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コラム

製造業におけるAI活用検討の第一歩

【第7回】製造業・プロセス業における品質影響要因分析AI活用の検討ポイント

2019年9月

シミュレーションの弱点

前回は、品質予測を行うAIを応用して、「シミュレーション」を行う方法をご紹介しました。
様々な製造時のパラメータを仮想的に変更できる「シミュレーション」は、職人の勘や経験を代替することで、スキルを平準化するものとして、大きな役割を果たします。

しかし、使用するAIの種類がブラックボックスな場合、「なぜそう予測したのか」が説明できません。
前回ご紹介したとおり、シミュレーションの精度のみを求めるだけであれば、「なぜ」が分からなくても問題ありません。

ですが、「なぜ」が分からなければ、ノウハウの可視化や教育、根本的な品質改善には役立てにくくなります。(図18)

図18.シミュレーションとその説明可能性

そこで役立つのが、予測・分類のもう一つの応用方法、「ホワイトボックス型AIを用いた影響要因の分析」です。

影響要因分析AIの活用

以前から「ブラックボックス」「ホワイトボックス」の2つの大別に関してはご紹介していました(第4回・表8)。
ですが、説明可能性に着目したとき、ホワイトボックスな手法にも、いくつかの種類があります。

  1. 予測をホワイトボックスに行う手法
    • 1-1.各説明変数が、結果に対して総合的にどの程度影響するか
    • 1-2.各説明変数が、結果に対して、どんな条件のときに、どの程度影響するか
  2. 予測は行わず、構造の解析をする手法

今回は、「1.予測をホワイトボックスに行う手法」に関して、それぞれご紹介します。

1-1.各説明変数が、結果に対して総合的にどの程度影響するか

ホワイトボックスとされる手法で最も一般的なのが、このタイプです。

予測モデルを作成する際、「1つのパラメータのみを動かし、ほかのパラメータを固定したとき、どの程度出力に影響するか」を表現することで、「最も出力に影響する説明変数が重要」と考える方法や、「たくさんの予測式に使われた説明変数が重要」と考える方法など、様々な手法があります。

これだけでも役立つ場合は多々ありますが、あくまで総合的な影響を見ているだけなので、「特定の条件のときのみ大きく影響する変数」を見逃しやすくなります。

例えばアイスの売上は、総合的には、気温が高いほど売れると考えられます。
データから影響要因を分析すると、表9のようになるでしょう。
しかし、これは「ごく当たり前の事実」で、特に新しい知見は得られません。

大抵の場合、関心があるのは、当たり前の事実や想像し易い関係ではなく、「隠れた事実」なのです。

表9.全体の影響度のみでは、「当たり前」しか分からない場合が多い

1-2.各説明変数が、結果に対して、どんな条件のときに、どの程度影響するか

では、更に「隠れた事実」を探すには、どのような手法を使えばよいでしょうか?
最も分かり易いのは、「どんな条件のときに」何がどの程度影響するか、というように、条件付きで影響を分析することです。

このような手法の代表例が、「異種混合学習 ※NEC独自手法」です。
この手法では、「条件のパターン分け」を行った上で「予測」を行うため、「○○な条件での影響」などを詳細に確認することができます。

例えば、アイスの売上では、「湿度が70%を超えており、気温が31℃を超える日が3日以上続いた場合」は、夏バテ気味の方が増えるため濃厚なアイスは売れにくくなり、シャーベット系のアイスの方が売れるようになる、といったケースも見つけ出すことができます。(図19、表10)

図19.条件の分岐

表10.パターンBの条件下での影響度

上記の1-1で紹介した手法でも、工夫によっては似たような分析をすることもできますが、後付けで大量のパラメータの組み合わせから発見する必要があるため、解析は非常に難しいものとなります。

手法の選択

ここで、前回のシミュレーションと合わせて、どのような手法で何ができるのかを整理し直してみます。(表11)

表11.シミュレーション・要因分析の手法の整理

人手不足やスキル平準化の当面の対応として、「配合シミュレーション」は役立ちます。
この精度を求める際には、ブラックボックス型の方が適切でしょう。
しかし、それに任せきりになってしまうと、将来的には、職人のノウハウを喪失してしまう恐れもあります。

ホワイトボックス型AIを用いて「影響要因分析」を行うことで、ノウハウの可視化・定量化を行うことができます。
これを用いて、品質の根本的な改善や、新商品の開発などにも役立てられる可能性があります。

自社の課題に合わせて、どのような手法を選択するかを慎重に検討するとよいでしょう。

ここまで、製造業・プロセス業における影響要因分析AI活用の検討ポイントをご紹介してきました。
次回は最終回として、これまでの総括を行いたいと思います。

まとめ

※分かり易さを優先するため、表記に一部曖昧な点や、不正確な点が含まれる場合があります。ご了承ください。

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