ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. 働き方改革は、「人材育成」という第二フェーズへ突入!
ここから本文です。

総務人事向け
「月刊総務」編集長が語る、総務から始める働き方改革(第7回)

働き方改革は、「人材育成」という第二フェーズへ突入!

2017年8月

働き方改革は、「人材育成」という第二フェーズへ突入!

時短から始まった働き方改革。少し論調が変化していると思いませんか?
たとえ労働時間を短くしたとしても、業務量が減らなければ、別の時間に、別の場所で処理しないと間に合いません。とある企業の話です。その企業は22時になると、強制的に会社建物から退館させられると新聞に掲載されていました。22時少し前になると、ノートPCを片手に近隣のカフェへとその会社の社員が駆け込むそうです。つまり、社内では仕事ができないので、別の場所で仕事をして帳尻を合わせているのでした。また、労働時間が短くなり、それにあわせて業務量も減っていくと業績は低迷していくはずです。生産性を高めないことにはジリ貧になる、ということで、この頃の働き方改革の主題が生産性向上にシフトしているのです。

政府も生産性向上にシフト

この流れは民間企業だけではありません。安倍内閣も5月24日に「生産性向上国民運動推進協議会」を発足させました。その冒頭の挨拶で安倍首相は「本日は、全国津々浦々から、日々の経営にお忙しい経営者の皆様、事業者団体の代表の皆さんに、オールジャパンで生産性向上を進めていくため結集していただきました。

アベノミクスによって、企業収益や雇用が大幅に改善し、名目GDPは過去最高の水準に達しました。本年の春季労使交渉では、多くの企業で4年連続のベアを実施するなど過去3年の賃上げの流れが続いています。

一方、アベノミクスの景気回復によって、人手不足の克服が経営者の皆さんの最大の課題の一つとなっています。小規模な事業者やサービス業、地方での企業経営に携わる皆さんは大変だと思います。この課題を乗り越えるためには、労働生産性の向上しかありません。

また、政府では労使代表のご協力をいただき、長時間労働の抑制など働き方改革を進めています。魅力ある職場にして人手不足を解消するためには、働き方改革を前に進めなければなりません。他方、中小企業団体の皆さんが言うように、そのためにも、生産性向上のための改革を進めていかなければなりません」。このように生産性向上の必要性について言及しています。

生産性向上には、効率性と創造性の向上が必須

生産性の向上、これはどのようにして実現していくのでしょうか?

生産性とは、投下した資源に対して、どれだけの成果を上げられたかを見ることになります。同じ資源で高い成果を上げるか、同じ成果を少ない資源で達成するか、そうすることで生産性を向上することができます。つまり、生産性=成果/投入資源、という図式で表されます。

この場合の成果とは提供価値と置き換えることができます。そこで、読者であるみなさんの総務部の提供価値とは何かを考えた場合、現場社員の効率性と創造性の向上となるのです。

総務部の働き方改革における役割は、現場の業務の効率性を向上させることと、イノベーションに結び付く創造性を向上させることになります。

AIの進展による課題

一方で、AIが猛烈な勢いで進化しています。野村総合研究所は、英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、国内601種類の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算。10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果を2015年12月に発表しました。どこまで置き換えられるかはいろんな意見がありますが、確実に言えることは、AIを使う人と、AIに使われる人の二極化が起こることです。

AIやロボットが指示をして、それらさえ行わないような文房具の整理やコピー機の紙の補充、書類のファイリングなどの単純作業に就くのか、AIを使う人間にしかできない仕事に就くのか、どちらを選ぶのかという問題。もっとシビアに、AIに使われる仕事にしか選択肢が無い状態に陥るのか。どちらがより創造的であり、人間的であり、自己実現が可能であるのか、答えるまでもないでしょう。

「これからは人材教育に重点を置く」

経済産業省で働き方改革を推進している担当者の話です。AIを使う人になるべく、人材教育に力を入れていくと話をされていました。また、先の「生産性向上国民運動推進協議会」の安倍首相の挨拶、後半部分では、次のようにも話をしています。

「安倍政権は、本日、生産性向上国民運動推進協議会を設立し、働き方改革とともに生産性向上のための改革と人づくりのための改革に一体的に着手していきます。皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます」、このように「人づくり」にも言及しています。

日本の教育体系は、大学で終了してしまい社会人での教育とつながっていません。今後、政府では、この大学での教育と繋がる社会人での教育制度を構築していくようです。働き方改革から社会人も含めた教育改革に主題が移っていくようです。

ここで、人材教育に重点を置いている2つの企業を紹介します。

1つ目は、人材教育の手法として社員を講師にして社内研修をしている、分析・計測機器を製造する企業です。その企業では社員が専門分野を活かして社内向けの講師を務めています。講師に任命されれば、自らの知識を体系化し、教えるレベルまで高める必要があり、講師自体の教育にもなります。また、教えを受ける社員は、同年代の社員が講師であれば当然大きな刺激を受け、自らをレベルアップさせる気になります。また、社員の専門分野が分かり、困った時にはすぐに連絡ができます。その効果は大きなものがあります。

2つ目は、ある中堅印刷会社です。社員数が100名の規模ながら、新卒の応募が1万人を超えています。この企業の研修制度は、豊富な研修メニューもさることながら、受ける研修は自らが選ぶ仕組みとなっています。上司から指定されるのではなく、自らのキャリアステップの中で自らが選択する。上からの押しつけではなく、自らの意思で選択するので、受講する態度からして違います。この会社に入れば、成長が期待できるとして、新卒が殺到しているのです。

結局は人、既存社員の教育による戦力化が最重要課題

足元の課題、生産性の向上にも、人材教育は絡んできます。結局は、個々の社員の能力を引き上げなければ、そこに効率性も創造性もついてきません。人事制度や総務が中心となって行う働く場の環境整備、ICTツールやIoT、AI。どれも人間が活用して初めて効果を発揮します。その活用の主体である人間、自社の社員の能力が現状維持では、宝の持ち腐れです。

政府が進めるまでもなく、働き方改革を推し進め、その目的である企業の存続と発展には、組織の最小単位である社員の人材教育がなにより求められるのです。

働き方改革、新聞で見ない日はありません。しかし、間違ってほしくないのは、働き方改革は手段であり、目的ではない、ということ。あくまでも企業の成果を上げることが目的であるということです。その本質に、政府も気づき始めているのです。ですから、生産性向上であり、人材教育にシフトしているのです。心ある企業は、とうの昔にその本質に気づき、企業の変革を進めています。みなさんも、政府が音頭を取るから進めるのではなく、常に企業経営の本質を見極めて、企業変革を進めていってください。御社が永続し、発展していくために。

「月刊総務」編集長が語る、総務から始める働き方改革

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る