ページの先頭です。
サイト内の現在位置を表示しています。
  1. ホーム
  2. ビズサプリ 総務人事ポータル
  3. メールの正解はない!?
ここから本文です。

総務人事向け
日本ビジネスメール協会代表理事が語るテレワーク時代のメール術(第8回)

メールの正解はない!?

2022年1月

コロナ禍によりメールでのコミュニケーションが増えた今、相手からの反応が分かりにくくなったと感じることはありませんか。顔をあわせて会うことができれば、反応が見えます。様子をうかがいながら、コミュニケーションがうまくいくように、整えることができます。しかし、メールで相手の反応を推測するのは難しく、会って直接話してフォローする機会も減りました。それもあって「間違いたくない」「正しい対応をしたい」と過度に考える人もいるようです。そこで今回は、メールの正解について解説します。

答えは一つではない

誰もが一度くらいは、インターネットで検索して、テンプレートやフレーズを探したことがあるでしょう。仕事でメールを使うと「失敗したくない」「恥をかきたくない」「迷惑をかけたくない」「知識がないと思われたくない」など、いろいろな思いが入り混じります。その根底には「正しいメールを送りたい」という思いがあるのではないでしょうか。

しかし、正しさは人によって変わります。自分は正しいと思ってしていることを、自分以外の人が「○○は不要だ」なんて言っていることもあります。それを耳にして「どっちなんだろう」と迷うこともあるでしょう。

メールに唯一の正解はありません。あるのは「一般的によい」とされている選択肢です。これが分かっていると、少し楽になります。メールのよしあしは相手が決めるものだからです。どんなに自分が正しいと思って送ったメールも、読み手が「このメールは正しくない」と判断すれば、正しくないのです。

例えば、「メールの挨拶は不要だ」という主張を耳にすることがあります。仮に、世の中の99パーセントの人が挨拶は必要だと考え、1パーセントの人が挨拶は不要だと考えているとしましょう。いつも受け取るメールには挨拶が書いてあるし、周囲のみんなも挨拶を書いているから、それに従おう。そう思って、メールに挨拶を書いて送ったら「挨拶を書くなんて合理的ではない。無駄だ。挨拶はいらない」と猛烈に反発されたとしたら。このとき、どちらが正しいといえるでしょうか。

私の中には「コミュニケーションのよしあしを決めるのは相手だ」という原則があります。そのため、もし、相手に「メールに挨拶はいらない」と言われたら、挨拶が必要だという考えをもっていても、その人だけには挨拶を省略したメールを送ります。そのほうが、相手は気持ちよくメールを使え、最終的に私の利益になるからです。

どうしても挨拶を書いてほしい、と譲れない理由があるなら議論してもよいでしょう。でも、強い思いがないのであれば、どちらが正しいかを議論することに意味はありません。正しさばかりに目を奪われていると、衝突しか生まれないのです。

反論をせずに一言「では、次回のメールから挨拶を省略しますね」と伝えるのが大人の対応ではないでしょうか。こうして相手の好みを学習して対応を変えることが、効率化につながります。

可能性を考え、まずは無難な選択を

本連載で解説してきたメールの型やコミュニケーションの原則は、あくまでも一般論で、多くの人の間で行われている方法や考え方です。まずは、そこから始めて、相手によって対応を変えていくのがよいでしょう。基本に忠実なメールを書いていれば、大きく外れることはありません。もちろん、基本を守るだけでは解決しないこともあります。だからこそ、応用するためにも基本が不可欠なのです。

正しいとされるルールに則る。基本を押さえる。しかし、正解に縛られないように。そうすることで、よりよい関係が構築できるなら、主流と考えていることから離れて、相手のやり方に従ってもよいでしょう。そのためには、自分の頭で考える必要があります。

「廊下を走ってはいけない」というルールがあったら、普段はそれを守るべきです。しかし、災害やトラブルに見舞われても、そのルールを守るべきとはいえません。ときには、ルールを守る正しさよりも、重要なことがあるからです。そして、この正しさは、人によって異なることもあるのです。

例えば、メールの返事をするまでに間が空くときは、受領の連絡をしたほうがよい。これも、送信者は、受領の連絡があればメールが届いていることが分かり、安心して待てます。普段から受領の連絡をしていれば、連絡がないと「メールを送ったのですが、届いていますか?」と送信者がケアしてくれるようになるでしょう。

もちろん、中には、受領の連絡は不要だと考える人もいます。「メールは送ったら絶対に届いているのだから、このようなメールをいちいち送る必要がない」という信念を持っています。

受領の連絡をしたほうがよいか、しなくてもよいのか。悩んだら、確率の高いほうを選択しましょう。半数以上の人が受領の連絡を求めているはずだ。私は、そう考えているので、受領の連絡を必ず送るようにしています。

また、メールのやり取りは自分で終わらせるという考えで、メールを書いています。「このメールに返信すべきだろうか。あるいは、このメールの返信は不要だろうか」というような、ぎりぎりの判断を求められるメールがあります。判断することは、ウィルパワーの消費につながります。判断を繰り返すことで、判断力がどんどん鈍くなってしまいます。

それなら、機械的に「自分で終わらせる」としておき「さすがに、これは返信しなくていいだろう」と確信が持てたら、返信をストップするというのが合理的な考えです。むしろ、その判断ができないなら、永遠に自分でメールを終わらせておけばいいのです。

正解がないから、予測をするしかない

ここまで「メールに正解がない」という話を繰り返してきましたが、腹に落ちていますか。「○○が正解です」と言いきることは耳障りがいいですが、イレギュラーケースにあたり、どうしていいのか迷う姿を何人も見てきました。99パーセントはこの方法で正解だが、残りの1パーセントは不正解かもしれない。このくらいの感覚でコミュニケーションをとるのが無難だといえます。

一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2021」によると、仕事でメールを受け取り、不快に感じたことがある内容の上位にくるのが「質問に答えていない」(45.33%)、「必要な情報が足りない」(43.2%)です。ここ数年の傾向を見ると「質問に答えていない」「必要な情報が足りない」の二項目が頭一つ抜きん出ている印象があります。

不快に感じた内容(複数回答可)

<過去一年間に仕事でメールを受け取り、不快に感じたことが「よくある」「たまにある」と答えた方>

質問に答えているかどうかを判断するのは相手です。必要な情報かどうかを決めるのも相手です。中には「この質問には答える必要がない」と考えて触れない人や、「この情報量があれば伝わるだろう」と考えて言葉足らずになる人もいるでしょう。

このデータを見てみると「無駄な情報が多くて不快」という回答もあります。ただ、「必要な情報が足りない」と「無駄な情報が多い」の両者の差は16ポイントあります。迷ったら、多少は情報が多くなっても書いたほうが無難だと推察されます。

自分の常識だけに縛られず「もしかしたら○○ではないか」と疑い続けてください。正しさで戦っても、何も残りません。相手を論破しても、一瞬気持ちがいいだけで、仕事が停滞するのは目に見えています。

一段上の視点からコミュニケーションを眺めていきましょう。そうすると、新しいコミュニケーションの形が見えるはずです。

日本ビジネスメール協会代表理事が語るテレワーク時代のメール術

いまほしい栄養(情報)をピンポイントで補給できる“ビジネスのサプリメント”
「ビズサプリ」のご紹介

ページ共通メニューここまで。

ページの先頭へ戻る