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コラム

第1回 IT投資見直しに向けての重要課題

- 中堅企業におけるこれからのIT戦略 -

2019年11月

はじめに

今回から「中堅企業におけるこれからのIT戦略」と題して、当社が中堅企業のお客様に実際にご支援をさせていただいたIT戦略策定コンサルの経験をもとに、今後IT投資の見直しを進める上で特に重要と考えられている課題と対策を中心に、「IT中期計画(IT戦略)」策定の進め方、考え方、ポイントについてご紹介します。

IT経営に突き付けられた4つの課題

経済産業省より「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」が発表されて以来約1年が経ち、IT経営を推進するための国を挙げてのさまざまな関連政策が継続しています。各企業においてはまさに今、既存の基幹業務システムの刷新やITインフラの見直しなど、IT中期計画策定を進めることが重要な経営課題になっています。

第一点目の課題として、「情報システム部門の今後の見直し」があげられます。既存システムの運用・保守に資金、人材の多くが割かれてしまっている課題やユーザー企業のおけるIT人材の不足、ベンダー企業における人員の逼迫、スキルシフトの必要性、両者共通での人材の育成と確保が重要であり、今後の情報システム部門に求められる役割と体制として、スキル棚卸しやマインドセット、人材リソースロードマップの整理を進めて行く必要があります。

第二点目の課題としては、「ITインフラの見直し」があげられます。IT資産(IT内部環境)の分析評価を行う前提として、既存資産の棚卸しと仕分けを行い、今後のプランニングを実施します。営業戦略や事業戦略との整合、競争領域の特定とそれを実現するための共通のプラットフォーム化を行い、技術的負債の軽減を図ります。DXの実現を進めるための基盤構築マップ(技術マップ)を描き、その計画と実施スケジュールの策定を行います。

第三点目の課題「レガシー移行」では、現状システムの見える化を行います。具体的対応では、基幹システムの見直しや今後を見据えた移行計画が必要となります。見直し、移行パターンの検討としては、ERPパッケージの導入や既存システムとのハイブリッド化(ERPと既存システムとの連携)、オープン化(既存アプリケーションのマイグレーション)などがその選択肢としてあげられるでしょう。

特にレガシー問題と技術的負債への対応、新技術の活用の遅れへの対応については、ユーザー企業とベンダー企業の共通課題として取り組みが必要です。

第四点目の課題「データ活用」は、DX推進の中心テーマです。DXの実現に不可欠なビックデータの活用や、AI、IoTを導入し活用型DB(データベース)構造を実現するための新技術の導入を検討します。

ここでは“情報活用のステージ”という概念をもとにデータ活用の目的を明確にし、その活用イメージの具体化、活用データや業務活用フローまでの施策化を行います。テーマの検討(課題抽出)→対象データの整理(活用データの整理)→データ管理方法の検討(データ基盤技術の選択、活用フロー検討)→戦略的データ活用シナリオの整理と展開を図ります。

「IT中期計画の策定」は、これら問題意識(課題)をまず全体計画としてその整理を行い、さらにテーマ別の個別計画(業務システムの企画など)に展開します。基本情報の収集→ITマネジメントに関するアセスメント結果の分析→取り組みテーマの選定→IT化基本計画とIT化ビジョンの設定→実施計画(ロードマップとリソース計画)の策定を実施します。

2018年12月に経産省では、DXを推進するための方法論として「ガイドライン」の取りまとめを行っています。2019年7月にはその推進指標として「DX推進指標」が新たに発表されましたが、「IT中期計画策定」との関係についてはあらためて触れたいと思います。

DXとは?:デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」  【2019年7月経済産業省DX推進指標(サマリー)より】

「DXレポート」掲載サイト(経済産業省)

IT中期計画策定時の要求事項確認のポイント

一般的に各企業がIT経営を実現するための具体的方策としては、事業課題および業務課題とIT投資テーマの整合を図る必要があります。経営幹部および現場部門のIT化に関する期待、意向を確認することが重要な要件となります。現在のIT化状況と目指す姿とのギャップを明らかにするとともに、IT化の優先順位付けを明らかにし、事業年度ごとの計画を関係部門と共有することも必要となります。IT部門の役割を再確認し、将来に向けたリソース計画、特に中期的な視点に立ったIT部門の人材育成の計画を明確にする必要も重要です。特にIT化計画に関しては、関係者が“誰でも”理解できるよう正規手続きを経て承認を受けた社内文書(IT中期計画書)として共有化、必要に応じて社外に公開する必要があります。

IT中期計画策定における経営からの要求事項(例)と目指すべき姿の一般的視点

要求事項(例) 目指すべき姿
≪戦略整合≫
経営・事業戦略と整合
整合されたIT戦略・計画が共有されている。
IT戦略・計画が事業戦略の重要な実現手段として実践されている。
≪ITサービス提供≫
業務部門への、価値のあるサービスの提供、サービス品質の維持・向上
状況が見える化され、プロセス改善、効率化、生産性向上等に役立っている。
標準化されたIT基盤があり、ITサービスマネジメントの強化が常に図られている。
≪リソース管理≫
適正なリソースの管理
人的・物理的リソースが中長期的な観点から適切に管理され、コストの適正化が図られている。
≪リスク管理≫
効率的・効果的なリスクの管理
リスクが洗い出されており、適切な対策が講じられているとともに、定期的に見直されている。
≪成果測定≫
成果測定および改善実施
IT投資評価の仕組みがあり、(DXの実現状況など)成果の評価、改善につながっている。
≪共通事項≫ ITマネジメント体制が確立されている。
ITに関する計画的な人材育成が実施されている。

IT予算・投資マネジメントの国内状況2019

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2019」の調査結果によれば、IT予算・投資マネジメントにおいてIT投資の重点領域がビジネスのデジタル化に向けて必ずしも対応出来ておらず、その推進を行うためのIT部門の役割・人材が重要であるとしています。

具体的には、デジタル化を踏まえたITマネジメントや、デジタル化に関するITインフラストラクチャ関連の取組みが今後の重要課題であるとされています。お金(資金)とリソース(人材)については、先に紹介した「DXレポート」でも、既存システム(現状の基幹業務システム等)がDX推進上の“足かせ”になっている点やその背景の難しさなどを“運用・保守に割かれてしまう資金・人材”として課題提起されています。

このようにDXへの取り組みが大きくなってはいるものの、IT投資においてはその成功確率が過去から大きく改善されていません。その理由としては、多くのシステムが複雑に絡み合い開発・保守に関する影響範囲が広がっている点や、開発導入の短納期化、経営・環境変化への迅速な対応が求められていることがあげられます。

このような中でいかに企業・組織内の課題を解決し、ITによる事業・経営運営に貢献していくかについて情報部門の役割は高まる一方です。ということで、IT経営を強化するためのDXを見据えたIT中期計画づくりを行うことが大変重要となります。

企業IT動向調査に見るIT投資マネジメント、IT投資重点領域の動向

【参考資料】企業IT動向調査2019(2018年度調査)一般社団法人日本情報システムユーザー会

まとめ

今回「IT投資見直しに向けての重要課題」として、4つの重要課題とIT中期計画への展開、IT中期計画策定時の要求事項確認のポイント、IT予算・投資マネジメントの国内状況を整理してみました。

「情報システム部門の今後の役割と体制」は、DXをどのように進めて行くのか非常に重要なテーマであり「ITインフラの見直し」は、特にクラウド化を中心とした最適なITインフラの整備に関するテーマです。「レガシー移行」における基幹業務システム見直しの本質論は、業務プロセスの標準化であると考えられています。DXを実現するための打ち手そのものではありませんが、レガシー移行はDXという経営課題に本質的に切り込むためのアプローチに繋がっています。「データ活用」は、DXの本質(1丁目1番地)とも言われ、データのアーキテクチャー化、構造化、データプロセスの標準化などにより、業務における本質的課題をデータから再整理することが、DX化を推進する上で非常に重要な意味を持つと言われています。

今、各企業においてレガシーシステムの存在そのものが、事業改革の阻害要因になっていると言っても決して言い過ぎではなく、むしろレガシーシステム刷新がDX推進のベースラインとなります。

さらにDX実現に向けたデータの資産化をどう進めるのか、企業各社における“自社DX推進のフレームワーク化”(=IT中期計画)がまさに今、重要となってきます。

次回から4つの重要課題として掲げた、(1)情報システム部門の今後の役割と体制(2)ITインフラの見直し(3)レガシー移行(4)データ活用とIT中期計画の策定(DX推進、ITインフラ見直し)「攻め」のIT投資へ!について説明していきたいと思います。

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