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総務人事向け
日本ビジネスメール協会代表理事が語るテレワーク時代のメール術(第3回)

チャットだけでの仕事は難しい!?

2021年3月

テレワークにより対面や電話でのコミュニケーションが減り、チャットやメールでのコミュニケーションが増えたという人も多いのではないでしょうか。デジタルツールは履歴が残り、後で確認できるという利点があります。時間を共有するという同期的なコミュニケーションとは異なり、互いが好きな時間に対応できます。では、チャットとメールはどちらを使うべきなのでしょうか。今回はチャットとメールの使い分けについて解説します。

ただのツールだと考えるべき

私はメールコミュニケーションの専門家としてメディアに登場しているため「メールが一番」と主張している人だと誤解されることがありますが、ツールに優劣はないと考えています。チャットもメールも道具の一つです。道具は課題を解決するために存在します。対面には対面の良さ、電話には電話の良さがあります。同じように、チャットにはチャットの良さ、メールにはメールの良さがあります。裏を返せば、それぞれにデメリットがあります。ツールの特性を理解して、自分に合うものか、現状のコミュニケーションに合うものかを考えるべきです。

私が代表理事を務める一般社団法人日本ビジネスメール協会の『ビジネスメール実態調査2020』によると、毎日メールに費やしている時間は約2時間29分というデータがあります。この「メールに時間がかかっている」という点だけを見て「メールをチャットに置き換えるべきだと」と主張する人を見かけます。仮に、チャットを使うことでトータルの時間が減らせるなら、より良い選択だといえます。しかし、チャットを使うことによる具体的な効果に触れているケースは非常に少ないのです。

メールに約2時間29分かけていたものを、メール1時間とチャット1時間にして、同じ質のコミュニケーションを維持できるなら正しい選択でしょう。逆に、チャットを使うことでトータルの時間が増えたり、コミュニケーションの質が落ちたりしているなら、それは誤った選択だといえます。

管理するものが増えると効率が悪くなる

コミュニケーションの在るべき姿を考えてみましょう。在るべき姿が見えてくると、どのツールを使うべきかが明確になります。ツールに正解はありません。特性を考え、現状に一番合ったものを導入するべきです。

まず、ツールを導入することで、どのようなメリットがあるかを考えます。

ツールの導入で期待できるメリット

  • 時間が減る
  • コミュニケーションが円滑になる
  • 誤解なく伝わる
  • 管理がしやすい
  • ミスやトラブルが起こりにくい、回避しやすい

これら以外にも、導入にかかるコストや時間、定着に向けた課題の有無、スキルの差が生じるか否かなども指標にするべきでしょう。

実際、多くの人が複数のツールを併用しています。管理するツールが増えると業務の効率は悪くなります。今まではメールだけで完結していたことも、チャットやグループウェア、ソーシャルメディアなどを同時に使い始めれば、どうなるでしょうか。

それぞれに、たくさんのメッセージが届けば、それなりに「見る」習慣がつきます。しかし、届くメッセージが少なければ「見る」は習慣になりにくいのです。毎日、合計100通のメッセージが届くとして、四つのツールへ均等に25通届くなら、全てを見るようになるでしょう。しかし、一つのツールに90通、他のツールは2~3通なら、見る頻度は偏ります。頻繁に「見る」ツールと、めったに「見ない」ツールに分かれてしまうのです。そうなれば、対応遅れや見逃しが発生することも容易に想像できます。これでは効率は悪くなるばかりです。

メールを使っていて、チャットツールを新たに導入する場合、いま行っているコミュニケーションを新しいツールにどの程度移行できるかが鍵になります。100%移行できるなら問題はありませんが、メールは0%になりません。社内はチャット、社外はメールなど、併用が大半です。社内のコミュニケーションは全てチャットに置き換えるくらい思い切らないと定着は難しいでしょう。コミュニケーションのうちメールが7割を超えている人はメールを優先します。そうなると、他のツールのチェックが遅れる可能性があります。普段メールしか使っていない人が、特定の顧客からメール以外のコミュニケーションツールを指定され、対応遅れや見逃しが発生することは往々にしてあるものです。

チャットでも、文章力は必要

チャットもメール同様に「書いて伝える」コミュニケーションです。「メールには宛名や挨拶を書かなければならないから時間がかかる」という意見を聞くこともありますが、メールの宛名や挨拶を書く時間は数秒程度なので、時間がかかっているとしたらそこではありません。

テキストでのコミュニケーションに費やす多くは、書く内容を考えたり、迷ったりと文章の作成に関する時間です。何かを確認したいとき「さっきの件ですが、このままでOKですか?」と書いても伝わりません。さっきの件が何を指しているのか、具体的に書かなければ誤解を生みます。適切なアウトプットがもらえません。伝わらないリスクを回避しようとすれば、それなりに時間がかかるのです。

分からなければ質問してくるという前提で、あやふやなコミュニケーションを取る人がいます。それは相手の時間を奪っているのと同じで、仕事がしにくい、噛み合わない人だという印象を与えかねません。どのように書いたら不快感を与えず、正しく伝わるかを考えることなしに、正しく伝えることはできないのです。

メールが上手い人は、チャットも上手いもので、ちょっとした気遣いがあったり、先回りしたコメントがあったりします。メールが苦手な人とチャットをしたとき、語彙力がない、論点が分からないと感じました。一方のツールだけが、ずば抜けて得意だという人には会ったことがありません。

チャットのスキルを磨こうと思ったら、文章力やコミュニケーション力を磨くしかありません。チャット単独のスキルはなく、ビジネススキル全般を底上げする必要があるのです。これらのスキルは、もちろんメールにも共通します。つまり、コミュニケーションが上手くいくかは、ツールの問題ではなく、使う人間の問題です。

複数のツールを同時に活用するポイント

チャットツールやメールを対比して優劣を述べることに意味はありません。それぞれの長所や短所を理解して、使い分けるべきです。

私も、チャットツールとメールを併用して業務効率を上げています。例えば、スタッフに声をかけたいとき、業務に集中している様子ならチャットで「いま話しかけてもいいですか?」「手が空いていたら話したいです」「手が空いたら声をかけてください」とメッセージを送ります。

話の流れでウェブサイトを確認してほしいときは、チャットでURLを送ることもあります。対話相手とのチャットを開いていたら、メールを作成する手間を省けるし、いま話している相手に説明しながら送るので、簡易的に伝えても失礼にはなりません。

さらに、チャット以外のツールも活用しています。コミュニケーションは相手が望む手段を使うべきだからです。メールでいくら連絡しても返事がこないけど、FacebookメッセージやLINEだとすぐに返事がもらえることもあります。コミュニケーションを取る目的は「相手に情報を伝え、アクションをとってもらうこと」なので、ツールに縛られず、道具だと割り切って使い分けるようにしましょう。

日本ビジネスメール協会代表理事が語るテレワーク時代のメール術

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