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総務人事向け
「月刊総務」編集長が語る、総務から始める働き方改革(第6回)

リーダーのための、部下の働き方改革の進め方

2017年7月

リーダーのための、部下の働き方改革の進め方

日々、注目度が高まる働き方改革。論点が少しずつ変化していることにお気づきでしょうか。長時間労働削減、同一労働同一賃金、テレワークの導入……。当初は形から入る議論が多かったように思います。ここにきて形だけではなく、仕事の中身の見直しの議論がされ始めています。生産性の向上という論点での議論です。仕事の見直しをしないまま労働時間を削減しても、経済の活力が低下してしまうだけです。生産性を高め、結果として労働時間が短くなる。リーダーとしては、その実現をどのようにサポートしていけばよいのでしょうか。

仕事を改めて再定義させる

若手担当者ほど、先輩の言われたまま仕事をするケースは多いことでしょう。あるいは、マニュアルに忠実に仕事をすることも多いでしょう。それは別段悪いことではありません。
しかし振り返ってみて、そもそも担当している業務の目的を把握しているでしょうか? 普段から目的を意識して仕事に取り組んでいるでしょうか? 目の前の仕事だけに意識がいっていませんでしょうか?

目的がない、あるいは目的が不明瞭の場合、それ自体を行うことがムダというケースもあります。何も疑わずに、ただ昔からやっているから続けている。先輩に言われたから、その通りに進めている。一度、全ての業務について、
「そもそも、この仕事の目的とは?」
「そもそも、この仕事の価値とは?」

このように、全ての業務の目的を再定義してはどうでしょうか。ゼロベースで考えてみるのです。もしこの仕事をやめたらどうなるのか?車両管理の仕事があるけれど、社有車を無くしたらどのようになるのだろうか?文房具を一括購入しているけれど、部門で発注させたらどうなるのだろうか?そんなことを全業務について考えてみる。業務の目的を再定義してみるのがよいでしょう。働く環境が変わり、企業の目指すべき方向も日々変化している現在、柔軟な対応が必要です。

さらに、仕事全体の目的の再定義もさることながら、仕事を作業単位にし、その作業ごとの目的を明確にしていくことが重要です。後工程の人に、どのようなアウトプットであると仕事がスムーズに進むか、その視点でアウトプットを明確に定義するのです。前工程の人はその姿にあわせて仕事をしていくのです。そのアウトプットが明確であれば、前工程の仕事が正常にされたかどうかの判別も容易にできます。

「やめる、減らす、変える」、改善の三原則

ドラッカーの言葉です、「最も非効率な仕事は、不要な仕事を効率化することだ」。つまり、先に記したように、業務を再定義してみて、不要であればやめてしまう。やめてもいい仕事を一生懸命効率化しても、そもそも必要ない仕事であれば、その努力は水の泡となってしまいます。

1回目でも話しましたが、「業務改善の三段階」というものがあります。

  1. やめる
  2. 減らす
  3. 変える

この流れで見直す、というものです。

まずは、やめる。今まであった仕事を一度思い切ってやめてみる。やめた後で、必要性を感じたらまた復活させればよいのです。案外やめても誰も気が付かない、というケースもあるものです。既得権化しているので、やめると現場からは不平不満が必ず出てきますが、いずれ慣れてしまうものです。

次は、減らす。どうしてもやめられないものはあります。そこで、継続はするものの、提供しているサービスは物品の量や質を落としていく、という方法です。回数、頻度、時間、種類、重さ、量、長さを検討することです。全面的にやめるのではなく、部分的にやめてみるのもこの減らすという方法です。案外、ムダに多く在庫を抱えていたり、必要のないサービスまで準備しているものです。これも徐々に質や量を落としてみていくとよいでしょう。

最後が、変えるという方法です。量や質を変える以外に、要素、要件を変えるという方法です。同じ目的、同じ効能が得られるのなら、中身を変えるのです。

同じ方向を目指し、ムダを減らす

個々の仕事の目的の再確認もさることながら、組織内の戦略の共有も生産性の向上に寄与します。個々のメンバーがそれぞれ違う方向を目指してしまっては、多くのムダな業務が生ずる可能性があるからです。先に記した仕事の再定義は既存の仕事の生産性の向上についてですが、次は、これから発生する新たな仕事の生産性の向上についてです。

総務や人事、管理部門では、既存の業務だけではなく、新たな課題を発見してその解決に当たる、という仕事を全体の中で3割程度は必要とされるでしょう。そうでないと、環境に適応した企業継続には貢献することができません。この3割の新たな業務を創出する際、大変重要なことは、企業として求められているかどうかの視点です。課題を発見して、その解決のために新たな仕事を創出したとしても、現段階の優先順位を外しては徒労に終わります。定期的に組織の戦略や方向性を共有することで、ムダな仕事が無くなります。

判断に迷った時に振り返ることができる戦略、方向性が共有されていると、組織の動きも早くなります。その都度、上司をつかまえて判断を仰いでいては時間がいくらあっても足りません。上司が不在でも自らで判断できる判断軸としての戦略を、上司は常日頃から部下と話したり、連携したりしておくことが必要です。これにより、上司の負担も軽減され、部下の仕事のスピードも速くなる。結果、生産性が向上し、さらに新たな仕事に取り組むリソースが生まれ、会社に貢献する仕事ができるようになる。結果として、部下のモチベーションも上がり、さらに生産性が向上していく、そのような正のスパイラルが回っていくのです。

「組織は人なり」という言葉があるように、個々人の集まりが組織を作り、組織の集まりが会社を成り立たせるのです。最小構成単位である人の生産性が向上すれば、その積み上げである会社の生産性は当然向上します。この最小構成単位間の関係性である、上司と部下の関係をよくすることが、組織・会社の働き方を変える第一歩となるのです。

その関係性の中で、戦略・方向性を共有する重要性は、アメリカの電話会社社長であり経営学者であった、チェスター・バーナード(1886年 – 1961年)が組織の成立要件として次のように記しています。「組織とは、意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムで、組織の成立要件としては、共通目的、協働意志、コミュニケーションの3つの要素が必要である」。

上司と部下とのコミュニケーションもさることながら、その中で組織の共通目的が必要であるといえるでしょう。繰り返しになりますが、組織が直接仕事をするわけではありません。個々人が変化することで組織が変化し、結果、会社が変化・進化していくのです。

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