなりました。こうして、情報システム部門は説明会にかける労力を大きく軽減し、準備の作業時間も短縮。従業員は説明会を受講しやすい環境を作ることができるなど、時間を効率的に使えるようになりました。
(2)Web会議に「聞くだけ参加」という新たな活用法
Skype for Businessの活用法として、自席で会議参加可能となったことで、「聞くだけ参加」というスタイルも実施できるようになりました。移動中や他の業務が忙しい時でも、会議内容をリアルタイムで聞いておくことで会議の概要などがつかめるので、情報共有がスムーズに進められるようになり、ビジネススピード向上にもつながりました。
(3)電話対応による無駄な時間とコストを削減
異なるフロアや拠点の相手に内線をかけた時、その相手が不在の場合、実は時間・コストに無駄が発生しています。不在の相手に「折り返し電話」を依頼するまでにかかる時間を試算すると、1回の通話にかかる時間は約89秒となります。
このような状況もまた、Skype for Businessのプレゼンス機能により改善へとつながりました。プレゼンス機能とは、コミュニケーションを取りたい相手の在席状況が画面上でわかる機能で、「在席」「離席」「外出中」「会議中」等と表示されます。つまり、「在席」と表示されている時に内線をかければ、相手と確実に対話できるわけです。また一方、不在で折り返し連絡を「チャット」で依頼するとしたら、それはわずか15秒で行えますので、従来の89秒よりも、74秒短縮できることになります。
74秒というと短い時間かもしれませんが、社員数が多い企業で考えると、積み重なると大きな効果につながります。例えば、社員数が2,000人で平均して一日に6割の社員が伝言を依頼することを想定してみましょう。上記より、1回の時間差74秒を人数及び稼働日で計算してみます。
74秒 × 2,000人 × 0.6 × 20稼働日 × 12か月 = 21,312,000秒 = 5,920 時間/年間
年間で5,920 時間という時間短縮につながることがわかりましたが、さらにこれを金額に換算してみましょう。
5,920時間 × 2,000円 = 約1,200万円
つまり、年間約1,200万円の削減につながることがわかりました。
あるいは、その仕事量を考えてみると、
5,920時間 ÷ 8時間(1日の勤務時間)÷20日(1か月の勤務日数)=37 ヵ月
となり、年間約3人分以上もの作業時間が軽減できるということがわかります。
このように、新たなコミュニケーション手段を取り入れることで、業務効率化や情報共有が加速するのみならず、大きなコスト削減につながることもわかりました。今後も進化し続けるであろう、新たな技術を取り入れたツールを活用することで、さらなる効果を得られることでしょう。
「働き方改革」を実現するための、4つのポイント
- 第1回 「多様な働き方」に対応し、優秀な人材を確保する
- 第2回 社内の情報共有を活性化、意志決定スピードを加速する
- 第3回 企業間連携を実現し、ビジネスを強化する
- 第4回 セキュアで創造性豊かなオフィスを実現する
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